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「復讐 天橋立」を読む 14

(散歩道のフヨウの花)

フヨウは一日花と言われて、朝咲いて、夕方にはしぼんでしまう。何日も持つように見えるのは、毎日、新しい花が咲いているらしい。散歩した夕方、日は傾けども、まだ高かったけれども、早くもどの花もしぼみかけていた。

数日前から、吉田町のTSさんに連絡を取っていたけれども、スマホが繋がらず、どうかしたかと心配していたが、今日連絡が取れた。どうやら昨日まで地元の神社のお祭りだったようだ。明日、会う約束をした。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

藤弥太、九郎兵衛が労を謝すれば、おみなおとせも初めて安堵の思いをなし、悦ぶことは限りなし。

さてしも、かゝる騒動、兼ねて所の者どもが訴えにより、代官所の役人ここに来り、始末を具(つぶさ)に聞きとどけ、先ず藤弥太、その外掛かり合いの者ども、今泉方に預け置き、即死の両士は、永尾の家中のよしなれば、急ぎ飛脚を馳せて、その子細を申し遣しけるに、かの方には貞義、丹下が武士にあるまじき段々(だんだん)の始末、殊に両人とも相手に薄手(うすで)も負わせず相果てたる不覚者(ふかくもの)を、家来と云わんは家の恥辱と。
※ 段々 ➜ 事柄の一つ一つ。条々。
※ 薄手(うすで) ➜ 戦いなどで受けた、軽い傷。浅手。
※ 不覚者(ふかくもの) ➜ 臆病な人。卑怯者。また、不覚をとる人。


永尾家にはこの方に於いて、さようの家来曽(かつ)てなしとの返答により、無宿者となりて、藤弥太が切徳(きりどく)、何の故障なく落着におよび、九郎兵衛、殊に褒称(ほうしょう)を得て、面目(めんぼく)を施(ほどこ)ければ、藤弥太も悦喜(えつき)し、再会を約し、既に双方立ち別れて帰宅をぞなしたりける。
※ 切徳(きりどく) ➜ 人を斬っても咎(とが)めを受けないこと。
※ 褒称(ほうしょう) ➜ ほめたたえること。称賛。
※ 面目を施す ➜ 評価を高める。体面・名誉を保つ。
※ 悦喜(えつき) ➜ 非常に喜ぶこと。


去るにても大見崎、飯貝の両人、誠に若気(わかげ)浅智(せんち)にて、藤弥太を殺害し二人の娘を奪い取りて立ち退かんと工(たく)みつるも、終(つい)におのれが身に報いて、人のあざけりにあう種となりぬ。
※ 若気(わかげ) ➜ 若者の、血気にはやる気持ち。
※ 浅智(せんち) ➜ あさはかな知恵のこと。

(第一回 おわり)
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