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「おらが春」の解読 33


(牧之原公園から雪の富士山)

午後、諏訪原城講演会で、みんくるに出掛ける。講師は諏訪原城跡整備委員会委員の前田利久氏。諏訪原城を主に古文書から見た話で、何といっても諏訪原城には「家忠日記」がある。それを中心に話が進んだ。「家忠日記」はこのブログでそのほとんどを読んできた。読みながら幾つか疑問点を感じていた。その疑問を質問したいと思ったが、コロナのため、質問はなしとのことで、がっかりした。

最大の疑問点は、「家忠日記」に城東側直下の、金谷や大井川のことが一切書かれていないことである。諏訪原城からは、金谷や大井川が眼下に見下ろせたはずなのに、まるで、全く興味がなかったように見えた。

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「おらが春」の解読を続ける。

   稲妻や 一切りずつに 世が直る    一茶

   石川は からり稲妻 きらりかな    同

   夕霧や 馬の覚えし 橋の穴      同

   秋風に 歩いて逃げる 蛍かな       同
※ 石川(いしかわ)➜ 石川五右衛門。
※ からり ➜ 性格が明朗で、さっぱりしているさま。

     二番休
   乳呑子(ちのみご)の 風よけに立つ 案山子(かかし)かな    同

     連れにはぐれて
   一人通ると 壁に書く 秋に暮れ     同

     七月七日、墓詣(はかまいり)、
   一念仏 申すだけしく 芒(すすき)かな       同

   木啄(きつつき)の やめて聞くかよ 夕木魚(もくぎょ)     同

   木つゝきが 目利(きか)して居る 菴(いおり)かな    同
※ しく ➜ 《過去の助動詞「き」のク語法》…たこと。
(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「ぐっどいゔにんぐ」 吉田篤弘 著
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「おらが春」の解読 32


(西原から雪を纏った富士山)

午後、この所の雨で、富士山にどの位の雪が積もったか、見に行こうと、牧之原を、西原 ➜ 牧之原公園 ➜ 中條景昭銅像前と女房と、牧之原台地を北から南へと巡った。雪は五合目あたりまで。快晴だと思っていたが、富士山には少し雲が掛かっていた。明日、明後日に、牧之原公園と中條景昭銅像前からの富士を載せる。

西原では、一本ストックを突いて登る男性に会った。近所のYさんで、天候が良いと毎日登ってくるという。「夜のコレが旨いようにね」と右手を口の前で傾けた。

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「おらが春」の解読を続ける。

     鎮西八郎為朝、人礫(つぶて)うつ所に、
   時鳥(ほととぎす) 蝿虫めらも よっく聞け     同

   鹿(しか)の子や 横に咥(くわ)えし 萩の花    同

     老翁、岩に腰かけて、一軸を授(さず)くる図に、
   我汝(なれ)を 待つこと久し ほととぎす   同

     幽栖
   我が家に 恰好(かっこう)鳥の 鳴きにけり      一茶

   二三遍(べん) 人を(きょく)って 行く蛍     同

   飛ぶ蛍 その手は食わぬ 食わぬとや    同

※ 曲る(きょくる)➜ からかう。ひやかす。

成蹊子、去年(こぞ)の冬、終(つい)不言人と成りしとなん、鴬笠のもとより、この頃、申し起こせたりしを、
   津の国の 何を申すも 枯れ木立      同

   白笠を 少し冷ますや 木下陰(こしたかげ)      同

     罷り出(まかりいで)たるは、この薮の蟇(ひき)にて候。
   雲を吐く 口つきしたり 引蟇(ひきがえる)     同

   赤い葉の 栄耀(えいよう)に散るや 夏木立    同

※ 不言人(ふげんじん)➜ 物言わぬ人。つまり、亡くなったこと。
※ 申し起こす(もうしおこす)➜ 言ってくる。
※ 津の国(つのくに)➜ 摂津国の古称。
※ 栄耀(えいよう)➜ 大いに栄えて、はぶりのよいこと。

(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「北岳山小屋物語」 樋口明雄 著
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「おらが春」の解読 31

(大代川のダイサギ、1月25日撮影)

雨は止んだようだが、風が寒くて、一日部屋で古文書解読をしていた。さすがに何時間も読んでいると、疲れるし、飽きる。気分を変えてと、また別の古文書を読む。同時に、5本の古文書を並行して読んでいるから、そうなってしまう。さあ、気分転換に、風呂に入って来よう。

