バスに乗って向かった先というのは、実はアサヒビール工場。新松田の駅から360円。田舎道を酒匂川沿いに走って、橋を渡って反対側の斜面を少し登って広いところに出たら、ビール工場だったという感じ。
九州には日田のサッポロだとか、博多のアサヒには行ったことがある。だから厳密にビール製造工程を知らない訳ではない。まあ、忘れていることもあろうから、勉強にならない訳ではあるまいが…。
この日は土曜で、実際には製造は行われていないということだったが、2時半の予定では、結構人が集まっていた。社員旅行の団体があるようで、まあ、そういうツアーなんかもあるのかもしれない。大きい会社の計らいとはいえ、これだけの人数を常時受け入れているというのは、まあ、結構なサービスですよね。そういうのは料金に転嫁されていると考える必要はあるんだけれど、それならば参加しなければ損である。
最初にビデオを見て大きな班を二つに分けて、工場見学にいざ出発。エスカレーター登って大きなタンクなんかを見て回った。設備はでかいが仕組みというのはあんがい単純で、麦とホップを煮て発酵熟成させて濾過するということになる。ビールというのは古くからある飲み物らしいから、まあ、ビールに限らずではあるんだが、人間が単純ながら工夫して楽しむアルコール飲料の王道的なシンプルさがあるということなんだろう。しかしながら大量生産しないと日ごろ飲めるような価格にはならないだろうし、政府はアルコール度数が少ないのにかかわらず酒税を強化したりするので、製造メーカーは苦労しながら作るより無いのかもしれない。結果的に日本では巨大な飲料メーカーでなければ、このようなビールは事実上製造できないのかもしれない。
アサヒとしては日ごろも鮮度の良さを謳っており、東京は多摩地区まではこの神奈川工場で賄い、東側は茨城工場と分けているらしい。僕は知らなかったが、ニッカウヰスキーも買収してたんだね。それもドラマの前だったそうで、なかなかやりますな。
ということでなかなか工場見学は楽しかった。そうして出来立てというのを試飲させてくれる。われらがU田くんは、本日は製造が休みだというのに出来たてだというのはおかしいのではないかと異議を呈していたが、まあそんなことは気にしないで頂くことにいたしましょう。
一応三杯までか、時間として20分という制限があるらしいが、確かになんだか新鮮そうで旨いので、改めて本当に感心してしまった。宣伝に加担するというような小さな料簡無しに、文句なしに見事に旨いビールだった。
ところでしかし、実は昼を取らずにここまで来ている。日本酒も少し飲んだが、夜になるまで飯を待つべきなのか。特に再三のことだがU田くんが一緒にいる。彼としてはもう限界ということは間違いなく、帰りのバスの時間なんかを確認するまでも無く、工場が併設している焼肉のレストランに滑り込むことになった。そこでもさらにビールを食らい。一度一杯だけ焼酎に浮気したものの、やはりまたビールに戻って飲み続けた。確か時間制限はあったはずだったが、どんどん飲むので特に不満があるわけでは無かった。制限があった方がいい場合もあるし、当然トイレには何度も行くから、飲むけど体は清らかなような変な感覚のまま、食ったり飲んだりした。
結局バスはもう無いということで駅までタクシーだったけど、トイレの事情があるんでそれで良かったのではないかと思った。かっちゃんちに戻っても何か食わせてもらったが、とにかくたくさん飲んだらしくて爽やかだった。いや、もう怪しかった。(たぶん、つづく)