阪神淡路大震災の時の検証番組で見たのだが、震災後電気が復旧してから、火事の火があがる現象が起こったことが分かっている。通電火災といわれるもので、地震で建物が壊れるということだけでなく、さまざまなものが倒れたり壊れたりしている。電気の復旧は早い日常生活回復のためには待たれることではあるのだが、しかしそのような状態で電気が復旧してしまうと、電気ストーブなどの熱を持つような電化製品もまた動き出してしまう。どのような状態でそうなるのかというのが問題で、または壊れてしまった電化製品などがショートして点火するようなことも起こるのかもしれない。多くの倒壊した家屋の元に下敷きになっている人の救済が行われている中で、あちこちから同時多発的に火の手が上がる。非常に恐ろしいことだが、そういうことが過去には現実に起こってしまったことなのだ。
ライフラインとしての電力は命綱である。しかし部分部分のいわば局所で回復させるようなことが災害時にきめ細かくできるのかというのは、大変に難しい問題のようだ。建物が倒壊して行方の分からなくなっている人が多数いるような状況下では、何を優先させるべきなのか。またそのことをだれが判断したり、または事前にどこまで決めうることなのか。
災害の教訓はたくさんあるが、すべての課題が解決可能な問題では無い。台湾の地震においても、危険の認識がある建物であっても、事前にどれほどの対策が出来るのかという課題は残った。ことはやはり起こってから、次善の策として対処していかざるを得ないことをやるしかないということだろう。災害を100%防ぐことは不可能だ。人間の存在は小さいということを、自覚するより無いのだろう。