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「天明年中叓」を読む 4

(水路土手のヤブマオの花)

目立たない雑草の花だが、この季節、水路の土手に一杯咲いている。

ヤブマオはカラムシ(苧)と近縁で、和名はカラムシの別名であるマオに藪を冠したもの。かつてはカラムシと同様に、茎の植物繊維から糸を紡いで、布を織ったという。

午後、昨日に続いて夕立で、激しく降る中、金谷宿大学の打ち合わせで、みんくるに行く。会議に間、止んでいたのに、終るころにまた激しく降った。そろそろ、酷暑の夏も先が見えて来たようだ。

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「天明年中叓」の解読を続ける。

一 岡部殿御馬先の、種ヶ島(たねがしま)と見えし鉄炮五挺、一文字に並び、供(とも)せしとなり。
一 跡乗(あとのり)、家老栗宮七郎兵衛、行列りっぱなる事の由。対鑓四本、持鑓(もちやり)弐本、鼻高牽馬(ひきうま)、以上弐疋の由。
一 岡部殿御出馬、通り町筋御通行。将軍家も御透見(すきみ)遊ばされ候との風説これ有る由。それ故、通り町筋御出馬と、風聞これ有り候なり。
※ 跡乗(あとのり)➜ 行列などに供奉して、最後に騎馬で行くこと。また、その人。
※ 持鑓(もちやり)➜ 大将のしるしとして持つ、短い槍。
※ 鼻高(はなたか)➜ 天狗の異称。但しここでは、「自慢の」という意か。
※ 牽馬(ひきうま)➜ 貴人または諸侯などの外出の行列に、鞍覆をかけて美々しく飾り、連れていく馬。
※ 透見(すきみ)➜ 物のすき間からのぞいて見ること。のぞき見。


    丁未(ひのとひつじ)(天明七年、一七八七)十二月八日
    阿部伊勢守殿にて、御留守居、召し呼ばれ、左の通り、
    御書付御渡し成られ候。
一 遠州相良城破却、仰せ付けられ候に付、取毀(とりこぼち)の儀、井上武三郎本多伯耆守西尾隠岐守へ、仰せ付けられ候。前三人より、人数差し出し候筈候の間、その意を得べく候。
                         岡部美濃守、
遠州相良城破却、仰せ付けられ候に付、城破却に随い、在番人数、追々減少致すべく候。
※ 阿部伊勢守 ➜ 阿部正倫(まさとも)。備後福山藩四代藩主。江戸幕府で寺社奉行、老中を務めた。この時、老中であったが、田沼派に属したため、翌年には辞任した。
※ 井上武三郎 ➜ 井上正甫(まさもと)。前年、父(正経)の死去により、幼くして家督を継いで浜松藩主となる。
※ 本多伯耆守 ➜ 本多正温(まさはる)。駿河田中藩第四代藩主。
※ 西尾隠岐守 ➜ 西尾忠移(ただゆき)。遠江横須賀藩の第四代藩主。正室が意次の娘であった。
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