平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「天明年中叓」を読む 7
孫が滞在していたとき、オスをシオカラトンボと呼び、メスは体が茶色っぽいので、ムギワラトンボと呼ぶのだよ、と教えると、首をかしげていた。爺じがまたいい加減なことを教えるとでも思ったか。今の子はこんな常識も学んでいないのだろうか、と爺じは少し不安に思ったものである。
自分の子供の頃は、昆虫は採集して標本にするもので、多くの男の子は昆虫採集キットを持っていて、一日中、山野を駆け回り、集めた昆虫を毒瓶や注射器で殺し、固まらない中に虫ピンで形を整え、標本を作ったもので、夏休みが終わると、その戦利品を宿題として学校へ提出したものである。そんな夏休みが、何時から無くなったのだろう。
午後、Sさんに頼まれた書類を届け、お店に客がいなかったので、ついつい二時間ほど話をした。Sさんは、地元の最もローカルな歴史に詳しくて、色々な話を聞き、情報を頂いた。
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「天明年中叓」の解読を続ける。
井上武三郎
遠州相良城付武器之内
一 長柄 八拾筋 一 弓臺 六
一 同替鞘 七拾五 一 弓〆革 六
一 手鑓 弐拾五本 一 関弦(せきつる) 百
一 弓 拾張 一 弦〆革 六
一 征矢(そや)八百五拾本 一 弦〆革 六
一 靭(うつぼ) 六 一 鉄炮 百挺
一 奴弓(いしゆみ) 壱
※ 奴弓(いしゆみ)➜ 機械じかけで石や矢を発射する強力な弓。
内鑄形附
一 鉄炮三百目(匁) 壱挺 一 火縄 六拾
一 同 五拾目(匁) 壱挺 一 鉄炮革覆 三
一 同 百目(匁) 七拾挺 一 玉箱 弐荷
一 同 拾匁 七拾挺 一 陣貝(じんがい) 数なし本のまゝ
一 同 六匁 五挺 一 陣笠 七拾
一 同 四匁三分 七挺 一 三ッ道具 五組
一 同 三匁五分 廿挺 一 祢ぢ板 壱本
一 胴乱(どうらん) 拾弐 一 鑄鍋(いなべ) 壱
一 薬入 拾
右の通り、浜松城付に御預け成され候間、岡部美濃守に相談し、
請け取らるべく候。
丁未十二月
明善根(みょうぜんがね)武器三口の□□左の通り。
一 長柄鑓 百七拾七本 一 手鑓 五拾八本
一 弓 百三拾六張 一 征矢(そや) 千八百七拾本
一 鉄炮 弐百弐拾五挺 一 小姓具足 七拾弐領
一 数具足 八拾領
一 金壱萬三千両 一 米 千俵
一 味噌 拾樽 一 塩 三拾俵
右の通り、御勘定奉行久世下野守殿、御差図相済み、相良城残し
置き候様、田沼龍助へ仰せ渡され候旨。
未十二月
※ 田沼龍助(たぬまりゅうすけ)➜ 田沼意明(おきあき)。田沼意次の孫。遠江相良藩の第二代藩主、のち陸奥下村藩の初代藩主。
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