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お茶の放射性セシウム、サンプリング検査

(ムサシは元気、先日散歩に行った吉田公園にて)

台風12号はまだ岡山県辺りをゆっくりと北へ向かっている。風の心配はほぼ無いが、ゆっくりした速度のために大雨が降る時間が長く、四国、紀伊半島、中国地方のあちこちで川が溢れる危険水域を越え、合わせて20万人近い住民に避難勧告が出ているとテレビではくり返し報道している。

当地でも夜半に入って時々激しい雨音が聞こえてくるようになった。静岡からの帰りに大井川鉄橋を電車で通ったが、大井川も今年一番というほどに増水している。ただし、河川敷のグラウンドまで水は上がっていなかった。

ニュースで、店頭に並ぶお茶をサンプリングして、放射性セシウムのチェックをしたところ、千葉県産と茨城県産と表示のあるお茶から基準の3倍から5倍の放射性セシウムが検出されたと報道していた。お茶にはブレンドが付き物で、どこのお茶をどうのようにブレンドしたのか、今後詳しく調査すると報道していた。

基準を超えている放射性セシウムを含んだ一番茶を使ってブレンドしたものであろうが、あまりにガードが甘すぎると思った。それでなくても風評被害が現実のものになっているのに、ずいぶん無神経なお茶問屋である。厳しいチェックで、基準を超えないように懸命の、全国の真面目なお茶問屋の努力を、一瞬にして無にする愚挙である。

当然、放射性セシウムについては業界としての扱い基準があるはずである。その基準の縛りがどの程度あったのであろうか。事態に対して業界としての発言が聞こえてこないのはおかしいと思った。(もちろん、自分の耳に入らないだけなのかもしれないが)

普通に急須に入れてお茶を出す場合には、お茶に含まれている放射性セシウムの2%ほどしか、出てこないという。放射性セシウムは基本的に水には溶けないから、お茶に出てくるのは極微量になるのであろう。よもや、そういう言い訳が出来ることに油断の原因がある訳では無かろうが、風評を立てる人の耳には、そんな理屈は聞こえない。出がらしでつくだ煮が出来るとか、お茶は食べると健康にいいなどと、お茶問屋は宣伝して来たはずである。それならば、いっその事、しばらくはお茶は急須で飲むだけにして、出がらしは棄てよう、お茶を食べることは止めよう、と真逆なキャンペーンでも張ればよい。

お茶の風評被害は鎮静化して、何とかお歳暮商戦には巻き返したいと考えているお茶屋さんには、無神経な業者がいる限り、この風評被害はまだまだ長引くといわざるをえない。
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放射能のお茶への影響

(大きな株になった庭の松樹上のセッコク)

福島第一原発事故の放射能の影響で、茨城や神奈川などで生葉に安全基準値を上回る放射性セシウムが検出され、出荷停止の処置が行なわれた。全国の4割のお茶を生産する静岡県への影響が心配されたが、静岡県では一番茶に対して安全基準値を大幅に下回る数値であるとして、安全宣言がなされた。

お茶はホウレン草などと違って、すべてを食べてしまうわけではなくて、抽出したお茶を飲むわけで、茶葉から抽出される成分の割合では約二十分の一の成分がお茶に出てくるに過ぎないため、それだけでもホウレン草よりはるかに安全である。それでも気になる人は、しばらくは食べるお茶は避けて、急須で入れて飲むお茶を勧める。

同じ放射能が降っても、作物によって吸収の仕方が異なるので、基準値を超える作物とそうでない作物の差が出てくる。お茶の場合は土壌からカリウムを吸収して育つが、セシウムがこのカリウムによく似ているため、放射性セシウムが降ってくると、肥料と間違えて吸収して、新芽へ出てくるといわれる。それならば、あらかじめ肥料としてカリウムをたくさん与えれば、セシウムを吸収することも無くなると思うのだが、茶農家へそのような指示が出たとは聞いていない。

そんな理由でお茶の数値が特に高まったと思われる。但し、一番茶で多くが吸収されてしまったとすれば、継続して数値を調べていけば、二番茶、三番茶は大幅に下がるのではないかと想像される。

