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「復讐 天橋立」を読む 21

(所々稲が欠けている田んぼ)

昨日の田んぼ、聞いてみれば、田植えをしなかったらしい。夕方、畦の草刈の人に聞いた。散歩の途中に、もう一ヶ所、写真のような田んぼがあった。これはジャンボタニシの被害に違いない。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

さまざま止め諌(いさ)めけれども、臺左衛門会得(えとく)せず。わが質、曽(かつ)てものに諂(へつら)わず。また人に負けることを嫌うなれば、仮にも曲がれる心を抱かず。理をもってするに、主君とて恐るゝに足らずと。そのまま支度し出できたれば、城主しなへを取りて立ち向わせ給い、いかに臺右衛門、主従とて、かゝる場所に用捨(ようしゃ)せば、却ってその芸道(げいどう)をあやまるなれば、遠慮せず踏み込んで我れを打つべし。
※ 会得(えとく) ➜ なるほどと了解すること。
※ しなへ ➜ 竹刀(しない)のことか?
※ 用捨(ようしゃ) ➜ ひかえめにすること。遠慮すること。手加減すること。
※ 芸道(げいどう) ➜ 芸能の道。芸を修業する道。



(「復讐 天橋立」挿絵7)

臺右衛門平伏し、仰せにや及ぶべき。某(それがし)後日に一命を召さるとも、わざと控えて後(おく)れを取るは、本意(ほんい)にあらず。失礼あらば御許容、偏(ひとえ)に願うなりと、会釈(えしゃく)して向うとそのまま、城主一声を励まされ、打ちかけ給うを、臺右衛門、得たりと受け留め、しばらく保ちて透間(とき)を伺(うかが)い、引き外して打つよと見えしが、城主忽(たちま)(ひる)せ給うを、付け入りて、したゝかに打ち奉り、勝負いかにと申しける。
※ 本意(ほんい) ➜ もとからの考え。本来の意志。本懐。本望。
※ 励(はげ)ます ➜ いっそう力をこめる。さらに激しくする。
※ 得たり ➜ 自分の思いどおりになったときに発する声。しめた。してやったり。
※ 怯(ひる)む ➜ おじけづいてしりごみする。気後れする。
※ したたかに ➜ 程度のはなはだしいさま。ひどく。


近習の人々、走り寄りて、臺右衛門を押し隔(へだ)て、殿の御手をとりて介抱し奉り、すぐに御居間に伴い申す。御気色(きしょく)いかゞと、各(おのおの)あやぶみ騒ぎければ、家老中、早速御前に出で、御機嫌を伺い、さてしも臺右衛門こと、君に対し言語道断の不届き、申すべき詞(ことば)もなし。いそぎ切腹にても申し付け候わんと、恐怖してこそ伺いける。
※ 気色(きしょく) ➜ 機嫌。気分。


読書:「逃げ水の坂 口入屋用心棒1」 鈴木英治 著
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