日本で力を持っているとみられる左派政党は事実上無いか、もしくはかなり衰退している。しかし世界的な潮流としても、左派政党の衰退は一般的なことであるらしい。米国の二大政党はどちらも保守的だからこれは除外して考えていいいが(それにしても変な国だ)、ヨーロッパには左派政権がたくさんあったはずである。それが、いつの間にか今は左側の支持はかなり弱くなった。左派の思想が衰退したというより、左派政権の失政が、国民の支持を失っている結果が大きいのだという見方がある。実際上は左派の政権であっても、自国民のみに利益をばらまく政策を打てなくなっているからであって、だから左派的でない普通のことをやってしまうと、いわゆる裏切りということになって支持を失ってしまう。ひとくくりにグローバル化した国々の関係があって、左派政権に陥ってしまう国民は単純に損をすることになる。自己中心的な政策を打つ財源が無いし、またそのようなことをしていると競争に負け貧しくなる。企業も容赦なくよその国に逃げる。北欧の大企業の組合国家のような所以外では、左派が成り立たないということのようだ。また、左派的な政権が生きているように見えて、実際の政策は、事実上大きく右へと舵を切っている現実もあるようだ。競争に負けたところが生き残れないのは、思想を超えた現実だからだ。
もちろん考え方の受け皿としては、今なお存続してはいる。しかし、政権与党を取ることは、もう考えにくいところまで来ているのではないか。
というようなドキュメンタリーを見た。なるほど、この番組を作った側にはジャーナリズムとして左派の必要性を訴えているようではある。それでいいのか世界!である。でもまあ、圧倒的な左派政権の中国が、圧倒的な格差社会であることをみんな知っているわけで、まっとうな左派政権の北朝鮮が、またああいう現状であるのをみんな知っているわけで、まあそれらの国が特殊だとしても、バランス感覚として選択の結果そうなっているのは明らかそうに思われる。
しかしながらことがそう簡単でない国は、ほかならぬ日本ということである。安倍政権は、イメージ的には右派であるかのように伝播するマスコミは多いのだが、実際の政策は、単なるばらまきである。それもほとんど八方美人で、くまなく配る心遣いという感じだ。これはヨーロッパならずとも、本来の左派政権の役割と同じであろう。
実際には自民党がかなり左側の政策を行っていることは、日本の自国民には無自覚らしいけれど、他の野党というのはそれよりも左なんだから、一般的にみてずいぶんな極左であるといえる。そのように極端では、小さな党であってむしろ当然のことかもしれない。日本の場合は左派が衰退したというよりも、左派しかいないので極左が小さく見えているだけなのかもしれない。右派を選択したい人がいたとしても、存在が無いのだから選びようがない。これまた不思議の国日本という結びで、申し訳ない気持ちになってしまった。