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「復讐 天橋立」を読む 18

(散歩道のノボタン/一昨日撮影)

午後、掛川古文書講座に出席した。先日来、遠州の各村々の江戸時代の知行関係を調べていたが、どれも断片的で、網羅された資料がなかなか見つからないでいた。講座の先生は郷土史が専門で、村がどの時代に誰が知行していて、石高がどれくらいと、講座の中で説明される。相給もあってかなり複雑なのだが、いったいどんな資料を見れば出ているのか、講座の後、直接に聞いてみた。何年か前、磐田の教育委員会から、それぞれの村の地方文書から調べた、遠州の各知行地と石高の調査資料が、冊子にされていて、それがほとんど唯一の資料だと聞いた。次回、現物を持ってきて下さるという。楽しみである。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

さすればこの道とて、さまで(むつか)しきものにあらず。稽古だに怠らざれば、その業(わざ)に熟すること、案の外、心易し。大見崎、飯貝の両人せめてわが術(じゅつ)ほど心懸けあらば、たとえ相手鬼神(おにがみ)なりとも、やわか仕負(しま)くることは有るまじきに、近頃残念千万なり。汝等、今より必ずしも怠ることなかれと
※ さまで ➜ それほど。そんなにまで。
※ 案の外(あんのほか) ➜ 予想外。意外。
※ 鬼神(おにがみ) ➜ 荒々しく恐ろしい神。
※ やわか ➜ よもや。まさか。
※ 必ずしも怠ることなかれ ➜ 決して怠ってよい訳ではない。


(ぎょう)の内より、諸士各(おのおの)(ことば)を揃えて申しけるは、誠に若(わか)怜悧(れいり)にわたらせ給うが故に、一を聞きて萬(よろず)しろしめされ、忽(たちま)ち発達し給うこと、我々が短才(たんさい)の及ぶ所にあらずと。追従(ついしょう)謟諛(てんゆ)し、恐れ入りてぞ、居たりける。
※ 仰(ぎょう) ➜ 上を見あげる。あおぐ。
※ 怜悧(れいり) ➜ 頭のはたらきがすぐれていて、かしこいこと。
※ しろしめす ➜(「知る」の尊敬語)知っていらっしゃる。おわかりでいらっしゃる。
※ 短才(たんさい) ➜ 才能が乏しいこと。また、その人。自分の才能をへりくだっていう。
※ 追従(ついしょう) ➜ 他人の気に入るような言動をすること。こびへつらうこと。また、その言動。
※ 謟諛(てんゆ) ➜ 人の気に入るようにふるまうこと。こびへつらうこと。


この時、大見崎臺右衛門、お次の間にありて、殿の自負(じふ)し給うを聞くより、高声に笑い罵(ののし)り申しけるは、扨(さて)も我が殿は、天性聡明叡智の良将と思いつるが、存の外の愚将かな。御身のほどをも顧み給わぬ、大言(たいげん)こそおかしけれ、と横手をうちて笑いけるにぞ。
※ 自負(じふ) ➜ 自分の才能・知識・業績などに自信と誇りを持つこと。
※ 存の外(ぞんのほか) ➜ 思いのほか。存外。
※ 大言(たいげん) ➜ 物事を誇張していうこと。えらぶって大きいことを言うこと。
※ 横手をうつ ➜感心したり、思い当たったりするときなどに、 思わず両方の手のひらを打ち合わす。
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