カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

目覚める必要のあるのはどちらか

2012-11-14 | 境界線
目覚める必要のあるのはどちらか
大地は誰のものか ~大地を耕す中国人~

 以前北方領土のドキュメンタリーを見た時も感じたことだが、ロシヤの地には多くの中国人が進出している。ロシヤ人ばかりが住んでいるのかと言ったら現状はそうでなく、農地を耕したり、建築などの労働現場には、多くの中国人が働いているのである。
 中国は食糧純輸入国に転じており、世界のあらゆるところに進出して食糧確保に奔走しているという。中国東方地区はロシヤと国境を隣接しており、多くの農民がロシヤの国土を借りて農作物を生産している。そのレポートだったのだが、基本的には家族を養うために、単身または会社単位で出稼ぎに行っているということのようだった。ロシヤには広い農地が放棄してある現実があって、そこの部分に中国人がこぞって進出しているという風景だ。ロシヤにも農民はいるのだが、ソ連時代の集団農場の名残があるのか、まじめに働く人は少ないし、中国式の合理化が進んでおらず、市場でも完全に中国人が生産した野菜などに席巻されつくしているという感じだ。太刀打ちできないままでありながら、結局頑固に昔ながらの方法で対抗しようとして、必ずしも上手く行っていない。土地の問題でも税金など行政の思惑があって、地元農民が必ずしも有利な状態に無い。構造的に付け入れられる隙も多いし、実態として中国人農民と戦えるような力を持っていない。対して中国人農民は、本当に一所懸命に働いて、少しでも利益が出せるよう日々努力を重ねている。国としては大いなる脅威にまで成長している現実はありながら、実は実力でその地位を着実に固めていっているということなのである。
 最終的には両国間は自由貿易提携の流れにあり、既に勝負はついているという印象を受けた。農地という国土を中国人に奪われてしまっているというが、むしろロシヤの側がそのことを望んでいるように見えた。農民たちはボヤボヤしており、さらに自分で大した努力もしない。同じ共産主義の国とは思えないほど、人間的な意識が違う。むしろ必ずしも最初から有利な立場では無いにもかかわらず、着実に努力を積んだという実績が、中国人の勢いをもたらしているということになるだろう。これは非常にフェアなことだし、今後も中国人が席巻した方がむしろまっとうだという印象を受けた。これを政治的に覆すことがあるとしたら、それこそ不公平で問題の多いことになるのではあるまいか。
 豊かになるには、人間的にはつらい努力も必要だ。その様な努力を保障するものは、極めて自由な環境にある必要があるのだと思う。感情的には国土をこのような形で奪われることは脅威であるには違いないが、人間的に豊かなものとは、どちらの立場に立つかということだ。ロシヤの土地は国土してはロシヤ人のものだろう。しかしながらその土地で汗を流して正当に努力しているものに、不当な扱いをしていいという権利がある訳ではない。そういう至極まっとうな流れとして国土を事実上奪われているのであれば、それはロシヤ自体にとっては自由で良い国になっていることの証明でもあると考えられる。働かない農民のために国土を荒らしてしまうより、有効に美しい農地を広げた方が、お互いに良いことであるのは間違いあるまい。今後永遠に中国人が席巻するのかは分からないが、目覚めるべきはロシヤの農民であることは間違いないのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする