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「嘉六舩難舩浦證文」の解読 3


嘉六舩難舩浦證文4P


嘉六舩難舩浦證文5P

「嘉六舩難舩浦證文」の続き、3P11行目より。

右者、今暁當御領分中嶋村濱江漂着仕候ニ付、
為御見分被成御越、私共一同立會御改請候処、
小面之通、相違無御座候。依之、右打揚候舩
具品々、此上異管無之様、双方立會昼夜番
仕、追而御沙汰御座候迠、念入可申旨被仰渡、
一同承知奉畏候所、為御請一札奉差上候、以上。
※ 小面(しょうめん)➜ 自らの書面をへりくだった表現。
    嘉永二酉年十一月朔日
      大坂道修町壱丁目
        嘉六舩水主(かこ)
          〃  長次郎 つめ印
          〃  嘉兵衛 〃
          〃  甚兵衛 〃
          〃  権三郎 〃
          〃  乙吉  〃
          〃  佐介  〃
          〃  平吉  〃
          〃  八次郎 〃
          〃  徳蔵  〃
           沖舩頭
             弥四郎 つめ印
     松平丹後守御内
        渡部登平殿
※ 水主(かこ)➜ 船頭以外のすべての船乗りをいう。すいしゅ。
※ つめ印(つめいん)➜  花押または印章の代わりに指先に印肉をつけておすこと。

 【 読み下した文】

右は今暁(こんぎょう)、当御領分、中嶋村浜へ漂着仕候に付、
御見分のため、御越しなされ、私ども一同立ち会い、御改め請け候処、
小面(しょうめん)の通、相違御座なく候。これにより、右打ち揚り候船
具品々、この上異管これ無き様、双方立ち会い、昼夜番
仕り、追って御沙汰御座候まで、念入り申すべき旨、仰せ渡され、
一同承知、畏まり奉り候所、御請けのため一札奉差し上げ奉り候。以上。
    嘉永二酉年十一月朔日
      大坂道修町壱丁目
        嘉六舩水主(かこ)
          〃  長次郎 つめ印
          〃  嘉兵衛 〃
          〃  甚兵衛 〃
          〃  権三郎 〃
          〃  乙吉  〃
          〃  佐介  〃
          〃  平吉  〃
          〃  八次郎 〃
          〃  徳蔵  〃
           沖舩頭
             弥四郎 つめ印
     松平丹後守御内
        渡部登平殿

(5P2行目まで、以下つづく)

********************

読書:「幸くらべ 小料理のどか屋人情帖32」 倉阪鬼一郎 著

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「嘉六舩難舩浦證文」の解読 2


嘉六舩難舩浦證文3P

「嘉六舩難舩浦證文」の続き、2P10行目より。

      覚
一 明運丸五百石積   大坂道修町壱丁目
  空舩拾壱人乗壱艘   嘉吉舩沖船頭
                弥四郎
    但、磯際而微塵打碎ヶ
             散乱相成申候。
一 登斗敷   壱枚
一 舩梁    三本
一 大廻り   少々
一 蒲團    四つ
一 柳篭履   壱つ 是者舩頭所持着類入
一 桐箱    壱つ 内ニ往来一札浦賀
  〆         御役所御手契入
 右之外舩具微塵ニ相成品柄相分り
 不申候。刎捨(はねすて)候賣荷物者少しも
 打上り不申候。
※ 登斗敷・大廻り ➜ (意味不詳)
※ 着類(きるい)➜ 着るもの。衣類。衣服。
※ 刎捨(はねすて)➜ 船が荒天・座礁その他の事故で危険に瀕したとき、その安全のため、積荷の一部ないし全部を海中に捨てること。

 【 読み下した文】

       覚え
一 明運丸五百石積    大坂道修町壱丁目
  空船拾壱人乗、壱艘   嘉吉船 沖船頭
                  弥四郎
    但し、磯際にて微塵に打ち碎け
              散乱相成り申し候。
一 登斗敷     壱枚
一 船梁      三本
一 大廻り     少々
一 蒲団      四つ
一 柳篭履(ごうり)壱つ これは船頭所持、着類入り
一 桐箱      壱つ 内に往来一札、浦賀
  〆          御役所御手契入り
 右の外、舩具微塵に相成、品柄(しながら)相分り
 申さず候。刎捨(はねすて)候売荷物は、少しも
 打ち上り申さず候。