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「おらが春」の解読を続ける。

紫乃里近き辺り、とある門に、炭団(たどん)程なる黒き巣鳥(すどり)をとりて、篭伏せして有りけるに、その夜、親鳥らしく、夜すがら、その家の上に鳴きける哀(あわれ)さに、

   子を思う 闇や可愛ゆい 可愛ゆいと
     声を烏の 鳴き明かすらん       一茶


     盗人、己が古郷(ふるさと)に隠れて、縛(しば)られしに、
   (ごう)の鳥 罠(わな)を巡るや 村時雨(むらしぐれ)      同

     御成り場所に、鳥どもの餌(え)(ま)くを、慕う
     不便(ふびん)さに、
   人眠(ねむ)き 靏(つる)よどちらに 箭(や)があたる    同

   箭の下に 母の乳(ち)を呑む 鹿子(かのこ)かな     立志

さすがの猟男(さつお)(もとどり)切りしは、かゝる折りになんありける。

※ 巣鳥(すどり)➜ 巣の中にいる鳥。孵化したばかりでまだ飛ぶことのできない雛鳥。
※ 夜すがら(よすがら)➜ 夜じゅう。夜通し。
※ 業(ごう)➜ 理性によって制御できない心の働き。
※ むら時雨(村しぐれ)➜ 晩秋から初冬にかけて、ひとしきり降ってはやみ、やんでは降る小雨。
※ 御成り場所(おなりばしょ)➜ 貴人がお出ましになる御狩場のこと。
※ 不便(ふびん)➜ かわいそうなこと。あわれむべきこと。
※ 猟男(さつお)➜ 狩猟をする人。猟師。
※ 髻切る(もとどり)➜ 出家する。


己れ住める郷は、奥信濃、黒姫山のだら/\下りの、小隅(こすみ)なれば、雪は夏消えて、霜は秋降るものから、橘のからたちとなるのみならで、万木千草、上々国より移し植るに、悉(ことごと)く変じざるはなかりけり。
   
   九輪草(くりんそう) 四、五輪草で 仕廻(しまい)けり    一茶

※ 万木千草(ばんぼくせんそう)➜ 多くの草や木。あらゆる草木。
※ 九輪草(くりんそう)➜ サクラソウ科の多年草。山間の湿地に生える。初夏、長い柄を伸ばし、紅紫色の花を数層に輪生する。

(「おらが春」の解読、つづく)
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「おらが春」の解読 30

(散歩道で、いち早く花を付けたカラシナ)

朝から雨。大井川の水不足は解消されたのだろうか。取水制限では大騒ぎするマスコミも、その後どうなったかは報道しない。ニュースバリューの名のもとに、マスコミのつまみ食いは、今始まったことではないが、読者や視聴者が置いてけ堀にされることが、何と多いことか。

午後のニュースでは、気温がぐんと下がって、関東は雪で、積もるかもしれないようだ。明日は日本列島、西高東低で大荒れになる。東北から北海道は台風並みに荒れるという。車無しでは生きて行けない現代では大変である。冬は閉じこもっていれば良かった一昔前までなら、どうと言うことはなかったのだろうが。

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「おらが春」の解読を続ける。

     頌曰(しょうえつ)
   未だ歩擧(あ)げざる時、先ず已(すで)に到(いた)る。
   未だ舌を動かさざる時、先ず説(と)き了(お)わる。
   直饒(たとい)著々(ちゃくちゃく)(き)在るも、先に、
   更(さら)に、須(すべから)く向上の(あな)有るやを知るなり。


※ 頌曰(しょうえつ)➜ 誉め讃えていわく。
※ 直饒(たとい)➜ 縦令。よしんば。(仮令とも)
※ 著々(ちゃくちゃく)➜ (欄外に注あり)「著々」は碁の言葉。一手々々と云う心なり。
※ 機(き)➜ 物事の大事なところ。かなめ。
※ 竅(あな)➜ 細い穴。人間の身体にある穴。


