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「復讐 天橋立」を読む 13

(金谷図書館前のハナスベリヒユ)

よくお花の名前を知っていますね、と感心されたことがある。もちろん、花の名前に委しいわけではない。写真を撮って帰り、ネットの花の図鑑で調べるのだが、似た花が多い。しかし、似ていてもそれぞれに特徴がある。最近では花を順番に見て行くと、花の方から自分だと手を挙げてくるような気がする。それだけ、花の見方の要領が掴めてきたのであろう。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

藤弥太、未練なりと振り切りて、正英(しょうおう)に立ち出で、貞義、丹下の両人に向って大音(だいおん)に言うよう、汝等(なんじら)、某(それがし)に対し、何等の遺恨あるにもせよ、足手まといを召し具(ぐ)したる弱みへ附け込み、是悲(非)を論ぜず勝負を望む。心中の(たく)のほども、大方(おおかた)は推察せり。
※ 正英(しょうおう) ➜ ルビから推量して「正央」の間違い?。真っ只中。真正面。
※ 大音(だいおん) ➜ 大きな声。
※ 遺恨(いこん) ➜ 忘れがたい深いうらみ。
※ 工(たく)み ➜ たくらみ。



(「復讐 天橋立」挿絵5)

いでや、誠(まこと)の武士が手並みのほどを見すべきぞと、件(くだん)の鑓(やり)の柄をひっしごき、繰り出す穂先の尖(するど)さに、貞義、はじめの詞(ことば)にも似ず、さんざんに突き立てられ、果ては刀も巻き取られて、差し添えに、手を掛くる所を、何の苦もなく胸先を貫(つらぬ)かれ、そのまま倒れ死したりける。
※ いでや ➜ とにかく。さて。
※ 手並み(てなみ) ➜ 腕前。技量。
※ ひっしごく ➜ ひきしごく。細長いものを握ったり指で挟んだりして、強く押さえつけるようにしながら、その手や指をこするように動かす。
※ 差し添え ➜ 刀に添えて差す短刀。わきざし。


丹下、これを見るより気おくれし、一太刀(ひとたち)も合わせず逃げ出すを、九郎兵衛、得たりと飛鳥(ひちょう)のごとく馳せ付き、丹下が肩先よりあばらをかけて、一刀に斬り倒し、立ち帰れば、見物の諸人(もろびと)さてもしたりや、天晴れ、希代(きだい)手の内やと、感じ合いてぞ、散乱(さんらん)す。
※ 得たり ➜ 事がうまく運んだときや、事をうまくしとげたときに発する語。しめた。うまくいった。
※ さてもしたりや ➜ なんとまあ、うまくやったものだ。
※ 希代(きだい) ➜ 世にもまれなこと。めったに見られないこと。
※ 手の内 ➜ 腕前。手並み。
※ 散乱(さんらん) ➜ 散り乱れること。ちらばること。思い思いに立ち去ること。
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