あの頃、君を追いかけた/ギデンズ・コー監督
台湾映画。近年日本でのリメイク作品もあるらしい。1990年代、台湾の中高一貫の私立高の一クラスでの出来事が中心。勉強のできるマドンナが居て幼馴染の仲間とともに憧れていたが、席替えでマドンナの前の席にさせられてしまう。この子はかわいいというだけでなく、勉強を頑張らない人間を許せない性分のようで、ふざけているか寝ている主人公の男を厳しく勉強指導することにしたようだった。
当時の台湾の学生生活の様子がよくわかる。ほとんど日本の僕の世代と同じような感じだ。学校の先生の不条理さも似ていて、アジアン共通の馬鹿げた社会が見事に描き出されている。同時に若さの焦燥や、何か煮え切らないもどかしさも描いていて、ふつうにみると、下ネタ満載の超バカ映画に成り下がっているところ、素晴らしい青春賛歌となっている。もちろん、素直にこの時代のバカな男の生態がちゃんと描かれているので、マスターベーション満載で、カップルで観に行くには失敗する可能性があるかもしれない。恋愛劇はかなり上出来なので、このあたりはどうしたらいいものだろうか…。ま、それがいい映画なんだけど。
多少思い出に浸る時間などだるいところも無いではないが、青春映画の傑作といっていいだろう。マドンナがちゃんとかわいいうえに、身近なエピソードがしっかりと物語に絡んでいる。ふつうこれくらい好きあえると、それなりの関係になってしかるべきだと僕は思うが、青春の恋愛としてこれほど純粋で崇高なものは例が無いのではなかろうか。多少ファンタジーであろうとも、青春のマドンナを共有するというのは、こうでなければならない。いやいや、泥臭いんだけどね。実際は。
さて、日本との関係も非常に若者文化に根付いていることも、しっかり見て取れる。日本はアジアンを中心に、無くてはならない国際的に重要な役割を持っているのである。それは文化的にたいへんに影響力が大きいものであるようだ。少なくとも、彼らは日本無しに健全な大人にはなっていないことだろう。そういうのも分かるので、まじめな人も観るように(これはちょっと、分かるかどうかも含めて言っております)。