   (もら)うより 早く失なう 扇可那     一茶

   俄川(にわかがわ) 跳んで見せけり 鹿の親       同

   大寺や 扇で知れし 小僧の名       同


     曲者隠れて窺(うかが)う図
   あばれ蚊の ついと古井に 忍びけり    同

     大山詣(まい)
   四五間の 木太刀を担(かつ)ぐ (あわせ)かな     同

   太郎冠者(たろうかじゃ) 魔界に通る 扇かな      同

 
※ 大山詣(おおやままいり)➜ 江戸時代に盛んに行われた大山詣り。江戸からは近くて、年間二十万人も詣でたと言われる。鳶などの職人たちが巨大な木太刀を江戸から担いで運び、滝で身を清めてから奉納と山頂を目指すといった、他に例をみない庶民参拝がされた。
※ 木太刀(きだち)➜ 木で作ったかたな。木刀。木剣。
※ 袷(あわせ)➜ 袷(あわせ)とは、裏地のある長着のこと。
※ 太郎冠者(たろうかじゃ)➜ 狂言の役柄の一。大名・主に対する従者・召し使いとして登場する人物。主人より主要な役回りに立つことも多い。
※ 魔界(まかい)➜ 悪魔の境界。魔物の住む世界。

(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「突きの鬼一 2 夕立」 鈴木英治 著
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「おらが春」の解読 29

(流れが戻った大代川)

午後、女房と散歩に出る。今朝まで残った雨がかなりの量だったようで、起した田んぼに水たまりが出来て、大代川に流れが戻っていた。いよいよ春が近いのか、冬の服装で出てきたから、汗ばむほどであった。


(昨日の紅梅に続いて今日は白梅)

途中で今日は咲き出した白梅を見た。散歩道にほとんど花を見ることがなかったが、いよいよ花の季節が始まる。家に帰ったら、こぶしの花が数輪、開いていた。

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「おらが春」の解読を続ける。

       その引き

     子に後れたる頃、
   似多皃(にたかお)も あらば出て見ん 一踊(ひとおどり)     落梧

     母に後れたる子の哀れさに、
   幼な子や ひとり飯くう 秋の暮    尚白

     娘を葬りける夜、
   夜の靏(つる) 土に蒲団も 着せられず     其角

     孫娘に後れて、三月三日、野外に遊ぶ、
   宿を出て 雛(ひな)忘るれば 桃の花       猿雖

     娘身まかりけるに、
   十六夜(いざよい)や 我身に知れと 月の欠(かけ)     杉風

     猶子(ゆうし)、母に放れし頃、
   (え)をなめて 母尋るや 塗り団扇(うちわ)     来山

     愛子(まなご)を失いて、
   春の夢 気の違(ちが)わぬが うらめしい    同

     子を失いて、
   蜻蛉(とんぼ)釣り 今日はどこまで 行た事か    加賀 千代

※ 十六夜(いざよい)➜ 十六夜の月のこと。
※ 猶子(ゆうし)➜ 実親子ではない2者が親子関係を結んだときの子。義子。養子。
※ 愛子(まなご)➜ 最愛の子。いとし子。


やんごとなき人々の歌も、心に浮かぶまゝに、ふと記(しる)し侍りぬ。

   哀れなり 夜半(よわ)に捨て子の 泣き声は
     母に添い寝の 夢や見つらん      よみ人知らず


   捨てて行く 親慕う子の 片いざり
     世に立ちかねて (ね)こそ泣かるれ    為家卿


   人の親の 心は闇に あらねども
     子を思う道に 迷いぬるかな      兼輔卿


※ やんごとなき(止ん事無き)➜ 家柄や身分がひじょうに高い。高貴である。
※ 夜半(よわ)➜ 夜。夜中。
※ 片いざり(かたいざり)➜ 片ひざでいざること。子供などが漸くのことで、這って行くこと。
※ 音こそ泣かるれ(ねこそなかるれ)➜ 声をあげて泣いてる

(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「暁光の断 勘定吟味役異聞 6」 上田秀人 著
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「おらが春」の解読 28

(散歩道の紅梅)

午後、女房と散歩に出る。「門出」まで歩き、夕食の鍋用の野菜を買って帰った。さすがの「門出」も、火曜日の四時近くだと、客もまばらである。夕方の地方ニュースで、「合格」駅から「門出」駅への、合格祈願の切符セットが人気で、よく売れていると報道していた。残念ながら、受験生の孫はまだいない。帰りに、この二、三日の暖かさに咲き出した、紅梅を見付けた。

