ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

集団的自衛権は行使すべし36

2008-03-08 08:47:58 | 憲法
●イラク戦争には特措法で陸自を派遣

 平成15年(2003)3月、ブッシュ政権はイラクに対する戦争に踏み込んだ。小泉首相は、いち速くアメリカを支持した。さらに、米軍によるイラク占領が開始されると、小泉政権は6月中旬に、自衛隊をイラクに派遣するためのイラク特別措置法案を国会に提出した。同法は
イラク人道復興支援特別措置法と称し、イラクにおける人道復興支援を目的とする。戦争は終結したとはいえ、国内の治安が安定していないイラクで支援活動を行うには、自衛隊をおいてほかにない。審議は短期間に進み、法案は7月末に成立した。
 テロ特措法では、自衛隊の活動領域は「公海及びその上空」とされ、「外国の領域」で行動するには「当該外国の同意」が前提とされていた。これに対し、イラク特措法案では、地上部隊の派遣が最大の任務とされ、実質的に現地米軍当局の同意があれば、外国領域であるイラクに足を踏み込むことができるとされた。ただし、自衛隊が活動できる範囲は、戦闘地域ではない非戦闘地域に限定される、とされた。
 イラク特措法が制定された翌年平成16年(2004)1月、わが国は、陸上自衛隊をイラクに送り出した。イラク特措法はあくまで復興支援の活動が目的であって、武力行使と一体とならない措置が前提とされている。また、小泉首相は、派遣する地域は非戦闘地域であると説明した。しかし、非戦闘地域にも戦闘がいつ広がるかわからないのが、戦争である。派遣先のサマーワは、非戦闘地域とされるとはいえ、時には陣地内や周辺に迫撃砲弾が打ち込まれる地域であり、展開によっては、戦闘地域に変じる可能性のある地域である。
 こうした地域にわが国の政府は、自衛隊を差し向けたのだが、隊員個人の正当防衛用の武器の携行を認めるのみで、部隊自衛用の部隊装備は認めなかった。もし武装したゲリラに攻撃されていたら、隊員は個人的な正当防衛としての武器使用は出来ても、部隊として自衛する行動はできなかった。部隊の自衛のための武力行使すらできないのだから、他国の軍隊に守ってもらうしかない。もし他国の軍隊が攻撃を受けても、援護することはできない。他国にとっては、イザという時にはまったく頼りにならない存在だった。幸いサマーワでの陸上自衛隊の活動は、戦闘に巻き込まれることなく任務を完了し、全員無事に帰国した。これはほとんど奇跡といっても良いことだった。

●アメリカへの盲従ではない主体的な選択を

 イラク戦争で日本が自衛隊を派遣した目的は、なんだったのか。第一は、国際社会がイラク人が自由で民主的な国を作るのを支援しているとき、国際社会の一員である日本が日本に出来る貢献をするのは、先進国としての責任である。第二は、日本は、石油の90%以上を中東地域に依存している。しかも、イラクの原油の埋蔵量は、サウジアラビアについで世界第二位であり、この地域の平和と安定を回復することは、日本の国益にかなうことだった。
 しかし、開戦後、イラクには大量破壊兵器がなかったことが明らかになった。アメリカがイラクに派遣した調査団は、平成16年(2004)10月、「イラクに大量破壊兵器は存在しない」という最終報告を提出した。大量破壊兵器を保有しているというCIAの情報は、誤っていたことが明らかになった。それによって、この戦争の正当性は、根底から大きく揺らいだ。
 ブッシュ政権は、誤情報を鵜呑みにしたのか。それとも、核兵器・生物兵器・化学兵器は存在しないことはわかっていて、戦争を始めたのか。真相は明らかではない。アメリカの議会も、国連安保理も、この点を徹底的に追及しようとはしていない。
 わが国は、大量破壊兵器が存在しなかったことが明らかになっても、当初の政策を変更していない。アメリカの政策を一切批判することなく、従順につき従った。これも、国防をアメリカに依存している状態だからである。
 私は、憲法を改正し、集団的自衛権の行使をできるようにし、そのうえで国連の平和維持活動への参加は、政策として主体的に判断すべきだと考える。また、自衛隊を海外に派遣するのであれば、部隊自衛用の部隊装備をしたうえで行くべきだと考える。これはアメリカに盲従するためではない。独立主権国家としての基本的なあり方を取るべきだということである。

 次回に続く。