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「天明年中叓」を読む 3




(突然の大雨の雨粒と、大雨の後の虹)

夕方、図書館と買物から戻ると、突然の大雨に、しばらく車から出られなかった。家の駐車場には吐けきれずに、みるみる水が溜まり、叩きつける雨粒に、無数の王冠を作っていた。やがて、雨も止み、東へ去る黒雲に、西に傾いた夕日が虹を作った。

   驟雨きて 地に王冠の 数多落ち

午後、昨夜は全員集合で泊った孫たちが、それぞれ家に帰って行き、我が家の夏休みの騒動は終わりを告げた。

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「天明年中叓」の解読を続ける。

丁未(ひのとひつじ)(天明七年、1787)十一月三日、(岡部)美濃守殿、御出立拝見の人より、書付来たり候。

 先備(さきぞなえ)  弓、鉄炮、長柄、数多(あまた)
     その外、諸物頭、家老、平士など。
 弐番備(ぞなえ)  鉄炮五拾挺、これへ、持筒射手五拾人、
     侍(さむらい)と相見え、付き添い居り申し候。
        侍已上(いじょう)塗笠(ぬりかさ)にて、
        分(わか)り相見え申し候。
 この二手  弓弐拾張、長柄弐拾本、騎馬の士(さむらい)、拾弐人なり。
 籏本  弓、鉄炮、長柄、、太鼓迠引き、
     太鼓は負(お)わせ候て、太鼓打ちの装束、見事なる事の由。
※ 物頭(ものがしら)➜ 頭だつ役。長。かしら。
※ 平士(ひらざむらい)➜ 普通の身分のさむらい。
※ 持筒(もちづつ)➜ その人が所有する鉄砲。自分の持料の鉄砲。
※ 射手(しゃしゅ)➜ 弓を射る人、の外に、銃を撃つ人、もそう呼ぶ。
※ 塗笠(ぬりかさ)➜ 薄いへぎ板に紙を張り、黒漆を塗った笠。
※ 貝(かい)➜ ほら貝、であろう。


一 騎馬廿五騎と書き出しにはあれども、余程多く候。朝五ッ半時より、先手(さきて)繰り出し、八ッ時まで通りしとなり。
一 弓、鉄砲、凡そ数え見しに、百五拾挺、弓弐拾張程これ有りとなり。
一 家中の持たせる弓、余程多く見え候。もっとも、臺弓(だいきゅう)はなく、一張りずつの弓をもたせ、中には馬先に負箙(おいえびら)など持たせる人も多し。甚(はなは)だ見事のよし。その外、腰に差し候騎馬士(ざむらい)もあり。種々(しゅじゅ)の出立、見事なり。もっとも、惣躰(そうたい)綿服(めんぷく)のよし。
   但し、当春高松公、京都へ御洛代(らくだい)の人数より多くなりし、
    との評判。岡部侯の人数、凡そ三千人という沙汰の由。
※ 騎馬(きば)➜ 馬に乗ること。また、乗っている人。
※ 先手(さきて)➜ 行列や供揃えなどの先頭をつとめる者。
※ 臺弓(だいきゅう)➜ 弓を立て掛ける台。
※ 負箙(おいえびら)➜ 矢を入れて、背負う型の、携帯する容器のこと。
※ 惣躰(そうたい)➜ だいたいにおいて。一体に。総じて。
※ 綿服(めんぷく)➜ 綿布でつくった衣服。綿衣。
※ 洛代(らくだい)➜ 代わりに上洛すること。
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