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「復讐 天橋立」を読む 22

(散歩道のサルスベリ/昨日)

午後、菊川図書館に行く。掛川古文書講座の先生、KT氏が関与されている「戦争体験を伝える会」の展示を拝見するためである。毎年、この時期に展示されて、35回になるという。範囲を菊川市に限って、爆弾被害、大井航空隊、学童疎開、アメリカ人形、忠魂碑、防空壕、出土日本軍砲弾、など、この35年の活動の集大成のような展示がされていた。当番の女性が「会員が皆んな歳をとってしまって、‥‥‥」と語った。

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「復讐 天橋立」の解読を続ける。

殿聞こし召され、臺右衛門が不届き、奇怪には思えども、さして命を取るにも及ばず。我聊(いささ)か思う事あれば、この方より沙汰致すまで、厳しく押し込め、番士(ばんし)を付け置き、決して外へ出すべからず。その由、申し渡すべしと。思いの外なる仰せに、人々殿の寛仁(かんじん)なるを感拜(かんぱい)し、頓(やが)て家老中、その旨を取り計らい、閉門(へいもん)致させ、差し置きけるが、
※ 番士(ばんし) ➜ 江戸時代、 殿中の宿衛、諸所の警衛に勤番した士。
※ 寛仁(かんじん) ➜ 心が広く、情け深いこと。
※ 感拝(かんぱい) ➜ 有難さを感じて深く頭を下げること。
※ 閉門(へいもん) ➜ 江戸時代、武士・僧に科せられた刑罰の一。門や窓をかたく閉じ、出入りを禁じられた。


さるほどに、城主何某(なにがし)殿には、臺右衛門がために、遅れを取り給うことを、限りなく残念に思し召され、その後は、誠に昼夜寝食を(やす)んじ給わず、しきりに稽古出精(しゅっせい)し給い、既に日数五十日余りにして、御鍛練の功を顕わし給い、最早(もはや)これにては、臺右衛門に仕負くることもあるまじと思し召し、閉門赦免(しゃめん)なさしめ、再び立合い、この度こそ、おのれ臺右衛門、打ち据えてくれんと、心中殊に勇ませ給い、
※ 安(やす)んず ➜ その状態のままで満足する。あまんじる。
※ 出精(しゅっせい) ➜ 精を出して努めること。精励。
※ 赦免(しゃめん) ➜ 罪や過ちを許すこと。


急ぎ家老中へ仰せ渡され、臺右衛門こと、出勤すべきよしなれば、諸士弥(いよいよ)、殿の度量(どりょう)なるを感じ入り、近習の面々仰せを蒙(こうぶ)り、臺右衛門を誘引(ゆういん)し、お前に罷り出づる。その時城主曰(のたま)うよう、いかに臺右衛門、先だってその方と立合い、打ち負けたるは、我が後学(こうがく)にして、おのずから心の励みは陪(倍)し、それよりして、猶(なお)も昼夜稽古、暫(しばら)くも懈怠(けたい)せざれば、聊(いささ)か手応えも出来たるや否や、試みにまた/\立合い、その善悪を示すべし。
※ 度量(どりょう) ➜ 他人の言行をよく受けいれる、広くおおらかな心。
※ 誘引(ゆういん) ➜ 誘い入れること。いざない導くこと。
※ 後学(こうがく) ➜ 将来ためになる知識や学問。後日役にたつ事がら。
※ 懈怠(けたい) ➜ なまけること。おこたること。
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