ツェッペリンのレーベルが75周年ということで、アルバムの四枚目(実際には名前はないアルバムだが、フォースシンボルズ、とか単純に4と言われている)がリイシューされて再販されている。アナログのレコードで透明なやつらしい。日本がどうなっているかはよく知らないが、英国などではアナログのレコードはまた聞かれるようになっていて、若い人でも買うんだそうだ。もちろん僕は、中学生の頃にこのレコードは買っていて、黒い奴だが今も持っている。もっとももうプレイヤーは動かしてない(倉庫にしまい込んでいる)ので聞くことはできないが、CDも持っているし、おそらくだがリイシュー版も探せば持っていると思う。僕はコレクターでは無いのでもう買うつもりは無いが、もちろんファンだから、こういうニュースを聞くと心躍るものがある。ピンクフロイドなんかは、また当時のアルバムが今ヒットチャートに躍り出たりしているわけで、古典ロックであっても、現代で根強く再評価されるだけでなく、若い人でも聞くようになっているのである。もっとも知られているロックの名曲ともいわれている「天国の階段」が収められているツェッペリンのアルバムなので、こういう事になっているのであろう。
ところで今となってはサブスクで一曲のみをピックアップして聴かれることがほとんどなんだろうけれど、以前のアナログ盤というのは、A面とB面に分かれていた。CDの登場でそれすら忘れられていると思うのだが、ツェッペリンのこの4枚目のアルバムというのは、いわゆる前衛的な曲と構成になっているのが特徴になっていて、A面の展開と、B面の展開ははっきりと分かれている。A面の最後に最高の形で「天国の階段」を聴くことによって、B面の何やら難しい局面へと、レコードをひっくり返して臨むことが大切だったのである。ツェッペリンに限らずだが、ビーチボーイズのペットサウンズだとか、ビートルズのサージェントペパーズなんかも、そういうアルバムの構成を、凝りに凝って作られていて、そういう意図も理解しながら聴くことによって、我々はロックの理解を、哲学的なものに高めていったのである。まあ、当時はよく分からないながらも、勝手にそんなことを考えていた、ということではあるのだけれど。だからCDで古いアルバムを聴くようになって、ずいぶんと印象が変わってしまって、もうあのような意図を読み取れることが少なくなったことに、違和感を覚えたものなのである。いやもう手間はかからないので、それはそれで元に戻るようなことは無かったのだが。
ということで、単に昔のことを言っているだけのことなのかもしれないが、アルバムというのは曲順も大切だし、構成も大切である。ベスト盤もいいかもしれないが、出来ればその時に、彼らがどうしてそういう事にこだわって作ったのか、ということに注力しながら聴くということも、大切なのでは無いだろうか。