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「復讐 天橋立」を読む 17

(散歩道のハナトラノオ/昨日撮影)

俳句に続いて、短歌も詠んでみよう。昨日の夕食で、

  祖父ちゃんの ゴーヤチャンプル 苦くない ネットレシピを そっと隠せり

この際、短歌とは何かなど、難しい話は置いて、五七五七七の数合わせに徹する。当面は、孫が題材になるのだろうか。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

(すで)にその日も黄昏(こうこん)におよび、藤弥太は院主の饗応にあい、酩酊のうえ心よく風に吹かれて、若党どもとうち語りつゝ、帰路をさして行きける。道の傍らなる木立の陰より、待ち設(もう)けたる大見崎臺右衛門、踊り出て、物をも言わず切り掛けたり。これは、という間もあらばこそ、一刀に切り提(さ)げられ、藤弥太、不期(ふご)にして、(あ)え無き最期(さいご)を遂(と)げにける。
※ 黄昏(こうこん) ➜ 日の暮れかかること。夕暮れ。たそがれ。
※ 不期(ふご) ➜ 意図せぬ。だしぬけ。
※ 敢(あ)え無い ➜ あっけない。もろく、はかない。


すわ狼藉ものと若党、下部(しもべ)が立ち騒ぐ間に、臺右衛門は難なく逃げ延び、先々(まずまず)壱人は討ち留めたり、この上は元伊勢の家臣、大谷木九郎兵衛を仕留(しと)めんとは思えども、彼は容易の敵にあらず、その内手便(てだて)をめぐらし仕形(しかた)こそあらんと、ひと先ず永尾に立ち帰り、さあらぬ(てい)して勤めける。
※ すわ ➜ 突然の出来事に驚いて発する語。そら。さあ。あっ。
※ 狼藉(ろうぜき) ➜ 無法な荒々しい振る舞い。乱暴な行い。
※ 手便(てだて) ➜ 目的を達成するための方法・手段。
※ さあらぬ ➜ なにげない。なにくわぬ。


(さて)もこの永尾家は、城主何がしどの、専ら雅道(がどう)を好ませ給いて、家中おのずから安逸(あんいつ)に慣れ、風雅の道のみ流行して、自然と武道に怠り、扨こそ、大見崎、飯貝の両人不心懸(ふこころが)けにて、かゝる汚名を残せりと。城主をはじめ後悔ありて、これ以後、風流を禁ぜられ、一同武芸を相励むべきよし、仰せ出され、俄かに、一刀流の達人、林田右膳といえるものを召し抱えられ、御師範として、日夜稽古(けいこ)、少しも懈怠(けたい)なく励み給いけるが、
※ 雅道(がどう) ➜ 風雅、風流の道。
※ 安逸(あんいつ) ➜ 気楽に楽しむこと。何もせずのんきに過ごすこと。
※ 風雅(ふうが) ➜ 詩歌・文章の道。また、文芸・書画など芸術一般。
※ 懈怠(けたい) ➜ なまけること。おこたること。怠惰。
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