(3P10行目まで、以下つづく)

********************

夜、区長の仕事、最後の班長会。来月は手当ての支給のみで集まることになる。

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「嘉六舩難舩浦證文」の解読 1


嘉六舩難舩浦證文1P


嘉六舩難舩浦證文2P

大坂道修町壱丁目の嘉六舩が難破の経緯をを記した文書である。まだどんな内容なのか見当は付いていないが、読み進める内に分るであろう。それでは始めよう。

      嘉永二酉年
   大坂道修町壱丁目
       嘉六舩
     難船ニ付浦證文之写
       十二月吉日

        乍恐以書付奉願上候
一 大坂道修町壱丁目嘉六舩明運丸沖舩頭
弥四郎始水主共拾壱人乘松前ゟ登り
舩鰯〆粕昆布ホ積入、先月廿七日浦賀
湊出帆仕候處難風ニ而、今暁八ッ半時頃當
濱江破舩ニ而打揚所、拾壱人之内拾人
者上陸仕候得共壱人者如何様相成申
候哉行衛相知不申、此段乍恐御届申上候。
何卒所始末御見分被下置候様仕度偏
ニ奉願上候、以上。
 嘉永二酉年十一月朔日 中嶋村

            組頭 佐右衛門

            同  佐五兵衛

          年番名主 冨右衛門

  宮ケ崎御役所

【 読み下した文】

         恐れながら書付をもって願い上げ奉り候。
一 大坂道修(どしょう)町壱丁目、嘉六船明運丸、沖船頭
弥四郎始め、水主ども拾壱人乗り、松前より登り
船、鰯〆粕、昆布など積み入れ、先月廿七日浦賀
湊出帆(しゅっぱん)仕候処、難風にて、今暁八ッ半時頃、当
浜へ破船にて打揚(うちあが)る所、拾壱人の内、拾人
は上陸仕候えども、壱人は如何様(いかよう)相成り申し
候や、行衛(ゆくえ)相知り申さず、この段、恐れながら御届け申し上げ候。
何とぞ、所始末御見分、下し置かれ候様仕りたく、偏(ひとえ)
に願い上げ奉り候、以上。
 嘉永二酉年十一月朔日 中嶋村
            組頭 佐右衛門
            同  佐五兵衛
          年番名主 富右衛門
  宮ヶ崎御役所

(2P九行目まで、以下つづく)

********************

三回目のワクチンを昨日打ったが、今日午後、その副反応であろうか、身体がだるく、風邪の引き始めのような気分であった。やばいなあと思ったが、幸い夜寝る頃には気分が元に戻った。

読書:「虚け者 秋山久蔵御用控 19」 藤井邦夫 著

 

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「遠国御名代勤方留」の解読 17

遠国御名代勤留14P

「遠国御名代勤方留」の続き、14P最初より。

                     大澤右京大夫留之寫
      文化十二年二月朔日
一 修理大夫、忌中ニ付、為名代、六時過出宅登城、着用熨斗目(のしめ)、同半上下
※ 熨斗目(のしめ)➜ 腰のあたりに、縞や格子を織り出したもので、江戸時代には武士の小袖として麻上下の下に着用した。

※ 半上下(はんかみしも)➜ 江戸時代、武士の出仕服。目見得以下および庶人の通常の麻上下をいう。
一 獻上之御祓熨斗蚫(のしあわび)、昨日、従品川驛、直ニ拙者方江差越、今朝
例之通、中之口迠差出、予、登 城之上、修理大夫忌中ニ付、為名代、
拙者罷出候。獻上之御祓御熨斗之儀、御同朋頭丹阿弥江逢、例之通
取計様申置、承知之旨ニて、例之通、奥江相廻ル。
※ 御祓(おはらい)➜ 神社から出す災厄よけのお札。
※ 熨斗蚫(のしあわび)➜ アワビの肉を薄く裂いて乾燥させ、引き伸ばして作った熨斗。初め神前に供えたが、のちには広く祝儀にも用いる。
一 先達而修理大夫江被成御渡候 御朱印、并、宿駅證文、并、増
人足證文ホ、同人忌中ニ付、大炊頭、致登 城之節、中之間小
溜ニおゐて、御同人江返上、両御師より献上之御祓御熨斗蚫も、
被給差出候段、申上之。
一 能登守殿江両御師より献上之御祓御熨斗蚫、今朝西丸江
差出置候段、御同朋頭丹阿弥を以、申上之。