恐いのは風評被害である。幸いにも、現在お茶に大きな風評被害は起きていないが、新茶ではなくて古茶をわざわざ買っていく客もあるらしい。ヨウ素は甲状腺に蓄積され、ストロンチウムは骨に溜まって、長い間体内から放射線を浴びることになる。しかし、セシウムは体内に入ると体液の中に流れて100日でその半分が体外へ出てしまうといわれる。そういう意味では蓄積するものと比べれば危険性ははるかに少ない。チェルノブイリで多くの犠牲者を出したのは放射性ヨウ素である。今までに、放射性セシウムが原因でガンなどの病気になったという報告はされていないという。

多くの人々は、20年先に、ガンになる可能性がコンマ以下のパーセント上がるかもしれないというような、不確実な可能性論議をして風評被害を起してしまう。しかし、本当に健康のことを考えるならば、お茶を飲むことによって得られる、1ヶ月先の各種生活習慣病への数パーセントの向上効果を、どうしてもっと問題にしないのだろうか。
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べにふうきを武器に花粉症と戦う

(べにふうきのお茶-1ティバッグ50円ほど)

花粉症の季節、全開である。花粉症歴35年以上の自分は、今まで色々な対処方法を研究し、実行してきた。近年は薬に頼ることを止めた。べにふうきという紅茶品種のお茶から、メチル化カテキンという花粉症を和らげる成分が発見され、べにふうきを緑茶の製法(発酵させない)で加工し、緑茶と同じように飲むと花粉症の症状が和らぐことが実証された。

10年近く前、発見された当初は、べにふうきが手に入らず、自分が関与している茶問屋へ頼み、鹿児島の農場で苗から育てて、三年ほど掛り製品化してもらった。それ以来、毎年、この季節には、べにふうきを購入して飲んでいる。

花粉の飛ぶ量が少ない年は、一日3gのティバッグ2袋見当で飲み続けて、この季節、ほとんど症状を感じないでやり過ごすことが出来た。自分にとってはこれほどありがたいものは無かった。30数年あれこれと悩んだ花粉症を克服できたと思ったからである。もちろん、飲むのはこの季節だけで、その他の季節は普通の緑茶を飲んでいる。

べにふうきを飲み始めて、今年で6、7年になるが、今年の花粉の飛び散る量は半端ではない。通勤の国道1号線沿いに生える杉が、熟れるように真っ赤に色付いている。風が吹くとそこから山火事の煙と紛うように花粉が舞い立つ。想像するだけで、鼻がむずむずしてきた。べにふうきは効き目が持続するのは3、4時間といわれる。今年は量が桁違いだから、多い日には回数を増やして、一日4袋から5袋飲むようにしている。少し間を置くとくしゃみと鼻水が止まらなくなる。

自分の飲み方を説明しよう。自分は3gのティバッグを200㏄の熱湯でお茶に出す。そこまで出さなくて良いかもしれないが、自分は苦くなるくらいまでしっかりと出している。良薬口に苦しと、苦いほうが効くような気がする。

これを一度に飲んでも良いし、少しづつ度々飲んでも良い。自分は案外短時間に飲んでしまう。くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、すべてが和らぎ、しばらく花粉症を忘れる。お茶としては2煎目、3煎目も飲めるけれども、メチル化カテキンはいち早く溶け出してしまうようで、2煎目、3煎目は効果がないと思った方が良い。

普通のお茶にメチル化カテキンが加わっただけの成分だから、副作用はないと思う。寝る前に飲むと寝られなくなる人がいるかもしれない。また、トイレは確実に回数が増える。副産物として、飲み続けて季節が終ったら一度血液検査をしてみてもらうとわかるが、すべての数値が改善していることに気付くだろう。お茶の健康への効果は絶大で、べにふうきもお茶であることに変わりはない。

自分が買い求めているお茶屋さんを以下に示して置くが、現在は多くのお茶屋さんで扱っている。

島田市金谷河原347-1 株式会社川園 電話0547-46-1117
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「お茶のまち掛川」アイデアコンテスト

(「お茶のまち掛川」アイデアコンテスト表彰の靜岡新聞記事)