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「おらが春」の解読を続ける。

これも二、三日経たれば、(もがさ)(かせくち)にて、雪解けの峡、土のぽろ/\落ちるように、瘡蓋(かさぶた)というもの取れれば、祝い囃(はや)して、桟俵法師(さんだわらぼうし)というを作りて、笹湯(ささゆ)(あび)せる真似方して、神は送り出したれど、益々弱りて、昨日より今日は頼み少なく、終に、六月廿一日の蕣(あさがお)の花と共に、この世、越し終わぬ。
※ 痘(もがさ)➜ 痘瘡のこと。
※ 痂(かせ)➜ はれ物などの表面がかわいて、かさぶたになったもの。
※ 桟俵法師(さんだわらぼうし)➜(桟俵を人の名のようにいった語。)米俵の両端に当てる円いわらのふた。疱瘡や麻疹(はしか)にかかったり、はやったりしたときに、桟俵に御幣、赤飯、神酒などをのせて、辻や村境に捨てたり、川に流す風習があった。
※ 笹湯(ささゆ)➜ 江戸時代、疱瘡(ほうそう)が治ったあとの子供に浴びさせた、酒をまぜた湯。 また、その湯を浴びること。 笹の葉を湯に浸してふりかけたともいう。


母は死に皃(がお)に縋りて、よゝ/\と泣くもむべなるかな。この期(ご)に及んでは、行水(ぎょうすい)の再び帰らず。散花(さんか)の梢(こずえ)に戻らぬ。悔い事などゝ、諦(あきら)め皃(がお)しても、思い切り難きは、恩愛(おんあい)の絆(きずな)なりけり。

   露の世は 露の世ながら さりながら      一茶


※ むべなるかな ➜ もっともであるなあ。
※ 行水(ぎょうすい)➜ 流れ行く水。
※ 散花(さんか)➜ 散った花。落花。
※ 恩愛(おんあい)➜ 夫婦・肉親間の愛情。また、それに対する執着。


去る四月十六日、みちのくに罷(まか)らんと、善光寺まで歩みけるを、障る事ありて止みぬるも、かゝる不幸あらんとて、道祖神(どうそじん)の留め給うならん。
※ 道祖神(どうそじん)➜ 悪霊が侵入するのを防ぎ、通行人や村人を災難から守るために村境・峠・辻などに祭られる神。

(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「遠州姫街道殺人事件」 木谷恭介 著
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「おらが春」の解読 27

(高橋泥舟の髑髏絵の自画讃)

先日の掛川文学講座で紹介があった、高橋泥舟が晩年しばしば筆にした、髑髏絵の自画讃を解読してみた。泥舟自作の狂歌と思われる。以下へ解読したものを示す。

  生まれずば 死なじょうらましを 為るなれば
    死にに生まれし 身にはあるらむ


二句目の解読に大苦労した。何とか意味は通じ、泥舟の死生観が知れるが、正解かどうか、今一つ自信がない。      

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「おらが春」の解読を続ける。

  所有(あらゆる)畜類、これ世々の親族なり
※ 世々(よよ)➜ これまで経過してきたそれぞれの時期・時代のこと。

となん。親を慕い、子を慈(いつく)しむ情、何ぞ隔てのあるべきなり。

   人の親の 烏(からす)追いけり 雀の子       鬼貫

   夏山や 子に現われて 鹿の鳴く     五明

   負(お)いて出て 子にも鳴かする 蛙(かわず)哉     東陽

   鹿の親 笹吹く風に 戻りけり     一茶

   小夜しぐれ 鳴くは子のない 鹿にがな   同

   子をかくす 薮の通りや 鳴く雲雀(ひばり)     同


※ 小夜しぐれ(さよしぐれ)➜ 夜に降るしぐれ。

楽しみ極まりて、愁(うれ)い起きるは、うき世の習いなれど、いまだ楽しびも半(なか)ばならざる、千代の小松の二葉(ふたば)ばかりの、笑い盛りなる緑子(みどりご)を、寝耳に水の、押し来たる如き、荒々しき(とう)の神に見込まれつゝ、今、水膿(みずうみ)の最中(さなか)なれば、やおら咲ける初花(はつはな)の、泥雨(でいう)(しな)れたるに等しく、側(そば)に見る目さえ、苦しげにぞありける。
※ 楽しび(たのしび)➜ 楽しみ。
※ 緑子(みどりご)➜ 嬰児。生まれたばかりの赤ん坊。また、三歳くらいまでの幼児。
※ 痘(とう)➜ 痘瘡(とうそう)。
※ 水膿(みずうみ)➜ 疱瘡の第一期の三日間。第二期を本膿、第三期を山あげというのに対しての称。
※ やおら ➜ ゆっくりと動作を起こすさま。おもむろに。
※ 初花(はつはな)➜ その春に初めて咲く花。多く桜にいう。
※ 泥雨(でいう)➜ 血雨ともいい、黄砂や火山灰が混じった雨。
※ しなれる(撓れる)➜ 弾力があって、折れずに柔らかに曲がる。たわむ。

