ほそかわ・かずひこの BLOG

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食と健康と日本の再建5

2007-02-24 09:33:09 | 教育
<食育基本法の制定(続)>

●前文の内容(続)

 食育基本法は、続いて、「子どもたちに対する食育」について述べ、「子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付けていくためには、何よりも「食」が重要である」とする。「食」が、「豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身に付け」るために重要としている。
 ここで食育について、次のように述べる。「今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付ける」ことが求められている。また、それとともに、「様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進すること」も求められている、と。
 知育・徳育・体育は、それぞれ知を育てる教育、徳を育てる教育、体を育てる教育である。それに対し、食育は、食についての教育であって、食を育てる教育ではない。そして、食育をもって「知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置付けるというのは、一つの思想である。これは、石塚左玄・村井弦斎らの思想を継承するものだろう。
 今から100年以上前に唱えられていた食育の思想を、教育の基本方針にすえ、そのもとに国家的な取り組みをしようという国家方針を打ち出しているのが、食育基本法である。

 続いて、同法は、食育について、次ぎのように述べる。「もとより、食育はあらゆる世代の国民に必要なものであるが、子どもたちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものである。」と。
 食育を全国民の生涯教育の教育内容とする中で、特に子どもたちに対する食育の重要性を強調している。子どもたちの「心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるもの」が食育だという。

 次に、同法は、「食」に関する問題を列挙し、課題を掲げる。この部分の文章は、よく整理されていない。冗長で意味が取りにくいところがあるので、整理してみよう。
 食育基本法は、現代日本の食に関して、繰り返しになるが、以下のような問題点を挙げている。

・栄養の偏り
・不規則な食事
・肥満や生活習慣病の増加
・過度の痩身志向
・「食」の安全上の問題
・「食」の海外への依存の問題
・地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあふれる日本の「食」が失われる危機

 現代日本の「食」に関する課題としては、次ぎの諸点を挙げている。

・食生活の改善や「食」の安全の確保、日本の食文化の継承のために、「食」に関する考え方を育て、健全な食生活を実現する
・都市と農山漁村の共生・対流をし、消費者と生産者との信頼関係を構築する
・地域社会を活性化し、豊かな食文化の継承及び発展を行う
・環境と調和のとれた食料の生産及び消費の推進を行う
・食料自給率の向上を図る
・自然の恩恵や「食」に関わる人々の様々な活動への感謝の念や理解を深める
・「食」に関して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う能力を身に付ける

 そして、これらの課題への取り組みを実践する方法として、以下の点を挙げる。

・家庭、学校、保育所、地域等を中心に、国民運動として、食育の推進に取り組む。
・さらに、海外との交流等を通じて食育に関して国際的に貢献する。

 具体的には、

・家庭や学校、保育所等における健全な食習慣の実現を図ること
・地域や各種団体の自主的な食育活動の展開
・生産者や農山漁村と消費者との信頼関係の構築
・伝統的な食文化の継承
・食品の安全性
・食生活に関する調査研究の国際的な交流など

を挙げている。

 次回に続く。

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