自縛の紐・刑事コロンボ/バーナード・コワルスキー監督
フランチャイズのスポーツ・ジムを経営する男が、その経営の不正を暴かれそうになり殺人に至る。首を絞めて殺した後に着替えさせ、ベンチプレスが首に掛かって窒息したように見せかけたのだ。アリバイ作りに電話録音のトリックを使ったりなどもあるが、この事故死に見せかけたトリックをどう覆すか、というのが基本の路線になっている。
犯人はスポーツマンで鍛えている。コロンボも捜査の関係上ジムに通って葉巻も酒も止めてしまう(と言っている)。スエット姿になって汗だくになって頑張ったりする。思ったよりすらっとしていて、あんがいピーター・フォークも若々しいものである。また、犯人を怒鳴りつけたり、なかなか激しい気性も表す。実際この犯人はいけ好かない奴で、ビキニ姿の秘書なんかもついている。でも奥さんはアル中で病院に入っていたりするが。基本的には金儲けがうまく行ったら、外国へ高飛びしようと思っていた。もう少しでやり過ごして逃げられたところ、予定が狂って殺人を犯してしまったという訳だ。そのような身勝手さにコロンボが怒るのも無理はない。
しかしながら靴ひもを自分で結ぶ時と他人が結ぶ時と結び方が違う、なんてことをクドクド説明するというのも、確かにそうなんだが証拠としては弱い気もする。ベンチプレスの窒息とヒトが手をかけて窒息するのは、多少違った跡が残るのではないかという気もする。まあ、実際追い込んでいてお互いイライラしていて、ちょっと強引に幕を引いたという印象の残る作品であった。
しかしながらコロンボがカミさんと電話で話をするシーンもあるし、何かものすごくローテクなジョギング・マシーンでトレーニングするシーンもあるし、昔のアメリカの生活もなんとなく楽しげである。トレーニングしてジュースを飲む。何が楽しいのかよく分からんんが、現代人とおんなじである。ダイエットに成功した方がカッコいいもんね。そういう意味では、みんな楽しんで苦労している人間模様は、あんがい今も昔も大して変わらないものなのかもしれない。