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「復讐 天橋立」を読む 23

(散歩道のシチヘンゲ/一昨日)

シチヘンゲはランタナとも呼ばれ、花の色が、初め黄または淡紅色から、橙色・濃赤色に変化する。この花の群れは、シチヘンゲの最終段階なのだろう。

台風10号が西日本に近付いている。当地、夕方スコールのような雨があった。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

臺右衛門承り、誠に有り難き御意、報い奉るに所なし。この上、兎も角も、仰せに背くは却って不敬の至りなりと、少しも恐るゝ色なければ、殿、御悦喜(えつき)斜めならず。頓(やが)て日限を定められ、家中の面々、見物御赦免仰せ付けられ、すでにその日になりければ、稽古(けいこ)所の正央(しょうおう)に御座を儲(もう)け、左右に家老中をはじめ、林田右膳、その外諸士、厳重に膝を並べ、異儀(威儀)を正して相詰めける。
※ 悦喜(えつき) ➜ 非常に喜ぶこと。
※ 斜(なな)めならず ➜ 機嫌や喜びがひととおりではない。
※ 正央(しょうおう) ➜ 真正面。中央。
※ 異儀を正す ➜(正しくは「威儀(いぎ)を正す」)身なりを整え、おもおもしい態度をとる。



(「復讐 天橋立」挿絵8)

臺右衛門、(おく)する色なく、式礼(しきれい)して立ち向かえば、殿、頓(やが)て竹刀(しなえ)追取(おっと)給い、一声叫んで打ちかけ給うを、臺右衛門受け留め、双方練磨(れんま)手を砕き争いけるが、城主この度こそ勝利を得んと、十分思し召しける故、扨(さて)こそ、かくの如く、諸士に見物を赦免有りしが、終(つい)に叶わずして、受け太刀しどろにならせ給うを、得たりと臺右衛門、たゝみかけて、また/\さんざんに打ち据え奉りければ、林田右膳たまりかねて、竹刀(しなえ)を打ちふり踊り上がり、臺右衛門に打ってかかる。
※ 臆(おく)する ➜ 気後れしておどおどする。おじける。
※ 式礼(しきれい) ➜ 礼をすること。会釈。あいさつ。
※ 追取(おっと)る ➜ すぐに手に取る。 勢いよく取る。
※ 練磨(れんま) ➜ きたえてみがきあげること
※ 手を砕(くだ)く ➜ さまざまに工夫をこらす。
※ しどろ ➜ 秩序なく乱れているさま。
※ 得たり ➜ しめた。してやったり。
※ たたみかける ➜ 相手に余裕を与えないように、立て続けに行う。


読書:「まぼろしのコロッケ 南蛮おたね夢料理2」 倉阪鬼一郎 著
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