カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

理屈としてはあり得ない訳ではない近未来   21世紀青年

2015-12-11 | 映画

21世紀青年/マイク・ジャッジ監督

 冷凍睡眠の実験台として軍の図書館に勤める天涯孤独なジョーという男と、何故か売春婦のリタの二人が選ばれて、一年間の予定で冷凍される。ところがこの実験指導する担当の人間が不祥事に巻き込まれ、冷凍実験自体が世間から忘れられる。そのまま500年の歳月が流れた。
 背景としては、高学歴で高収入などいわゆる賢い人間は、晩婚化がどんどん進む。そうして当然そのような血を持つ子孫がどんどん減る。何しろもう子供が生まれない。一方で貧乏人の子だくさんというか、バカで足りないような人間は後先考えずにどんどん子供を増やす。そういう人間同士がまた一緒になって子供が増える反面、賢い者同士はパートナーさえ見つけられないから、賢い遺伝子は絶滅する。そういう理屈で500年後の世界が形成されているということになっている。
 要するに人類(本来はアメリカ人だけだと思うけど)は馬鹿だけの世界になっている訳で、冷凍から目覚めた過去からの人間であるジョーとリサは、この世界ではとんでもない天才になっているのである。しかしながら普通にしゃべっているとカマっぽいと馬鹿にされて警察に追われたり、裁判にかけられたりするわけだが、結局天才なので大統領の目に留まり内務大臣に任命され、国の食糧危機などを解決するように命じられる。この世では天才かもしれないが、いわゆる普通の人間がどのようにしてこの危機を脱することが出来るのか、という物語。
 荒唐無稽の悪い冗談で下品極まりないコメディなんだが、最初からバカしかいない世界だと普通のバカではとても理解しがたい軌道の逸し方になってしまっている。そこのところが下品だが安心して笑えるということになるのかもしれない。食糧危機を打開するというか、問題の原因を見つけることが出来たにもかかわらず、その理屈をそもそもその世界の人間は理解できない。しかし限られた時間しかない中で、まさに翻弄されながらもやるしかない状況に陥っていくのである。
 こういう下品なコメディに顔をしかめることは簡単だし、やはり気分が乗らない時にはさらに気分が悪くなるだろうことは間違いあるまい。人を選ぶというか、日本人の感じる下品さ加減よりさらに上をゆく文化的な馬鹿さ加減に、ただただ呆れるより無いだろう。しかしながら正直に告白すると、まあ、僕のような人間はこのような馬鹿もそれなりに楽しめるのである。そういう同類かどうかということはさておいて、別段だれの目を引かなくても人類史上には何の影響もない作品ではあるだろう。だからこそ観たいというモノ好きのためにもこのようにDVD化されたということを感心するより無い。これを見る目のある判断とするか、ただの愚行と考えるかは、やはり観てから判断してはどうだろうか。
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