8日目、痛み変わらず。この痛みをどう表現するか、考えた結果、筋肉痛の酷い状態と表現すれば良いと思った。慣れない腹筋を使った後のような痛みである。筋肉痛がそうであるように、お風呂に入ると瞬間に痛みが消える。もっとも、今日はそう表現しているが、明日以降、気分で表現も変わる気がする。

   *    *    *    *    *    *    *

先頃、「お茶のまち掛川」づくり実行委員会が募っていたアイデアの入選作が発表された。掛川在住の娘の亭主が応募したところ、何と最優秀賞を受賞したという。この20日、市役所で表彰を受け、地方紙に載っていた。提案したアイデアは「地元の特性を生かした野外事業」と題して、年数回、子供たちが茶園で体験授業をすることで、お茶の知識向上に役立て、農家と交流してもらおうという内容であった。

行政がお茶の振興のために努力してくれることは、お茶のまちにとっては大変貴重なことで、掛川市の取組みには拍手を送りたい。これがイベントに終らないで、NPOなどをうまく利用して、地道な日々の活動になっていくことを望みたい。

今までも、靜岡県の首長さんがお茶の振興のために、色々な発言をし、活動されている様子を拝見しているが、印象としては、お茶の振興イコールお茶の消費拡大ととらえて、消費量が増えれば何でも良いだろうと、ペットボトルや粉末茶でも大いに結構と推奨している姿を、歯がゆい思いで見ている。前知事など、お茶は一日6グラムと名刺に刷られていた。これは何かと聞けば、粉末茶だという。全国一のお茶の生産県の首長なら、お茶は急須と湯飲みで飲んで、美味しいと言ってもらいたいと思ったことがある。

この誤解は、お茶の情報がお茶の商人からしか得られていないためである。商人よりもっとたくさんいる茶農家の声が届いていない。茶農家にとって、この数年は、急須と茶碗で飲むお茶の消費が漸減し、稼げる上質茶の価格が下落して、毎年のように収入が減った。このままでは、茶業を続けて行けなくなっているのである。ここで下級茶しか使わないペットボトルや粉末茶が増えても、商人にはプラスになっても、茶農家のためにはならない。そういう状況を肌身で感じておれば、お茶の消費が伸びるなら何が売れてもOKなどという発言は出来ない。

江戸時代のお代官が越後屋を呼んで、「越後屋、お前も悪よなあ」「お代官こそ」と、商人との癒着が農民を痛めつけるパターンと同じとは言わないが、実は江戸時代のお代官は領民の声に意外と良く耳を傾けて、その時代なりに手を打っていたことが、古文書を学んでいると知ることができる。民主主義の現代の首長ならば、声なき声にもっと耳を傾ける努力が欲しい。

掛川茶の振興策として、一番遠回りと思われる教育面の提案が最優秀になった点をみると、掛川市の本気度が知れて頼もしい。今後、注目していきたい。
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子供たちが茶苗を植える

(茶の苗が植えられた隣の茶畑)

我が家の隣りの茶畑が改植を始めている。機械が入って古い茶園を潰し、整地をして準備が進んでいた。お茶の苗も敷地の道路際に挿し木をして育てられていた。昔と違って今はポットで苗を作るから根さえ付けばいつでも植え付けが出来るようになった。この夏、寒冷紗で強い日差しを避け、毎日しっかりと水遣りが行なわれ、この酷暑にも関わらずほとんどの苗が根付いたようである。

新しく植えられる苗は、近所のMさんが開発した「金谷いぶき」と「金谷ほまれ」という新品種である。早場茶産地の南九州にも負けない極早生品種で、やぶきたを越える窒素量で美味いお茶が出来るという。今、金谷を中心に改植の試みが始まっている。隣りの茶畑は金谷の茶問屋が資金を出して、その実験茶園として改植されるという。

植え付けは来年の早春だろうと思っていたが、縄張りの準備が進み、近くの小学生が体験実習として茶の苗を植えるといい、最終準備が進められたことはすでに書いた。

印が付けられた畝間を目で測ってみると、昔の茶園のように狭い。聞けば1.5メートルだという。乗用摘採機を使うなら1.8~2.0メートルの幅だから、狭くないかと管理を任されているMさんに聞くと、手摘みでやるからこの幅でよいのだと話す。これは本格的に美味しいお茶を作ろうと考えているのだと、隣の話ながら茶摘みが始まるのが楽しみになってきた。


