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「復讐 天橋立」を読む 15

(庭のムクゲ)

庭のムクゲは根が傷んで、半ば倒れそうに立っているが、花をたくさん咲かせた。風が吹けば倒れそうで、根から新しい芽も大きくなっているから、何時か切らなければならないと思っている。

10時、TSさんとの約束で、吉田町に行く。暑い時期ゆえ、いつもの倉庫は50℃を越えて、とても日中は居れないので、作業は専ら早朝に行うようにしているという。だから、今日は二人して近くの喫茶店に行った。それからお昼まで、2時間ほどお話した。TSさんの自宅は吉田町でも海に近い地域で、東日本大震災後、多くの人たちがもっと内陸へ引っ越して、近辺の地価や家賃が下落し、今は近辺に勤める外国人たちが、借家して住むようになったと話す。古文書に係わる様々な情報交換をして、改めてTSさんの古文書に対する知識の広さに驚かされた。お昼を過ぎて、幾つかの資料を頂いて帰った。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

〇第二回
当国永尾家の藩中、大見崎貞義が兄に、同苗(どうみょう)、臺右衛門というものあり。きわめて性質狼戻(ろうれい)にして、少年のうちより武芸を励み、心猛々しく我意の槍舞を好み、おのずから柔弱(にゅうじゃく)なることを嫌いけるが、
※ 同苗(どうみょう) ➜ 同じ一族。同族。
※ 狼戻(ろうれい) ➜ 欲深く道理にもとること。
※ 我意(がい) ➜ 自分一人の考え。我流。
※ おのずから ➜ そのもの自体の力、成り行きに基づくさま。自然に。ひとりでに。
※ 柔弱(にゅうじゃく) ➜気力や体質が弱々しいこと。


弟貞義、中禅寺において横死(おうし)せし始末を聞くより、無念骨髄(こつずい)に徹し、そのうえ無宿ものとなりて、末代まで恥辱を残すことを安(やす)からず思い、病気と披露(ひろう)し、勤仕(きんし)を断り、姿をやつして中禅寺に立ち越し、委細のことを聞き糺(ただ)し、そのまま岩屋(谷)の城下にいたり、爰(ここ)かしこ徘徊(はいかい)して、何とぞ便りを求め、弟の敵(かたき)、日下部藤弥太を打ち果(はた)さんと思いこんでぞ居たりける。
※ 横死(おうし) ➜ 殺害されたり、災禍などのため、天命を全うしないで死ぬこと。不慮の死。非業の死。
※ 骨髄(こつずい) ➜ 心の奥。心底。
※ 披露(ひろう) ➜ 広く人に知らせること。世間一般に発表すること。
※ 勤仕(きんし) ➜ 職務・役目をつとめ、つかえること。
※ やつす(窶す)➜(服装を)目立たないようにする。みすぼらしくする。
※ 徘徊(はいかい) ➜ あてもなく、うろうろと歩きまわること。
※ 何とぞ ➜ 手段を尽くそうとする意志を表す。なんとかして。ぜひとも。
※ 便り(たより) ➜ あることをするきっかけ、手がかり。
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