一 修理大夫、忌中ニ付、為名代、右京大夫登 城、
御名代無滞相勤候段、羽目之間おゐて、御老中列坐、
備前守殿江申上之。
大納言様、御名代無滞相勤候段、於同席、能登守殿江申上之。

【 読み下した文】

                       大沢右京大夫留めの写し
      文化十二年二月朔日
一 修理大夫、忌中に付、名代として、六時過ぎ出宅、登城、着用、熨斗目、同半上下
一 献上の御祓熨斗蚫、昨日、品川驛より、直に、拙者方へ差し越し、今朝、

例の通り、中の口まで差し出し、予、登城の上、修理大夫忌中に付、名代として、
拙者罷り出候。献上の御熨斗の儀、御同朋頭丹阿弥へ逢い、例の通り、
取り計らう様申し置き、承知の旨にて、例の通り、奥へ相廻る。
一 先達て、修理大夫へ御渡し成され候、御朱印、並び宿駅証文、並び増
人足証文など、同人忌中に付、大炊頭登城致すの節、中の間小
溜りにおいて、御同人へ返上、両御師より献上の御祓御熨斗蚫も
差し出し給われ候段、これを申し上ぐ。
一 能登守殿へ、両御師より献上の御祓御熨斗蚫、今朝、西丸へ
差し出し置き候段、御同朋頭丹阿弥を以って、これを申し上ぐ。
一 修理大夫、忌中に付、名代として、右京大夫登城、
御名代滞り無く相勤め候段、羽目の間において、御老中列坐、
備前守殿へこれを申し上ぐ。
大納言様、御名代滞り無く相勤め候段、同席に於いて、能登守殿へ申し上ぐ。

(14P終りまで、以上終り)

********************

午後、掛り付け医で、夫婦して、3度目のワクチン接種を終えた。3度目もファイザー製である。これで一安心といったところか。

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「遠国御名代勤方留」の解読 16


遠国御名代勤留13P

「遠国御名代勤方留」の続き、13P。

遠国御名代勤留13P、右図の解読

遠国御名代勤留13P、左図の解読

 

(13Pまで、以下つづく)

読書:「術策 総目付臨検仕る 2」 上田秀人 著

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「遠国御名代勤方留」の解読 15


遠国御名代勤留12P

「遠国御名代勤方留」の続き、11Pの17行目より。

一 両御丸年寄衆并水野出羽守殿江廻勤口上書左之通、外ニ扣一通
      奈須(那須)奉書半切
※ 那須奉書(なすほうしょ)➜ 鎌倉時代、下野国の那須で、那須十郎が越前より職人を招き、奉書紙を漉かせたのが起源。やがて那須紙として全国に知れ渡る。
         口上覚
        私儀先月八日、京都江御暇被下置
        拝領物仕、難有仕合奉存候、右御禮
        其節差急候ニ付、伺公(しこう)不仕候。今日御禮
        伺公可仕候處、病氣罷在候間、右
        御禮以名代申上候。
※ 伺公(しこう)➜ 目上の人のご機嫌伺いをすること。
         十二月廿九日     有馬兵部大輔
                   名代
                    中條大和守

一 両御丸若年寄衆江廻勤口上書左之通り、六通外扣一通
         口上覚
        拙者儀先月八日、京都江御暇被下置
        拝領物仕、難有仕合奉存候、右御礼
        其節差急候ニ付、不致伺公候。今日御礼
        伺公可致候處、病氣罷在候間、右
        御禮以名代得御意候。
         十二月廿九日     有馬兵部大輔
                   名代
                    中條大和守

一 廻勤右之口上書差出候。外ニ、今日以名代
御返答申上候口上ハ無之、右書面之通り斗り也。仍為後日
記置。

【 読み下した文】

一 両御丸年寄衆、並び、水野出羽守殿へ、廻勤口上書、左の通り、外ニ控え一通。
      那須奉書半切り
         口上覚え
        私儀、先月八日、京都へ御暇下し置かれ、
        拝領物仕り、有難き仕合わせ存じ奉り候、右御礼、
        その節、差し急ぎ候に付、伺公(しこう)仕らず候。今日御礼
        伺公仕るべく候処、病気罷り在り候間、右

