田んぼなどで子細に見ると、たくさんいるミジンコ。体が透明で、エビやカニの仲間である甲殻類である。背中に心臓があり、目は一つしかない。水中で食べ物を集めるようにして食べる。
ミジンコは、基本的にメスだけで増える。条件が良いと、一度に50匹ずつ増えることができる。そうしてまた二日ごとに、増え続けられる。そうやって大発生することが多々ある。多くの捕食者がいて、それらの生態系を支える重要な存在だとも考えられている。そうやってたくさん食べられても、どんどん増えるので生き残ってきたともいえるのかもしれない。
しかしながら、生きていく環境が悪くなり、栄養状態が悪くなり、たくさん増えなくなってしまうと、突然オスが生まれる。悪い環境になっても対応できるような、新しいタイプの多様性を高めているのかもしれない。
実際のところ、効率から考えると、メスだけで増えていった方が、生き物としては合理的である。メスだけでも突然変異が起こることは知られていて、長い歳月をかけて進化することを考えて生き残り戦略を立てるとすると、メスだけで増えた方が、いいということになる。
しかしながらミジンコの例で考えるならば、条件が悪くなった時だけ、ちょっと変わったものを混ぜる必要が出てくるのかもしれない。なんでも擬人化して考えるのは危険だが、やっぱり人間のような哺乳動物に必ず雌雄があるのは、そのような環境への適応という観点からのものなのかもしれない。水たまりの環境というものであっても、自然界としては十分に厳しいような気もするが、ある程度の均質的なものとはいえるかもしれない。しかしながら人間は、アフリカ大陸から飛び出して、極限の場所にまでも進出し、今や宇宙にまで飛び出そうとしているように見える。様々な環境に適応できるだけでなく、そのような冒険が、いわば許されるようなことになったともいえる。それが果たして合理的なことなのかはよく分からないのだが、ミジンコのような合理性を捨てたために獲得できたものなのかもしれない。僕は男なので、ちょっとだけ感謝すべきことなのだろうか。