僕の若いころから問題になっていて(しかしオウム問題でかき消された経緯があるが)、さらにこれだけ社会的な敵になりながら、一定の信者がいて、さらに山上の母親のような頭のおかしい熱心な信者がいまだに頑張っているようなことが、なぜ起こるのか? 理解するにも苦労するのだが、いったいこれはどうしてなのだろうか。
実は勧誘方法というのは明らかにされていて、最初は手相などを見るのだという。素晴らしい手相をしているのに、それを妨げているものがある、というような語りがあるのだという。言われた方は、その内容を自分なりに考えることになる。悩みなどがあると、勝手にそれを解釈して当てはめることになりそうだ。そうしてキーワードとして「今あなたは転換期にある」と言われるのである。まさにそれらの思い当たる問題点や、悩みのようなものの解決に向けて、導かれる思いがするのかもしれない。この時点では宗教の勧誘であるなどということはみじんも匂わせない。
そうやって誘われて有料のセミナーなどに参加させられる。5万円とか法外の値段にもかかわらず参加したりするのだという。そこで宗教だということは知らされるというか、わかるようにはなるのだそうだが、要するに家族の不幸や、何か問題点などを鑑みて、自分が変わらなければ、とか、自分が何とかしなければならないような責任感のようなものに、駆られることになる。それに付け込んで宗教的な勧誘が推し進められていく。教団のグッズを売るなどお手伝いなどをするようになったりして、さらに活動自体にのめり込んでいって、いつの間にか自分自身で物事を考えるよりも、教団の教え通りに考えるような思考に陥っていくのだという。
このような勧誘は、考えてみると他の営業などにも使えそうな感じもするのだが、なかなかに巧妙で、したたかである。この方法を暴露したNHKの番組は、教団から激しく抗議を受けたことからも分かるが、教団の詐欺性のようなものを自ら認めているからこそ、そのような反応をしているのだろう。もっともほかのメディアなどに対しての威嚇もあるのだろうけど。信者がいなければ成り立たない詐欺軍団なので(もはや宗教でさえないだろう)、このやり方の暴露は死活問題ということであるようだ。もっともそれを知った人が、手相を信じなくなるわけではなさそうなので、これからも使える手口でありつづけるだろうけれど。
要するに、統一教会のような団体の手口を知ったとしても、ほんの一部の人たちにしか、騙されない有効性は保てないのではないかということを思うのである。こんな連中に騙されるはずがないと考えている多くの人は、やっぱりこのようなやり方に誘導されて騙されていく人を含んでいるはずなのだ。ほとんどの場合教団の接触が無かっただけのことで、危険から免れている人がほとんどであろうし、それくらいの少数の人を騙すだけでも、教団が成り立つくらいの資金集めが可能だということも言えるかもしれない。そうしてこれだけのことが起こった後でも、騙されている信者は目覚める事さえ妨げられている。誰かのために行動をしてしまった人というのは、それだけ強力に抜け出せなくなる人間性というものが、どうもあるらしいと考える方がよさそうだ。そこに付け込んでいるのが彼らの勧誘の行きついた方法だ、ということなのであろう。