(「おらが春」の解読、つづく)
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「おらが春」の解読 26

(駿府城二ノ丸堀と二ノ丸水路)

一昨日の「駿府のお堀」は正しくは「二ノ丸堀(中堀)」で、西の方を見た写真。今日は同じ辺りから南の方を見た写真を載せた。石垣が切れている所が二ノ丸水路。往時は物資を舟で内堀に入れ込むことが出来た。

夕方、伊勢の長兄からいつもの長電話。つれあいに先立たれ、一人暮らしの長兄は、あちこちの知人、友人に電話を掛けて、話をするのが趣味の一つで、ボケない秘訣だと云う。スマホはどれだけ掛けても料金は一定だから、気にすることはない。そのターゲットは数十人あるらしいから、半月に一回くらいは、こちらへも掛かってくる。

今日の話題は、夜の頻尿対策で、NHKの「ためしてがってん」で、昔やっていた「毎日尻の穴を絞めることを20回」を少し増やして50回、これを実践したら、自分の頻尿が直ってしまったという話。友達にその体験を話すと、金も時間もかからない、毎日トイレに座る度に実践したら、何と頻尿が直った友人が複数出てきた。加齢により、堅くなった膀胱の筋肉がほぐれただけで、頻尿が治ったという。たまには為になる話もある。夜の頻尿に悩んでいる方、だまされたと思って試してみたらどうだろう。

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「おらが春」の解読を続ける。

     その引き
   あゝ立った ひとり立ちたる 如しかな    貞徳

   子に飽くと 申す人には 花もなし     芭蕉

   袴着(はかまぎ)や 子の草履とる 親心       子堂

   花と言え も一つ言えや ちいさい子   羅香

   春雨や 格子より出す 童(わらべ)の手      東来

   早乙女(さおとめ)や 子の泣く方へ 植て行く     葉捨

   折りとても 花の木の間の 忰(せがれ)哉    其角


※ 袴着(はかまぎ)➜ 幼児に初めて袴をはかせる儀式。

     箸とり初めたる日
   (もず)鳴くや 赤子の頬を すう時に      同

男に嫌われて、親のもとに住みけるに、おのが子の初節句、見たくも、昼は人目茂(しげ)ければ、

   去られたる 門を夜見る (のぼり)かな    よみ女知らず

※ 幟(のぼり)➜ 端午の節句に飾られる五月幟(のぼり)。また、鯉のぼり。

子を思う実情、さもと聞えて哀れなり。猛(ケモノ偏に勇)き武士(もののふ)心を和らぐるとは、かゝる真心を云うなるや。いかなる鬼男なりとも、風の便りにも聞きなば、いかでか、再び呼び帰さざらめや。

(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「磯次の改心 はぐれ長屋の用心棒 32」 鳥羽亮 著
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「おらが春」の解読 25

(駿府のお堀の鯉、昨日撮影)

お昼に、古文書会のT氏から電話があり、次回、自分の当番で、昨日渡した資料を、今コピーしているが、7枚のうちの2ページが見当たらないという。それでは郵送しますというと、今から取りにうかがうという。恐縮したが、お待ちしていますと答えた。3時10分に、ナビの時間通りに来れたと、T氏が見えた。