(小学生が茶苗を植える-NHKローカルニュースより)

その苗の植え付けが今日午前中に行なわれた。自分は会社に出ていて直接見ることはなかったが、NHKのお昼のローカルニュースに、その様子が出ていた。小学生が一人10苗ずつ穴を掘って植えたのだという。近くの小学校で茶農家の子供も多いのだが、皆んな初めての体験だったようだ。背景に我が家も少し写っていた。

新しいことを実施するのに、マスコミを呼んで報道してもらうのはよくあることだが、手間でも子供たちに体験させるという仕掛けを施すことで、マスコミを動かし易くなる。この手の報道は注意してみれば意外とよく見る。常套手段であるとは思っても、それでテレビ報道してもらえるなら、仕掛けないわけにはいかない。その日、大きなニュースがあると吹っ飛んでしまうネタなのだが、今日、報道されたということは、平穏な日だったのであろう。

午後、自宅に帰って、まだ作業をしていたMさんにお昼のNHKニュースで見たよと声を掛けると、放映が早すぎて自分たちは見れなかったと話す。夕方にも再び報道されたからMさんも見られたと思う。
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猛暑の夏、冷茶から考える(下)

(葛の葉下に咲く葛の花-大代川の土手)

(一昨日から続く)
熱湯で出しても苦くならないお茶が欲しいと書いた。素人が何を言うかと、お咎めを受けるのを覚悟して、書いてみようと思う。これ以後の話は科学的根拠が何も無い話である。

目標は熱湯で出しても苦くならないお茶である。苦味の成分はタンニンやカテキンである。この成分が少ないお茶を作ればよいわけである。お茶になるすべての工程でそういうお茶を作る努力が出来ると思う。つまり品種改良-栽培方法-製造過程-仕上過程の各工程で考えられる。

まず第一に品種改良について考えてみる。何年前であったか、熱湯で入れても苦くならないお茶が発売された。「マリシ」という名前であったかと思う。量が少ないこともあって高い値が付いたにも関わらず、飛ぶように売れたと記憶している。靜岡の山奥でひそかに作られたお茶で、自分も飲んでみた記憶がある。作っていた人が亡くなって、茶園の場所が判らず、幻のお茶になってしまった。その茶園が最近見つかって、その穂が採られ、増やす試みがされていると聞いた。その茶の樹が量産が出来る平地に植えられて、なおその性質を保つならば、そのまま朗報に繋がるかもしれない。

少し観点を変えて、苦味の成分をどうして茶の樹が持つようになったのかを、考えてみれば、茶樹はその葉を動物や害虫に食べられないように、自己防衛のために苦味成分を持つように進化したのだと思う。茶樹の進化の過程で苦味成分の少ないものもあったはずで、それらは動物や害虫に葉を食べられて、淘汰されてきたのだと思う。茶樹の品種改良の中でも、苦味成分の少ないお茶は害虫などに弱いものとして、品種改良では排除されたと想像できる。苦味成分の少ない品種を得るためには真逆の品種改良をすればよい。

栽培方法では白葉茶の栽培方法が一つの方向性を示している。被覆をする栽培はすでに広くなされている。肥培管理にも工夫が出来るかもしれない。玉露は一つの到達点かもしれないが、大量生産と大衆化という点で課題が残る。

製造過程では様々な工夫がされているが、熱湯で出すことが出来るというハードルは越えられていない。製造過程で苦味成分を分離することが出来れば面白いのだが、煮出して抽出では意味がない。何か新技術が欲しい。紅茶のように発酵によって性質を変えてしまえばよいが、それでは緑茶ではなくなり、緑茶が持つ旨味成分も損なわれる。

