カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

芸術は裸だろうか   フローズン・タイム

2019-05-20 | 映画

フローズン・タイム/ショーン・エリス監督

 彼女に振られたショックで不眠症になった美大生が、寝られないので深夜のスーパーマーケットで働くことにする。寝られないための幻覚なのか、彼には時間をとめる能力があることになっている。時間を止めて何をするかというと、買い物客の女性の服を脱がせて、くまなく眺めスケッチするのである。とんだエロ野郎だが、どうもこの男には異常に女性の裸に執着があるらしく、幼少のころから女の裸ばかり眺めているせいで、絵描きになっているようだ。そのような異常な執着から、芸術が生まれるということなんだろうか。
 映像は妙に気取っている割に、一応はコメディなのかもしれない。スーパーマーケットで働く人々のくだらない日常が、何か最下層の人々のヒネた風刺のように描かれている。なにもかもうだつが上がらないが、くだらない冗談を言ってその場をしのいで楽しく過ごそうとはしている。しかしやはり下品で楽しいわけが無い。主人公の男は、冷めた感情を持ちながらも、それらの日常にあらがうことなく、ともに行動をしている。時間を止めて女を脱がしてスケッチする以外は。
 女性に振られるにしても、新たな恋の相手となかなかうまくいかないにしても、同時にこの男が馬鹿だからではないかという疑念が、最後までぬぐえなかった。一応は勝手に誤解は解けてハッピーエンドだが、馬鹿であることには変わりないだろう。今後も失敗は続くのではなかろうか。まあ、ひどく画家というか芸術家としては成功をしたからいいのだろうが…。
 そういうことで、エロ芸術作品で変態じみているが、そういう風には見えない作品である。そうして実際は純愛を描いていて、裸は多いがポルノ作品ではない。楽しい映画ではないけれど、そういうことでそれなりにファンのついたものなのかもしれない。
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