平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「美耶巨萬有提」の解読 27
もう一枚コマーシャル、一昨日と絵柄が違います
午後、掛川文学講座で掛川図書館に行く。今日のテーマは「三島由紀夫」。講座の前に、講師の方と少し話をして、古文書講座を金谷と榛原でやっていると話した。講師の方も若い時、古文書講座に何度か通ったが、長続きしなかったという。
三島由紀夫は高校生のころ、大江健三郎を愛読する友に張りあって、愛読したものである。今では三島と同時代に生きて、三島を愛読していたものも少なくなったのではなかろうか。全集を持っているから、また三島由紀夫を読んでみようかと思う。
ちなみに、自分が結婚したのは、三島が自決した、ちょうど一年後の同日である。
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「美耶巨萬有提」の続き、16Pの8行目途中より。
星野某、織田某、黒岩某なとこゝまてをく(送)れり。
去日(きょじつ)盤佐み多れ(五月雨)、晴王多り追手(おって)尓ませ(真風)と
以ふ風吹て、舟いとはやし。加田の湊ち可く、夜尓
い里て、とま(苫)可嶋ほの可尓見ゆ。
海士(あま)の子可 須ミ可(住処)な徒可(懐か)し 苫(とま)可嶋
波のうきねの 夢とおもへは
志者し漕行(こぎゆく)ほとに、追風やミて、磯山尓
月能出(いで)れり。
玉ならは か徒起(担ぎ)てゆ可ん 波よ(寄)須る
紀のいそ山尓 いつる月影
※ 去日(きょじつ)➜ この間。過ぎ去った日。
※ 追手(おって)➜ 追い風。
※ 真風(まぜ)➜ 南または南西の風。多く西日本でいう。
※ 苫ヶ島(とまがしま)➜ 友ヶ島。和歌山と淡路島の間にある、沖ノ島、地ノ島、虎島、神島の総称をいう。
※ うきね(浮き寝)➜ 人が船の中で寝ること。
【 読み下した文】
星野某、織田某、黒岩某など、こゝまで送れり。
去日(きょじつ)は五月雨(さみだれ)、晴れわたり追手(おって)に真風(まぜ)と
いう風吹きて、舟いと速し。加田の湊近く、夜に
入りて、苫ヶ島ほのかに見ゆ。
海士(あま)の子が 住処(すみか)懐かし 苫(とま)ヶ島
波のうきねの 夢と思えば
しばし漕ぎ行くほどに、追風止みて、磯山に
月の出でれり。
玉ならは 担(かつ)ぎて行かん 波寄する
紀の磯山に 出づる月影
(16Pの15行目途中まで、以下続く)
読書:「新春新婚 小料理のどか屋人情帖30」 倉阪鬼一郎 著
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読むのが楽しみです
著者も喜ぶと思います。