まとめて印刷して、確認して準備した積りであったが、どこで漏れたのだろう。往復一時間半はかかったに違いないT氏には大変ご迷惑を掛けてしまった。

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「おらが春」の解読を続ける。

     小児の行末を祝して
   頼もしや てんつるてんの 初(あわせ)    同

   名月を 取ってくれろと なく子かな     同

   子宝が きゃら/\笑う 榾火(ほだび)かな     同

   吾子(あこ)が餅 /\とて 並べけり      同

   (いも)が子の 背負うた形(な)りや 配餅(くばりもち)     同

   餅花(もちばな)の 木陰(こかげ)ちょうち あわわかな     同

   涼風の 吹く木へ縛る 我子かな      同

   腕白や 縛られながら よぶ蛍    同


※ てんつるてん ➜「つんつるてん」に同じ。
※ 袷(あわせ)➜ 裏地のある長着のこと。これに対して裏地のないものは単(ひとえ)と呼ばれる。
※ 榾火(ほだび)➜ 「焚き火」に同じ。
※ 吾子(あこ)➜(「あこ」と清音)自称。中世から近世にかけて幼児が用いた。
※ 妹(いも)➜ 男が女を親しんでいう語。主として妻・恋人をさす。
※ 配餅(くばりもち)➜ 歳末に搗いた餅を近隣や縁戚に配る事を云う。年の暮れも押し詰まる頃になると家族や奉公人や小作人などが集まり餅搗きをして、配って歩いた。
※ 餅花(もちばな)➜ 日本の一部地域で正月とくに小正月に、ヌルデ・エノキ・ヤナギなどの木に小さく切った餅や団子をさして飾るもの。
※ ちょうち ➜ 両手を軽く打ち合わせて鳴らすこと。幼児をあやしたりするときにする。
※ あわわ ➜ 子供をあやすとき、開いた口を手のひらで軽くたたいて「あわわ」という声を出すこと。
※ 腕白(わんぱく)➜ 腕白とは、活発に動き回るさま。わがままを言ったり、いたずらや悪さをすること。また、そのような子供。

(「おらが春」の解読、つづく)

読書:「羽化 新・軍鶏侍」 野口卓 著
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「おらが春」の解読 24

(駿府のお堀)

午後、駿河古文書会で静岡へ行く。少し早く着いたので、お堀の写真を撮った。手すりを叩くと大きな鯉が集まってきた。

今日は静岡は20℃近くまで気温が上がり。四月の陽気だと後で聞いた。家から車に乗って、コートを着て来るのを忘れたと気付いた。必要なかったが、忘れてしまうほどの陽気だった。

2月の例会2回は自分の当番で、一回分の資料を渡した。久し振りにAさんの顔を見た。新年の挨拶をした。体調が悪くて、特にこの時期、外出をひかえていたとおっしゃる。医者にさえも行くのをためらい、医者からも来るなと言われていたなどと聞く。

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「おらが春」の解読を続ける。

かく、日すがら牡鹿の角の束の間も、手足を動かさずという事なくて、遊び疲れるものから、朝は日の長けるまで眠る。
※ 日すがら(ひすがら)➜ 朝から晩まで。一日中。
※ 牡鹿の角の束の間(おじかのつののつかのま)➜ (夏は鹿の角が生えかわって、新しい角がまだ短いところから) 短い時間の意の「つかのま」「ほどなし」などを引き出す表現。
※ 長ける(たける)➜ 盛りの時期・状態になる。たけなわになる。


その中ばかり、母は正月と思い、飯焚き、そこら掃き片付けて、団扇(うちわ)ひら/\、汗を冷まして、(ねや)に泣き声のするを、目の覚める相図と定め、手賢く抱き起して、うらの畠に尿やりて、乳房宛(あて)がえば、すわ/\吸いながら、胸板の辺りを打ちたたきて、にこ/\笑い顔を作るに、母は長々胎内の苦しびも、日々襁褓(むつき)の穢(きたな)らしきも、程々忘れて、衣のの、玉を得たるように撫でさすりて、一入(ひとしお)喜ぶありさまなりけらし。
※ 閨(ねや)➜ 夜寝るための部屋。
※ 苦しび(くるしび)➜ 苦しみ。
※ 襁褓(むつき)➜ おむつ。
※ 裏(うら)➜ 内部。奥。うち。
※ 一入(ひとしお)➜ いっそう。ひときわ。


   蚤の迹(あと) 数えながらに 添乳(そえぢ)かな      一茶

※ 添乳(そえぢ)➜ 乳児に添い寝して乳を飲ませること。

より/\思い寄せたる小児をも、遊び連れにもと、ここに集めぬ。

   柳から ももんがあーと 出る子かな    同
   蓬莱に なんむ/\と いう子かな     同
   年問えば 片手出す子や 更衣(ころもがえ)      同


※ ももんがあー ➜ 頭から着物をかぶり、ひじを張って、モモンガのようなかっこうをして、子供などをおどす戯れ。

(「おらが春」の解読、つづく)
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