        御礼、名代を以って申し上げ候。
         十二月廿九日     有馬兵部大輔
                   名代
                    中條大和守

一 両御丸若年寄衆へ、廻勤口上書、左の通り、六通、外控え一通。
         口上覚え
        拙者儀、先月八日、京都へ御暇下し置かれ、
        拝領物仕り、有難き仕合わせ存じ奉り候、右御礼
        その節、差し急ぎ候に付、伺公致さず候。今日御礼
        伺公致すべく候処、病気罷り在り候間、右
        御礼、名代を以って御意を得候。
         十二月廿九日     有馬兵部大輔
                   名代
                    中條大和守

一 廻勤、右の口上書差し出し候。外に、今日、名代を以って
御返答申し上げ候。口上はこれ無く、右書面の通りばかりなり。仍って、後日のため
記し置く。

(12Pまで、以下つづく)

読書:「思案橋 新・知らぬが半兵衛手控帖 2」 藤井邦夫 著

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「遠国御名代勤方留」の解読 14

遠国御名代勤留11P

「遠国御名代勤方留」の続き、10Pの14行目より。

一 當方両傳奏 御使相勤候名勤書 一通
                  ミタシ   有馬兵庫大輔
                  鷹司関白殿
                  閑院宮
                  有栖川入道一品(いっぽん)
                  有栖川宮
                  閑院常陸宮
                  知恩院宮
※ 一品(いっぽん)➜ 親王の位階の第一位。
        右
        仙洞就 崩御
        御使被進、忝(かたじけなく)思召候。此段、宜
        申上候様被仰候。
                  両傳奏
                    六條前大納言
                    山科前大納言
        右
        仙洞就 崩御蒙
        上意忝仕合被存候。此段
        御老中迠宜申上候様
        被申候。
右之書面、不残扣一通ツヽ有之候。

一 御同座之節 言上書左之通、今日ハ西丸江別段罷出候故不用也。
                  ミタシ   有馬兵庫大輔
        禁裏 中宮
        東宮より
        御返答御同様被
        仰進候。

【 読み下した文】

一 当方両伝奏へ、御使相勤め候名勤書 一通
                  見出し   有馬兵庫大輔
                  鷹司関白殿
                  閑院宮
                  有栖川入道一品宮
                  有栖川宮
                  閑院常陸宮
                  知恩院宮
       右
       仙洞崩御に就き、
       御使進じられ、忝なく思し召し候。この段、宜しく
       申し上げ候様、仰せられ候。
                  両伝奏
                    六條前大納言
                    山科前大納言
       右
       仙洞崩御に就き、
       上意を蒙り、忝なく仕合わせ被存じられ候。この段、
       御老中まで宜しく申し上げ候様
       申され候。
右の書面、残らず控え一通ずつこれ有り候。

一 御同座の節、言上書、左の通り、今日は西丸へ別段罷り出で候故、用いざるなり。
                 見出し   有馬兵庫大輔
       禁裏、中宮、
       東宮より、
       御返答、御同様
       仰せ進じられ候。

(11Pの16行目まで、以下つづく)

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「2022.2.22」今日は2が六つ並ぶ特異日で、猫の日としてテレビが騒いでいる。

一方、ロシアがいよいよウクライナに侵攻するというニュースが流れている。プーチンの野望は、東ヨーロッパを勢力圏に置き、冷戦時代の勢力図に戻すことのようだ。アメリカの勢力が弱まった故の、強気の侵攻なのだろう。人類は何も進歩していない。

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「遠国御名代勤方留」の解読 13


遠国御名代勤留10P

「遠国御名代勤方留」の続き、9Pの16行目より。

一 両御丸江差上候言上書、左之通、二通。
      中、奉書半切
                   ミタシ(見出し)   有馬兵庫大輔
         禁裏 中宮
         東宮より
         御返答被 仰進候。
         仙洞 崩御ニ付、
         御使被差登、被為入御念(ごねんいらせらる)御事、被
         思召候。
         御機嫌被為替(かわらさせられ)候御儀、無御座候。
         此段宜(よろしく)申上候様。

