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「天明年中叓」を読む 6

(岡部英一著「緑十字機決死の飛行」)

磐田在住岡部英一氏からは、このブログを見たと連絡を頂き、氏の次なるテーマの資料提供をさせてもらい、知り合いになった。話をする中、岡部氏の話を、ぜひ聞いてみたいという気持ちが湧き、希望を出したところ、岡部氏の講演会が、今日実現した。

公民館主催の、市民、おやじ、もみじの三講座の行事として、一般の人の参加も募るという形になった。ただ、平日の午前中という時間帯のこともあり、なかなか参加者が増えなかった。9時半に、一人でも多くと、女房を動員して出掛けた。参加者は五、六十人で、少し寂しいかと思った。

8月15日の玉音放送から、8月28日のマッカーサーが厚木に降り立つまでの、戦後史空白の2週間。「緑十字機決死の飛行」はその間に日本で起きた秘話を、岡部氏が某メーカーを退職後、10年近くかけて調査し、まとめ上げた一冊である。この本は昨年、静岡県の自費出版大賞を受けている。これだけの力作にして貴重な本が、著者の自費出版に頼らねばならないという、出版界の現状には悲しいものがある。

マッカーサーの命令を受けた軍使を乗せた緑十字機が、東京に帰還途中、事もあろうに、竜洋町鮫島地先の遠州灘の砂浜に、不時着してしまった。帰還が遅れれば、日本の行末はどうなるのか、絶体絶命の危機を迎えた。その時、軍使や、鮫島の住民たちなど、それぞれの立場の人々が、どのように動いて、危機を出したか。講演内容はここでは、とても書き尽せない。

講演後、上写真の本を即売したが、岡部氏は15冊も売れたと、その事を喜んでくれた。講演会のあと、一緒に昼食をとり、自宅に来て頂いて、さらに二時間ほど、お話をした。岡部氏の、この情熱はどこから来るのだろうと、しゃべることでは負けない自分が、専ら聞き役に回っていた。

岡部氏とお話するのはまだ二度目だが、これから長い付き合いになりそうである。

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「天明年中叓」の解読を続ける。

                   西尾隠岐守
遠州相良城破却、仰せ付けられ候。取毀(こぼち)の儀、仰せ付けられ候条、人歩に指し出し候様、致さるべく候。委細の儀は、御勘定奉行、承り合わさるべく候。

                   西尾隠岐守
 遠州相良城附武器の内
一 長柄 四拾本    一 手鑓 拾五本
一 同替鞘 四拾弐   一 関弦(せきつる) 五拾三
一 弓 三拾六挺    一 靭 四ッ
一 弓臺 四      一 弓〆革 四
一 弦巻 弐拾五     一 鉄炮六拾挺
一 征矢(そや) 四百七拾本
※ 人歩(にんぷ)➜ 建築、土木工事などの肉体労働に従事する労働者。人足。
※ 弦巻(つるまき)➜ 掛け替えのための予備の弓弦を巻いておく籐製の輪。

    内鑄形附
一 鉄炮百目(匁)壱挺  一 火縄 四十五
一 同五拾目 壱挺    一 鉄炮革覆 弐
一 同 拾匁 四拾挺   一 数具足 廿領
一 同 六匁 弐挺    一 玉箱 壱荷
一 同 五匁 弐拾壱挺  一 小姓具足 廿七領
一 同 四匁三分 五挺  一 三ッ道具 三組
一 同 三匁五分 五挺  一 鑄鍋(いなべ) 壱
一 胴乱(どうらん) 八
一 薬入 九
     右の通り、横須賀城付候。御預け仰せ付けられ候間、
     岡部美濃守ヘ相談、受け取らるべく候。
      十二月
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