女子サッカー。日本が強いというのもあるけれど、観ていてそれなりに気分の良さというのがある。気分的に盛り上がるということとは違って、観ていて潔いというか、そういう気分になる。野球だと、僕は高校野球はなんだか選手がダラダラしている感じでイライラすることがあるんだけれど、メジャーを観ているとそれが無い。さばさば野球を楽しんでいる感じがいいんだろうなと思うのだが、何しろ動きが俊敏でいいのだろう。
さて、やはりこれは男子のサッカーと比べてという気分の問題である。審判のレベルとしては、残念ながら女子サッカーはミスのようなジャッジは比較的多いようには思う。しかし、それに対して、あんまり抗議が少ないという感じが、まずあるようだ。少なくともしつこい感じじゃない。
それに関連して、やはりプレーが、あんまり汚くないということもあるかもしれない。ネットでは暴れん坊の選手が話題にはなっていたが、彼女はかなり例外的で、それでかえって目立っているという気もする。わざとらしくファールを誘うプレーが極端に少ない。
サッカーというスポーツがそうなんだといえばそうなんだろうけれど、相手を出し抜いたり、トリックを使ったりすることを、そもそも賢い、優れている、と考えている人が多いように思う。もちろんそういう側面は否めないわけだが、審判を欺くようなプレーをして、いわゆる儲けものになることに、悪びれる人が少ないのではないか。審判さえ咎めなければ、ユニフォームを引っ張ったり、足をかけてみたり、執拗に妙な動きで仕掛けをするような選手というのは、ヨーロッパには特に多い。やれることは何でもやって、結果的に勝利につながるというのが、サッカー的な優位であるかのようだ。
全部は否定までしないものの、いつの間にかサッカー観戦が減った理由が、僕の場合はそういうことかな、とも思いつく。勝てばそれはいいかもしれないが、僕は頭の固い人間なんで、わだかまりが少しくらい残ると、ちょっと残念である。何事もすべてすっきりすることなんてまれだけれど、スポーツ観戦くらいはそういうものを求めてもいいじゃないか。そういう訳で、負けても楽しいくらいのスポーツの方が観ていても楽しいと思っている。
それで女子サッカーかな、と思う。サッカー的にはまだまだ洗練されていない、ということも言えるのかもしれないけれど、あんがいこの辺りは潔い選手が多いように感じる。疲れても比較的一所懸命走っているし、時間つぶしや相手をあえて挑発させるプレーも少ない。結果的に妙なドラマが生まれやすいようにも思うし、予想外のことも起こるような気がする。そういう偶然の多いところは運不運も多いのかもしれないが、かえって女子サッカーの醍醐味になっているのではないだろうか。