この間の消費税話の続き。
消費税率が上がると、ものすごく当たり前の話だが、消費税を守らない闇業者が増える可能性は高い。100万円の仕事に10万の税金なら、その分ディスカウントしましょう、という業者は必ず現れる。もしくはその分は自分で負担すると称する訳だ(同じことだが)。実際は真面目な業者なら逃れられないのだけど、もちろんまっとうな会計をするはずがない。払う方は110万より100万の方が得だから競争力がまるで違う。とくに個人で支払いをしなければならないような仕事なら、闇に頼むのは普通のことになるだろう。
実際にヨーロッパの国々ではそのような業者は山のようにいて、とくに南側の国ではそういうマーケット経済が存在すると考えられている。消費税率が20%程度の国が平均だから当然のことで、高い失業率(中には40%近い国もある)でありながら人々が暮らしていけるのは、ある程度は闇の世界で働いている人が居るためだといわれている。
しかしながら当然そのような闇社会を許さない国もあって、北欧の国々は比較的そのようなマーケットは存在しにくいといわれている。印象としては真面目だからそうなると考えたくなりそうだけど、実際はそういうことでも無くて、国が個人の所得をきっちり把握する国が多いということである。人口が少なかったり、もともと社会主義的な国であった背景もあって、土台としてそのような施策を築いてきたもののようだ。
日本の場合、クロヨンとか、トーゴーサン(またはトーゴーサンピン)などと言われるのは、聞いたことがあるのではないか。税務署がどの程度国民の所得を把握しているかということの割合を指して言われる言葉で、9が給与所得者(いわゆるサラリーマン)、自営業者は6割、農林水産業者が4割という訳だ。いや、もっとひどくて10・5・3だよ、という説があって、さらに1(ピン)を付け加えるのは、政治家のことらしい。面白いが、笑えない事実なのではないか。
著しく不公平であることが確かだが、これを防ぐには国民背番号制のような制度で管理するより方法が無い(罰則強化や税務署の努力では不可能だ)。しかしこれを国の横柄だとか、プライバシー保護だとか言って反対する人は多い。不公平に虐げられている方にそういう声をあげる人も多そうで、なかなか話は厄介である。
消費税率をあげると、日本もどちらかの国のように変化せざるを得ない訳だが、このままだと今破綻が取りざたされているような南のタイプの国になるということで何の解決にもならない。しかし北の社会主義的な国は、計画的にそのように歴史的に準備をして積み上げての現在があるわけで、実はそう簡単にまねができるとは考えにくい。その上国の規模というか人口がまるで違う。日本のような巨大な国家が、破綻を免れるためだけにそのように変化したとしても(そう選択する可能性は高いと思うが。ある程度真面目な人が大勢を占めるとすれば)、超重税国家としての暗い将来が確定するだけの話であるとはいえるだろう。そうして逃げられる企業は逃げているだろうし。
もちろん、日本がそう選択するはずであるというのは、他国の人々は傍観しながら当然視しているものと思われる。実際にはほかに選択肢は無いのも同然だし、だからこそ危機的な状況にありながら、そこまで危険視されていないという現実があるわけだ。まあ、早く努力してよね、とは思ってるだろうけど。そうして、僕自身も、実は日本にはそのような良識は、ある程度はあるんじゃなかろうかとは思っている。出来れば直接他国から言われる前に、自分で行動してほしいものではあるんだけど。