仕上過程では色々と工夫がされている。焙煎もその一つだし、水出し冷茶などもその一商品かもしれない。しかし、熱湯で入れても美味しく飲めるお茶にはまだ至っていない。

茶業界で一つの目標を示して、コンテストとしてそれぞれの工程で工夫が始まれば、色々面白い商品が出来てくると思うのだが。それは急須と湯飲みで湯冷ましして飲むことを啓蒙するよりも、ダイナミックで大きな可能性を秘めていると思う。
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猛暑の夏、冷茶から考える(中)

(酷暑でも季節を忘れずに花芽を出したヒガンバナ)

昨日は、水出し冷茶と味の素入りのお茶の話を書いた。いずれも煎茶の常識を破り、あるいは邪道だと排斥された。しかし二つのお茶に共通して言えるのは、それぞれが消費者のニーズに真摯に耳を傾けて、開発したお茶である点である。もちろん茶業界全体を動かすほどの力は無いけれども、それぞれに根強いファンが付いていることは昨日書いた通りである。

「白葉茶」の書き込みでも書いたが、茶業者に聞けば、お茶が売れないのは消費者が横着になって急須と湯飲みで飲まなくなったからだという。ペットボトルの簡便さに慣れてしまったのである。茶業界では、煎茶を急須と湯のみで飲むことをもっと宣伝する必要があるとして、お茶インストラクター制度を作り、地道に啓蒙活動を続けて行こうとしている。その努力に頭が下がる思いであるが、消費者を急須と湯のみの世界に取り戻すことは大変ハードルが高いと最近思うようになった。

昔、故郷では冬には長火鉢に炭がいけられ、五徳に鉄瓶がのって、沸騰する鉄瓶の蓋がチンチンと音を立てていたのを思い出す。鉄瓶の中には一つまみのお茶が入れられて、煮出されて茶色のお茶になっていた。お茶の色が茶色の語源の元だと、大変分かりやすかった。(今はお茶の色は緑色になった)鉄瓶から湯飲みにお茶を入れてもらい、熱いお茶をフーフー吹きながら飲んだ。旨味も苦味もそれほど無いが、寒い外から帰って来た子供たちには、熱いだけがご馳走だった。

お茶を60℃に湯冷ましして入れるという、茶業界が勧めるお茶の入れ方は、熱いお茶を吹きながら飲むという、消費者のニーズを頭から否定するものではないだろうか。特に寒いときには熱いお茶を皆んな飲みたいのである。コーヒーも紅茶もココアも熱湯で作って何も支障がない。煎茶だけが湯冷ましを求める。

茶業界は消費の落ち込みで苦境にある。急須と湯飲みの世界にもう一度戻すのもよいが、消費者のニーズをもっと調査すべきだと思う。消費者の嗜好に合わせたお茶が提供できるように、もっと研究すべきである。自分も消費者のニーズが解っているわけではないが、一人の消費者として、湯冷ましして入れなければ飲めないようなお茶は、間違っていると思う。熱湯で出しても苦くならないお茶を、吹き冷ましながら飲みたいと思う。そんなお茶が手に入るならすぐにでも購入したい。

しかし、熱湯で出しても苦くならないお茶、そんなお茶がはたして出来るのだろうか。(続く)
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猛暑の夏、冷茶から考える(上)

(K園の水出し冷茶)

暑い夏がようやく去ったようだ。昼間の暑さはまだ残るが、朝夕の涼しさは秋のものになった。この暑い夏、我が家では冷茶をよく飲んだ。家で飲んでいるのは自分が関与しているK園の「さわやか 水出し冷茶 あさつゆ」という商品である。5gのティーパックで、ほぼ20円見当で、50バック入っている。1リットルにティーバック2個入れるように書いてあるが、夏だからそれほど濃く出さなくてもよい。1リットルに1個でも十分美味しく飲めた。

我が家では、生水は避けて、沸騰させたお湯を水で冷やして熱を取ってから、ティーパックを放り込み、冷蔵庫へ入れておく。冷蔵庫で3~4時間冷やすと書いてあるが、そこまで待たなくても冷える頃には十分飲み頃になっている。ジュースなどと違って、飲んだ後の口内がさわやかである。

我が家で飲み簡便で美味しかったから、故郷に送ったり、お土産にしたり、娘たちや知人に分けたりしたが、この夏の暑さもあって大好評であった。飲んでしまってから近所で冷茶を探したが手に入らなくて、買って欲しいとリクエストが来たりして、なんだかんだ、夏が終るまでに50個入りを30本近く買っていた。

