友だちの恋人/エリック・ロメール監督
フランス映画。ふとしたきっかけで知り合った女どうしで友達になるが、片方のレアは学生でファビアンという青年と同棲している。しかしあまりうまくいってないという感じ。ファビアンとレアの友人にハンサムな青年アレクサンドルがいる。ブランシェはアレクサンドルに興味を持つが、シャイでうまく声さえかけられない。そういうやりとりがつづくなか、とうとうレアとファビアンは別れてしまったと聞く。そうしてファビアンとブランシェは、これまたちょっとしたきっかけで一夜を共にしてしまうのだったが……。
会話ばかりしていて、さすがにフランス人というのはおしゃべり好きなんだな、と呆れる。話の展開も、いつまでも話をしてばかりいて、ちょっと退屈である。でもまあ、そういうのを楽しむ映画らしくて、そういうやり取りにつきあっていると、最後になってそれなりに盛り上がることになる。実に上手い。なるほど、このために物語があったのだな、と感心してしまった。ちょっとした佳作には違いないし、ファンがいるのも納得である。当時のフランスの可愛い若い女性というのも分かるし、男性陣も皆かっこいい。こういう感じの恋愛観が一般的だとは思えないが、主人公のブランシェは、シャイな性格で、まるで日本人の女性のようでもある。いや、今時日本人の女性では、こんな感じの娘はいないのかもしれないが……。
フランスの女性は、以前から性的にも思想的にも自由だというのは分かる。かの国では、必ずしも結婚して子供を産むことを目的としていない。結婚さえせずに子供を産み、だから離婚でなくて別れてしまうが、そうしてまた誰かと付き合う。移民政策もあるが、出生率は低くない。日本の行政制度は見習うべきだという話もあるが、さて、こういう文化にあってのことで、日本ではやはりあまり根付かないのではないかとも考えてしまう。そういう映画ではないのだけれど、ついつい先読みしてそういう文化も考える。そもそもレアのような先進的な女性観というのがあるので、シャイな一種古風なブランシェが映えるのである。そういうことを考えると、やはり80年代のフランスにおいても、ちょっと背伸びした感覚はあるのではないか。まあ、面白いので映画に集中すべきことなんだけれど……。