カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

蜂が気の毒

2015-09-01 | 散歩

 子供の頃には早起きして虫取りにいそしんだものであるが、大人になってみると、そういう動機というのがどうも薄くなってきた。ウロウロしなくなった分少し安全になったな、と思うのは、蜂に刺されることが少なくなったという気がする。虫取りに山に入ると、時々蜂も樹液を吸っている。危険は知っているから近づかないが、ちゃんとそこにクワガタなどの姿を見つけると、簡単にはあきらめきれない。こちらが攻撃を仕掛けて、結局返り討ちを食らう。そういうことがあったように思う。考えてみるとずいぶん危険だったが、しばらくズキズキするのをやり過ごすと、後は腫れはするものの、何とか今まで生き延びてきたということかもしれない。
 ハチクマという鷹がいる。クマタカという鷹によく似た姿をしているが、蜂を好んで食べるので、ハチクマという名なんだそうだ。名前も妙だが、行動も妙である。
 羽の生え方が鱗のように密集していて、蜂に刺されにくいというのがまずあるようだ。しかしながら目玉の部分だってあるわけで、必ずしも完全に平気なわけではなさそうだ。むやみにやみくもに蜂を襲うようではない。近づくと蜂は猛烈に警戒するが(当たり前だ)、しばらく近くで様子をうかがい、襲うときは一気に攻撃する。最初は蜂も猛然と反撃しているように見えるが、次第に攻撃そのものをやめてしまう。理由は諸説ある。何かホルモンのようなものを出していて、それが蜂の攻撃本能を止めてしまうだとか、刺しても刺しても効果が無いことに諦めてしまうのではないか、というものだ。しかし基本的には謎である。蜂たちがあきらめると巣は完全に崩壊する。要するにハチクマは幼虫などを好き放題に食い尽くす。凶悪なスズメバチであるが、なんとなく気の毒なくらいである。
 蜂のような凶暴な昆虫でも、安泰で暮らしている訳ではない。自然というのはまったく厳しい世界である。人間だって苦しいときもあるのだが、既に自然の中ではそもそも簡単には生きられないし、極端な国に生まれない限り、それなりの努力で何とか苦難は打開できそうである。ハチクマと蜂の関係を見ているとそんなことを考えてしまう。まあ、そういう人間の勝手な勘違いなど、気にも留めてはいないだろうけれど。
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