水出し冷茶は冷水でお茶を出すという、お茶の常識を破った商品である。夏にも健康に良い美味しいお茶を飲みたいという、消費者のニーズを受け止めて開発されたもので、ペットボトルの数分の1の費用でお茶が飲めるから、夏には家庭用として冷蔵庫に入るペットボトルに取って代われる商品だと思った。ペットボトルと比べて、まだまだ知らない人が多く、手に入れ難い商品であるのが残念である。

話は変わるが、かつて関西で荒茶の生産過程において味の素を添加して、旨味を加えたお茶が生産され売られていた。茶業界ではお茶は自然飲料で添加物を加えるのは邪道だと糾弾されて、一時、味の素入りのお茶を生産していた茶工場は、生産と流通を普通煎茶に戻すのに大変な思いをしてきたことがある。あれから何年か経って、今でも味の素入りのお茶は堂々と製造されていると聞く。

関西の一部や北陸などでは、味の素入りのお茶を飲みなれていて、普通煎茶を持って行っても納得してもらえないから、元通りに味の素入りのお茶に戻したという。あの騒ぎは何だったと思うが、味の素が健康に悪いわけでは無いから、消費者が望むなら、そういうお茶を作るのが生産者の役割である。今までと違うのはしっかりと添加物の表示がされた点だけであるという。

全く違う二つの話であるが、現在、消費が低迷して苦境にある茶業界の内在する問題を提起するうえで、重要なことを示唆していると思う。(続く)
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「白葉茶」を期待する

(久し振りに、これこそ夏の青空という天気になった)

お茶の消費が漸減していく状況に対して、茶業関係者は、今の若い人たちは横着になって急須を使うことをしなくなった。茶殻を処理したり、茶道具を洗ったりという作業が面倒くさいから、ペットボトルを買ってきて済ませてしまう。そんな風に嘆いて終る。はたして本当にそうなんだろうか。もちろんそういう一面も無いことはないが、主たる理由ではないのではないか。最近、考え方が少し変わってきた。

こんな光景が浮かぶ。お茶屋さんは店頭でお茶を入れて、とにかく道行く人にお茶を飲ませる。そうするとかなりの確率でお茶は売れるという。玄人のお茶屋さんが湯冷ましして、最適の温度で入れるお茶は確かにおいしい。だからついつい買ってしまう。

自宅へ帰って、急須にお茶を入れてポットのお湯を入れる。出るタイミングを計って、湯のみに入れて飲んでみると、口が歪むほど苦い。お茶を入れ過ぎたのだろうと、お茶を減らすがまだ苦い。苦くなくなるまでお茶を減らしたら、味も素っ気もない色付き湯になってしまった。店頭で飲ませてもらったお茶は何だったのだろう。お茶はそのまま放って置かれ、古くなって捨てられる。彼もしくは彼女は、二度とお茶を買ってくることは無いだろう。冷蔵庫にはペットボトルのお茶がのさばることになる。

お茶は60度まで湯冷ましして入れなければ、苦くなるのが当たり前だ。少しでも茶業に携わっている人はそういうだろう。しかし消費者は納得していない。コーヒーや紅茶を湯冷ましして入れることはない。寒いときには熱いお茶を飲むから身体と気持が温まるのであって、生ぬるくして飲みたいとは思わない。

消費者はポットのお湯をそのまま入れて、おいしく出るお茶を望んでいる。これが消費者のニーズである。茶業者は湯冷ましして入れる正しい入れ方を消費者に教育しなければならないと真顔で話す。消費者のニーズに答えないで、自分たちのやり方を押し付けている。どんな商品でも消費者のニーズに応えて懸命に企業努力がされている。消費者のニーズに応える努力をしなければ、売れなくなるのは当たり前である。

お茶のペットボトルは消費者ニーズの「簡便さ」という点に特化して開発されて、時流に乗った。おいしいから飲んでいるのではない。簡便だから飲まれるのである。いまや、ペットボトルのお茶がお茶の味だと思っている消費者が大半になってしまった。本来の緑茶の味が忘れられてしまうのは、余りにも残念である。