一 御臺様 御簾中様へ言上書壱通。
                   ミタシ(見出し)   有馬兵庫大輔
         御臺様、御簾中様江
         禁裏 中宮

         東宮より
         御返答被 仰進候。
         仙洞 崩御ニ付、
         御使被差登、被為入御念
         御事、被思召候。
         御機嫌被為替候御儀、無
         御座候。此段宜申上候様。

【 読み下した文】

一 両御丸へ差し上げ候言上書、左の通り、二通。
     中、奉書半切
                  見出し   有馬兵庫大輔
         禁裏、中宮、
         東宮より、
         御返答仰せ進じられ候。
         仙洞、崩御に付、
         御使差し登られ、御念入らせらる御事、
         思し召され候。
         御機嫌、替わらせられ候御儀、御座なく候。
         この段宜しく申し上げ候様。

一 御台様、御簾中様へ言上書、壱通。
                  見出し   有馬兵庫大輔
         御台様、御簾中様へ
         禁裏、中宮、
         東宮より、
         御返答仰せ進じられ候。
         仙洞、崩御に付、
         御使差し登られ、御念入らせらる
         御事、思し召され候。
         御機嫌、替わらせられ候御儀、
         御座なく候。この段宜しく申し上げ候様。

(10Pの13行目まで、以下つづく)

********************

講座受講者中、最高齢のAさんから、もう出席出来なくなったと電話があった。前の先生の時代も含めると、四半世紀近くも、古文書講座に通って頂いた。長い年月、ありがとうございました、と礼を言って電話を切った。

西郷輝彦氏の訃報がテレビで流れた。享年75歳。同い年である。

読書:「黛家の兄弟」 砂原浩太朗 著

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「遠国御名代勤方留」の解読 12


遠国御名代勤留9P

 

「遠国御名代勤方留」の続き、8Pの23行目より。

一 西丸御目付夏目次郎右衛門江、坊主を以、有馬兵部大輔名代大和守罷出候趣、為心得申達。
一 下野守殿登 城之節、中之間ニ罷在、一旦奥江被入、其後御同朋頭山本
春阿弥、寄(より)候様申聞候。御目付曽我七兵衛寄セ候ニ付、寄罷在候處、
下野守殿、中之間前江出席、罷出 御返答左之通申上候。
     禁裏、中宮、東宮より 御返答被
     仰進候。委細者言上書を以申上候と申し、差出、
     御披見相濟、退去。
一 中之間ニ、大目付伊藤河内守江も、今日為名代罷出候趣無(なく)、急度咄置候。
一 御本丸より有馬家来、西丸中之口江罷在、退出之節、両丸共
無滞(とどこおりなく)相濟候趣、罷帰候上宜被申上候様、申述退出。
   但、今日両丸ニ而列坐出席之、大目付、御目付之名前、為心得記し遣ス。
一 同人家来江廻勤相濟候儀ハ、乍畧儀、別段不申達之旨も申遣ス。
一 退出より、両丸老衆水野出羽守殿、両丸若年寄衆江廻勤、左之通、口上書一通宛(づつ)差出候。
   有馬兵部大輔名代中条大和守、委細ハ口上書ニて申上候与
   申、差出候口上書ハ末ニ記ス。
一 相濟、帰宅七時前。
一 帰宅後、同所より使者   今日之挨拶申来。

