●日本精神を失ってきた原因
家族の問題に絞って述べたが、他にも社会、学校、地域、国家、深刻な問題が生じている。なぜ現代の日本は、こういう状態になっているのか。それは、戦後、日本精神を失ってきたためである。その原因は大きく三つある。
日本人はたった一度の敗戦によって、すっかり自信を喪失してしまった。そして、日本の過去のものは、良いものも悪いものも何もかも、封建的だとか古いとかいう理由で捨て去ってしまった。愚かなことである。そのため、先祖から受け継いできた日本人の規範や価値観を失ってしまった。
そのうえ占領軍は、日本が再びアメリカ及び世界の脅威にならないように、日本を弱体化しようとした。戦争の罪悪感を植え付け、日本人を精神的に骨抜きにしようとした。民族の歴史や記憶を忘れさせ、日本人の誇り、愛国心を消し去ろうとした。教育勅語を否定し、修身教育をなくし、道徳や精神的伝統を教えないようにした。占領下で押し付けられた憲法には「婚姻は両性の合意のみで成立する」と定められ、欧米の個人主義の考え方が持ち込まれた。
戦後、敗戦の痛手から復興し、経済成長が得られると、日本人は段々経済中心・もの中心の考え方に陥るようになった。同時に個人中心・自己本位の考えが広がった。それが家庭にも及び、親子・夫婦・祖孫の絆が弱くなり、個人主義の考えが蔓延した。それが社会全体に広がっている。
敗戦による自信喪失、日本弱体化政策の影響、経済中心・もの中心、個人中心・自己中心の傾向、これらの結果、日本人は世代を追うごとに日本精神を失ってきた。
●日本精神を戻すには
では、日本精神を取り戻すには、どうすればよいか。まず日本人の心の中には、まだまだ日本精神が残っていることに気付くことである。
今年7月22日朝午前9時過ぎ、さいたま市のJR南浦和駅京浜東北線ホームで、電車から降りようとした30歳代の女性がホームと車両の間に落ち、腰のあたりを挟まれた。「人が挟まれています」というアナウンスが流れると、電車の乗客らが自主的に降車。乗客や駅員ら約40人が協力して32トンある車両を押し、隙間を広げた。たまたま居合せた読売新聞の記者が写真を撮った。女性は作業から数分で救出され、乗客らから拍手が起きた。女性は病院に運ばれたが、目立ったけがはなかった。
このニュースは、海外に報道された。CNNはキャスターが「日本から素晴らしいニュースです」と前置きして女性の救出を伝え、「生死に関わる状況で、駅員と乗客が冷静に協力した」と称賛。「おそらく、日本だけで起こりうること」として、電車が約8分後に通常運転を再開したと伝えた。イギリス、イタリア等でも称賛された。
海外のネットにもいろいろな書き込みがされた。香港では「中国で同様の事故が起きれば、大多数の人はやじ馬見物するだけだ」、タイでは「日本が、また世界を驚かせた」「とっさにこのような行動ができる日本人は、どのような教育を受けているのか」などという書き込みがされた。
とっさの時に、ほとんど本能的に、一心にみなで助け合う。東日本大震災の時に、世界中の人々に称賛されたあの被災者の人々の秩序正しく、思いやりを以て助け合った行動に通じるものと思う。これは日本人の中に眠っている日本精神の表れである。こうした日本人に眠っている日本精神に気づき、これを取り戻すことが必要である。
次回に続く。
家族の問題に絞って述べたが、他にも社会、学校、地域、国家、深刻な問題が生じている。なぜ現代の日本は、こういう状態になっているのか。それは、戦後、日本精神を失ってきたためである。その原因は大きく三つある。
日本人はたった一度の敗戦によって、すっかり自信を喪失してしまった。そして、日本の過去のものは、良いものも悪いものも何もかも、封建的だとか古いとかいう理由で捨て去ってしまった。愚かなことである。そのため、先祖から受け継いできた日本人の規範や価値観を失ってしまった。
そのうえ占領軍は、日本が再びアメリカ及び世界の脅威にならないように、日本を弱体化しようとした。戦争の罪悪感を植え付け、日本人を精神的に骨抜きにしようとした。民族の歴史や記憶を忘れさせ、日本人の誇り、愛国心を消し去ろうとした。教育勅語を否定し、修身教育をなくし、道徳や精神的伝統を教えないようにした。占領下で押し付けられた憲法には「婚姻は両性の合意のみで成立する」と定められ、欧米の個人主義の考え方が持ち込まれた。
戦後、敗戦の痛手から復興し、経済成長が得られると、日本人は段々経済中心・もの中心の考え方に陥るようになった。同時に個人中心・自己本位の考えが広がった。それが家庭にも及び、親子・夫婦・祖孫の絆が弱くなり、個人主義の考えが蔓延した。それが社会全体に広がっている。
敗戦による自信喪失、日本弱体化政策の影響、経済中心・もの中心、個人中心・自己中心の傾向、これらの結果、日本人は世代を追うごとに日本精神を失ってきた。
●日本精神を戻すには
では、日本精神を取り戻すには、どうすればよいか。まず日本人の心の中には、まだまだ日本精神が残っていることに気付くことである。
今年7月22日朝午前9時過ぎ、さいたま市のJR南浦和駅京浜東北線ホームで、電車から降りようとした30歳代の女性がホームと車両の間に落ち、腰のあたりを挟まれた。「人が挟まれています」というアナウンスが流れると、電車の乗客らが自主的に降車。乗客や駅員ら約40人が協力して32トンある車両を押し、隙間を広げた。たまたま居合せた読売新聞の記者が写真を撮った。女性は作業から数分で救出され、乗客らから拍手が起きた。女性は病院に運ばれたが、目立ったけがはなかった。
このニュースは、海外に報道された。CNNはキャスターが「日本から素晴らしいニュースです」と前置きして女性の救出を伝え、「生死に関わる状況で、駅員と乗客が冷静に協力した」と称賛。「おそらく、日本だけで起こりうること」として、電車が約8分後に通常運転を再開したと伝えた。イギリス、イタリア等でも称賛された。
海外のネットにもいろいろな書き込みがされた。香港では「中国で同様の事故が起きれば、大多数の人はやじ馬見物するだけだ」、タイでは「日本が、また世界を驚かせた」「とっさにこのような行動ができる日本人は、どのような教育を受けているのか」などという書き込みがされた。
とっさの時に、ほとんど本能的に、一心にみなで助け合う。東日本大震災の時に、世界中の人々に称賛されたあの被災者の人々の秩序正しく、思いやりを以て助け合った行動に通じるものと思う。これは日本人の中に眠っている日本精神の表れである。こうした日本人に眠っている日本精神に気づき、これを取り戻すことが必要である。
次回に続く。