そんな状況の中で、最近、新聞に、うま味たっぷりの「白葉茶」が県内大学、研究機関の共同で開発されて、新世代の飲料として普及を計るというニュースが出ていた。

収穫前の茶園にシートを被せて日光をコントロールして、うま味成分を増やしたお茶が “かぶせ茶” として一部地域で栽培されているが、「白葉茶」は一番茶摘採の2週間前の茶園に覆いを掛けて、日光を100%遮断する。すると、茶葉が白色化して、うま味成分のアミノ酸含有量が2~3倍に増えるということが発見されたという。遮光をすると茶葉の緑が濃くなることは知られているが、100%遮断すると茶葉は逆に白くなる。日光を遮断して作るモヤシやウドと同じ作り方である。

「白葉茶」は詳しい記述がないけれども、苦味の成分は極端に少ないと思われる。おそらく、ポットのお湯をそのまま入れても、苦くないおいしいお茶が出るはずである。それこそ、消費者のニーズに合ったお茶として、少々高くても売れる商品になると思う。収量が大きく減少するというマイナス面もあり、実用化のために追加研究がなされているというが、実用化すれば茶業界の救世主になる予感がする。
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緑茶の抗肥満と動脈硬化抑制機能(後)

(庭のゴーヤの花)

昨日の続きである。「緑茶の抗肥満と動脈硬化抑制機能」の後半で、緑茶成分の動脈硬化症発症抑制作用の話である。昨日に続き、静岡大学農学部、茶山和敏准教授の講演からである。

メタボリックシンドロームの最終病態は「動脈硬化症」だといわれ、心不全や脳卒中を誘発するとして、健康診断においてメタボのチェックが義務付けられるようになった。動脈硬化症とはどういう病気でどんなメカニズムで発症するのかを、図入りで説明してくれたが、中々理解が難しい。それを言葉だけで説明するのはもっと難しい。細かい話ははしょってポイントだけを書いてみる。

動脈の中で免疫細胞であるマクロファージが血液中で悪玉脂肪取り込み、血管の内壁に入り込む。マクロファージは次々に悪玉脂肪を取り込んで脂肪太りになり、やがて死んで脂肪だけが溜まる。これが繰り返されて血管内に脂肪のふくらみが出来る。やがて血管を狭くして、それが血管を塞ぐほどになると、狭心症や脳卒中を引き起こすのである。

人間が体内に脂肪を溜め込む理由は、人類が生れて以来ごく最近まで、飢餓とどう闘うかが最大の問題であった。人類は来る飢餓に備えて余分な脂肪を体内に蓄えるように進化してきた。飢餓の時代が去って飽食の時代になったのは極々最近の事である。どれだけ脂肪を溜めても、飢餓になれば底をつくまで使ってしまうから、メタボなど発生することがなかった。一見、マクロファージや悪玉脂肪の働きは人間に害以外の何者でもないように見えるけれども、人類の歴史を追えば重要な役割を持っていたのである。

さて、メタボに効果があると解ったお茶に含まれるカテキンとカフェインは動脈硬化症にも効果があるのか。同じくマウス実験をしたところ、メタボ同様にカテキンとカフェインを混ぜた方か単独投与よりも効果があることが実証された。

さらに、カテキンとカフェインの割合はどのくらいが最適かという課題もマウス実験したところ、お茶が通常含有しているカテキンとカフェインの濃度比率に対して、カテキンの量を倍にしたときにもっとも効果があることが解った。これらはあくまでもマウス実験であって、直ちに人に当てはまるものではないけれども、これらの研究はいずれも准教授が最初に発表した研究結果であった。

現在、特定保健用食品として販売されている「ヘルシア緑茶」は、緑茶のこの機能を人に当てはめて、カテキンを増量した緑茶ということで売り出しているが、カテキンを表に出して宣伝しているが、カフェインも含有していて初めて効果があることを忘れてはならない。ヘルシアとは共同研究したものではなく、自分の研究成果を踏まえて、ヘルシア独自で人に対するテスト結果を踏まえて、トクホの認可を受けたものと思われる。
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