ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

日銀総裁人事の混迷は日本の危機

2008-03-20 09:05:06 | 時事
 日銀総裁が決まらない。総理大臣にリーダーシップや調整能力がなく、民主党は対案もなく反対を繰り返している。国の舵取りで意見が割れている。世界経済はアメリカのサブプライムローンの問題から、大きく後退している。その中で日本だけが投売りされている。日本の政治への期待のなさ、経済の落ち込みを外国の投資家は厳しく評価している。このような状況で、日本経済の要職の一つである日銀の総裁が決まらず空席となった。そのことがまた国際社会での日本の評価を下げる。
 今朝の産経新聞の「主張」(社説に当たる)は「日本がつぶれてしまう」と題しているが、決して大げさでない。
 日銀総裁人事の混迷は、日本の政治経済の危機であり、日本という国家の危機である。国民は国政について真剣に考え、次ぎの国政選挙で、わが国の舵取りがしっかりされるような候補を選び、自滅の道をさけねばならない。
 以下は報道のクリップ。

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●読売新聞 平成20年3月19日付

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080319-OYT1T00656.htm
白川副総裁を総裁代行に指名、決着は4月にずれ込む公算

 日本銀行の福井俊彦総裁は19日、自らの任期が同日に切れ、戦後初の総裁空席になったことを踏まえ、副総裁に就任する白川方明(まさあき)・京大教授(58)を総裁代行に指名した。  福井氏の後任に元大蔵事務次官の田波耕治・国際協力銀行総裁(68)を充てる人事案が、19日の参院本会議で民主党などの反対によって否決されたのを受けた措置だ。政府は総裁について別の案を提示する方針だが、民主党との接点を探る作業は難航が予想され、決着は4月にずれ込む公算が大きくなっている。
 この日の参院本会議では、西村清彦・日銀政策委員会審議委員(54)の副総裁就任案だけが可決された。一方、その後の衆院本会議では、田波、西村両氏の人事案が同意を得た。
 政府はその後の持ち回り閣議で、西村氏と、すでに同意を得ていた白川氏を20日付で副総裁に任命することを決定。日銀法の「副総裁は、総裁が欠員のときはその職務を行う」という規定に基づき、白川氏が総裁代行に指名された。
 福田首相は19日夜、首相官邸で記者団に、「責任を痛感している」と述べ、空席解消を急ぐ姿勢を強調した。ただ、民主党の小沢代表との党首会談については「何度も申し上げている。お返事がないのが現状だ」と語り、実現の見通しがたたないことを明らかにした。
 町村官房長官は19日夕の記者会見で、新たな人事案の提示時期について、「できるだけ空席が長引かないようにしたい」と述べた。白川氏を総裁に充てる可能性は、「副総裁として提示し、同意を得たものを、直ちに総裁としてまたお願いする不見識なことができるか」と否定した。
 政府は税制関連法案の成立を巡る年度末の与野党攻防を控え、月内は新たな案の提示を見合わせる方向だ。ただ、4月前半には日銀金融政策決定会合や先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が予定されており、こうした会議までには決着させたい考えだ。
(2008年3月20日02時04分 読売新聞)

●産経新聞 平成20年3月20日付

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080320/stt0803200337000-n1.htm
【主張】日銀総裁空席 日本がつぶれてしまう 政治混乱の拡大食い止めよ
2008.3.20 03:35

 日本は、政治の無策と鈍さゆえに国難ともいえる事態を招いてしまった。日本銀行総裁が空席という戦後初めての異常な状況を現出させた責任は、福田康夫首相と小沢一郎民主党代表にある。
 「空席」という結果責任から首相は免れない。一連の人事の迷走は統治力に疑問符が付けられた。他方、小沢代表はこの問題を政争の具として利用し続けた。「日本売り」への危機感もみられず、無責任というそしりは免れない。
 両氏は総裁の空席を1日でも短くするよう協議して事態を収拾するのが責務である。
 しかも、この政治の混乱と混迷は日銀人事にとどまらず、道路特定財源問題や揮発油(ガソリン)税の暫定税率の取り扱いなどにも波及する様相だ。そのつけを負うのは国民である。国民の利益を守るための打開策を自民、民主両党に強く求めたい。このままでは国がつぶれてしまう。
 ≪侵された日銀の独立性≫
 総裁不在は経済に悪影響を与えるだけでなく、国際的な信用も失う。なぜなら、日銀は「通貨の番人」として、日本の物価の安定と金融システムの維持に責任を負っているからだ。
 その最高責任者の不在は戦後、例がない異常事態である。しかも、政争の結果、空席となったわけで、海外から政治の介入で日銀の独立性が侵されたと受け止められるのは必至だろう。
 日本経済を取り巻く状況は不安定さを増している。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題で、米国景気には後退懸念が出ている。ドル安も止まらない。
 これに伴う円高は、日本の輸出企業の収益を直撃する。企業業績の悪化は、個人の所得を減らし、消費を冷やそう。
 日銀は当面、白川方明新副総裁が総裁代行として政策委員会の議長を務めることになる。日銀きっての理論派として金融政策に精通しているとはいえ、対外折衝の面での力量は未知数だ。
 4月中旬には先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が予定されている。経済大国としての責務を果たす上からも総裁不在を長期化させてはならない。
 混乱はこれにとどまらない。
 民主党は歳入関連法案の成立を阻む方針で、年度内に成立しなければ揮発油税の暫定税率が4月以降、廃止され、国と地方合わせて2・6兆円の歳入欠陥が生じる。混乱を回避するため、道路特定財源の一般財源化問題も含めた与野党の修正協議も待ったなしだ。
 日銀人事をめぐり、民主党の小沢代表は「福田内閣は機能不全を起こしている」と指摘したというが、混乱をもたらした責任の多くは民主党にある。その認識がないまま機能不全の言葉を使うところに問題の根深さがある。
 ≪有能な人材の登用を≫
 昨年の参院選で与党を過半数割れに追い込んだことをもって、民主党は「新しい民意」を得たと主張する。大連立構想で一時、党内の混乱はあったが、ねじれ現象を最大限利用し、福田内閣を窮地に追い込む戦略をほぼ一貫してとってきた。
 福田内閣支持率の下落傾向が続いている。一方、民主党の政党支持率が急伸したのだろうか。
 党幹部の間には、空白回避に向けて日銀問題を収束させるべきだとの意見もあったものの一部にとどまったという。政局至上主義の空気が党内に蔓延(まんえん)し、異論のある幹部も沈黙しているなら憂慮すべき状況だ。
 ねじれ現象に加え、そのような姿勢の民主党を相手に、福田内閣が政策運営や国会対応で苦慮せざるを得ない面はあるが、政府・与党が一体となって修正協議などに対応できる態勢になっているとはいえまい。日銀人事をめぐる迷走をまた繰り返すのだろうか。
 多数の道路族議員を抱える自民党で、道路財源の法案修正は党内調整にもエネルギーを要する作業となる。課題を実現するため、首相が必要だと判断すれば、有能な人材を官邸や閣内、党執行部に再配置することも決断すべきだ。
 ねじれ現象に向き合って政治の機能不全を脱却し、いかにして国民生活を守るか。そのことこそ、首相と小沢代表が競い合うべきテーマである。
 自ら行動し、指導力を発揮する場面があまりにも少ない。国民の目にはそう映る。
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