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「天明年中叓」を読む 8

(散歩道のカラスノマクラ、22日撮影)

秋には赤く色づいて、よく目立つカラスノマクラも、今は緑の瓜坊である。

朝、防災訓練。9時にスマホがけたたましく鳴って、地震発生のエリアメールを受信した。もちろん訓練ではあるが。実際に地震発生時にこのエリアメールがどう役立つのだろう。同様に、先日、台風時に、川根の避難勧告を受信した。当地には関係なかったが、それは役に立ったのかもしれない。

今日の訓練は班の集合指定地に集っただけで終わった。この猛暑の時期、区で集まっての訓練は、別の危険が生じるからか、数年前から実施されない。

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「天明年中叓」の解読を続ける。

一 相良城、岡部殿御請け取り後、剥(は)ぎ捨ての儀、仰せ付けられ候。晴天十日の内に、人夫を具(ぐ)し、一万人ずつ出し、打ち崩し、引き崩し、木石(ぼくせき)、戸障子などまで、その所に、そのまま捨て置き候様に、との御事の由。世の人言えるは、不忠の人、築きし城地(じょうち)なれば、剥ぎ捨てに成りしか、と言えりとぞ。
※ 城地(じょうち)➜ 城と領地。また、城下。

   田沼主殿頭(とのものかみ)殿へ仰せ渡され候趣
その方義、積年(せきねん)御側(そば)を相勤め、格別御懇意を蒙(こうぶ)り、抜群の御厚恩を以って、追々結構(けっこう)の身分に候えば、責(せめ)るは、寸志を念(ねん)じ、御学文(学問)を御勧(すす)め申し上げ、何卒(なにとぞ)御政事(まつりごと)に御自親(みずから)、思し召しさせられ、以後は、御先代様御同様の、御盛立(せいりゅう)にも在らせられ、上下一統、御仁徳(じんとく)感戴(かんたい)奉り候の処、
※ 田沼主殿頭(とのものかみ)➜ 田沼意次。
※ 積年(せきねん)➜ 積もる年月。長い年月。
※ 結構(けっこう)➜ ぜいたくをすること。
※ 寸志(すんし)➜ 少しばかりの志。
※ 何卒(なにとぞ)➜ なんとかして。ぜひとも。
※ 盛立(せいりゅう)➜ 衰えたのをふたたび盛んにする。再興する。 
※ 一統(いっとう)➜ 一つにまとめ合わせた全体。総体。一同。
※ 感戴(かんたい)➜ ありがたくおしいただくこと。


いかにも心付き、諸事御伝受申し上ぐべき処、さはなくして、御読書の儀は勿論、本朝古来の義士、勇忠臣、諸臣などの義論に拘(かかわ)り候儀、御側向(おそばむき)より申し上げず候様、厳しく制禁申し付け、たとえば、小児向け様に御仕立て申す御政事(まつりごと)の筋は、夢にも御存知遊ばされず。
※ 心付(こころづく)➜ 今まで意識の中にはいらなかった物事が、意識される。気がつく。
※ 義論(ぎろん)➜ 義(人のふみ行うべき正しい筋道)の論。
※ 制禁(せいきん)➜ ある行為を禁止すること。禁制。

(「主殿頭に申渡す趣」の項、つづく)

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