【 読み下した文】

一 西の丸御目付、夏目次郎右衛門へ坊主を以って、有馬兵部大輔名代、大和守罷り出で候趣、心得のため申し達す。
一 下野守殿登城の節、中の間に罷り在り、一旦奥へ入られ、その後、御同朋頭山本
春阿弥寄り候様、申し聞き候。御目付曽我七兵衛寄せ候に付、寄り罷り在り候処、
下野守殿、中の間前へ出席、罷り出で、御返答左の通り申し上げ候。
     禁裏、中宮、東宮より、御返答
     仰せ進じられ候。委細は言上書を以って申し上げ候と申し、差し出し、
     御披見相済み退去。
一 中の間に、大目付伊藤河内守へも、今日名代として罷り出候趣無く、急度咄し置き候。
一 御本丸より有馬家来、西丸中の口へ罷り在り、退出の節、両丸とも
滞りなく相済み候趣、罷り帰り候上、宜しく申し上げられ候様、申し述べ、退出。
   但し、今日両丸にて列坐出席の、大目付、御目付の名前、心得のため記し遣わす。
一 同人家来へ、廻勤相済み候儀は、略儀ながら、別段申し達さざるの旨も申し遣わす。
一 退出より、両丸老衆、水野出羽守殿、両丸若年寄衆へ廻勤、左の通、口上書一通ずつ差し出し候。
   有馬兵部大輔名代、中条大和守、委細は口上書にて申し上げ候と
   申し、差し出し候口上書は末に記す。
一 相済み、帰宅七時(ななつどき)前。
一 帰宅後、同所より使者。今日の挨拶申し来たる。

(9Pの15行目まで、以下つづく)

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昨日はブログ休み。午前、午後と金谷宿大学の2講座をこなし、前日のオリンピックのカーリングで夜更かしした影響もあって、休んでしまった。

今夜、区長の仕事で、会議へ出る。残り1ヶ月半の任期である。

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「遠国御名代勤方留」の解読 11


今日の富士山、静岡城北公園より

午後、駿河古文書会へ出席。前回に続き、発表当番。

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「遠国御名代勤方留」の続き、8Pの9行目より。

一 西丸江登城、坊主吉野栄二と、御同朋頭を以って申込候処、山本春阿弥
罷越候ニ付、逢候而、今日有馬兵部大輔、京都帰府、
御返答申上候に付、名代大和守罷出候。御見廻り之御臺中、登
城之節ハ、例之席江ハ不罷出、中之間ニ罷出候間、左様宜(よろしく)被仰上(おおせあげられ)
(たまい)候様申達。今日、御返答申上候御席ハ、新部屋前ニ而御座候哉、
何方ニ候哉、御伺之上、宜(よろしく)頼入候旨申置。い川連(いずれ)登城之上、
別段寄セ候而、 御返答被仰上候方、宜旨申聞候。且今日、羽目
之間ニて御列座 御返答被仰上候得共、中之間前ニて、
御返答多分被仰上候方と、御心得被成候様、奉存候。乍去(さりながら)(つき)
(とめ)(かく)者無之旨、申聞候。左候得者、此方二て例(れいして)召出に応じ、
言上書ハ新部屋前ニて差上候。右候含(ふくみ)ニて、御伺被下様頼置、其後
同人申聞候者、先刻於 御本丸、西丸奥御右筆組頭、高木新三郎
を以、御見廻り御老中下野守殿江、右之席ニ而 御返答申上候
趣伺、相濟居候趣申聞候故、右之通相心得候趣申達。
※ 格(かく)➜ きまり。

【 読み下した文】

一 西丸へ登城、坊主吉野栄二と、御同朋頭以って申込候処、山本春阿弥
罷り越し候に付、逢い候て、今日有馬兵部大輔、京都帰府、
御返答申上候に付、名代大和守罷り出で候。御見廻りの御台中、登
城の節は、例の席へは罷り出ず、中の間に罷り出で候間、左様宜しく仰せ上げられ
給い候様申し達す。今日、御返答申し上げ候御席は、新部屋前にて御座候や、
何方(いずかた)に候や、御伺いの上、宜しく頼み入り候旨申し置く。いずれ登城の上
別段寄せ候て、御返答仰せ上げられ候方、宜しき旨申し聞き候。且つ今日、羽目
の間にて御列座、御返答仰せ上げられ候えども、中の間前にて
御返答多分仰せ上げられ候方と、御心得成され候様、存じ奉り候。さりながら、突き
留め候格(かく)はこれ無き旨、申し聞き候。左候えば、この方にて例して、召し出しに応じ、言上書は新部屋前にて差し上げ候。右候含みにて、御伺い下さる様頼み置き、その後、
同人申し聞き候は、先刻御本丸に於いて、西の丸奥御右筆組頭、高木新三郎
を以って、御見廻り御老中下野守殿へ、右の席にて、御返答申し上げ候
趣伺い、相濟居候趣申し聞き候故、右の通り相心得候趣申し達す。

(8Pの22行目まで、以下つづく)

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