ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

台湾・チベットは日本に直結

2008-03-17 12:34:54 | 国際関係
 私は集団的自衛権についての連載を終えたところだが、国民の多数はこの問題についてどの程度関心をお持ちだろうか。
 13日、防衛政策局長が台湾有事は日本の問題と発言したという記事が、新聞に載った。防衛省の当局がそういう認識をもって政策の研究をしていくことは、大切である。しかし、政府はいざとなったときどうするのか、方針が定まっていない。いくつかのシナリオを書いて、ケーススタディをし、中台戦争勃発の際に、適切な対応が取れるように準備をいしていかねばならない。

 今週土曜日に台湾で総統選挙が行なわれる。共産中国に追従的な国民党の馬英九氏が総統になるか、台湾人の意識をもって自主的な道を進もうとする新進党の謝長廷氏が総統になるか、結果はわが国にとって大きな影響をもたらすだろう。
 時くしくもチベットで、市民の抗議行動が起こり、中共政府は制圧と情報封鎖を図っている。チベットの運命は、台湾の運命となりかねない。そして台湾が共産中国に事実上併呑されれば、わが国も中国にじわじわと併合されるおそれがある。
 そういう視点からも、集団的自衛権について、根本的な検討が必要である。

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●産経新聞 平成20年3月13日付

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080313/plc0803131934007-n1.htm
台湾有事は日本の問題 防衛政策局長が自民会合で発言
2008.3.13 19:34

 防衛省の高見沢将林防衛政策局長は13日の自民党安全保障調査会で、台湾海峡有事について「中国から『周辺事態(認定)はどうするのか』と聞かれれば、『日本は当然する』(と答える)。日米安保ではなく、これは日本自身の安全保障の問題だ」と述べ、周辺事態法適用の可能性に言及した。これまで政府は台湾有事が同法の適用対象となるか明確にしてこなかった。発言は台湾の武力統一も視野に急激な軍備増強を進める中国への防衛当局の強い警戒感を示したものといえる。
 高見沢氏は周辺事態法の適用可能性に触れる一方、「周辺事態とするかどうかの前に、自衛隊は警戒監視を高め、それなりの対応を取らないといけない」と指摘した。
 高見沢氏の発言は、中国の軍事動向についての防衛省の分析を説明する中で出た。高見沢氏は20年連続で2ケタの伸びを続けている中国の国防予算について「台湾(に独立)をあきらめさせる意図がある」と指摘。中国が台湾を攻撃した場合の日本の対応について「与那国島など近くは影響を受けるし、日本の主権が侵されない形での戦闘になるということもある」と語った。
 平成11年に成立した周辺事態法は「周辺事態」の定義について地理的概念とせず、対象地域をあいまいにしてきた。防衛当局者による今回の発言は、その間に増強された中国の軍備力が日本の安全保障にとって座視できない水準まで増強されたことを物語っている。
 米国防省は今月、中国が台湾制圧能力だけでなく、海軍力を強化し尖閣諸島や東シナ海の権益をめぐる紛争への対処能力を高めているとの報告書を公表。人民解放軍将官は一昨年11月に東京で開かれた非公開のフォーラムで、台湾防衛のため日本が米軍の後方支援に動いた場合、中国軍が日本の南西諸島を攻撃する可能性に言及している。

 ただ、高見沢氏の発言に対し、13日の調査会で自民党の山崎拓元副総裁は「最も戦略的あいまいさを必要とする分野で、日本独自の判断では(認定は)なかなかできない」と指摘。町村信孝官房長官も同日の会見で「台湾だから自動的に適用されることには全くならない」と語るなど、台湾有事にどう対応するかの方針は定まっていないのが現状だ。 



■周辺事態 放置すれば日本に対する武力攻撃に至る恐れのある事態など、日本周辺地域における日本の平和と安全に重要な影響を与える事態。周辺事態が発生した場合、日本は自衛隊による米軍への補給・輸送などの後方地域支援ができる。中国の台湾軍事侵攻や北朝鮮危機などが周辺事態にあたるとみられるが、政府は同事態の定義に台湾を含む「極東」との概念を使わなかった。



高見沢氏の発言要旨は次の通り。
 中国の軍事費増は台湾をあきらめさせる意図がある。日本は中台で事が起これば与那国島など近くは影響を受けるし、日本の主権が侵されない形での戦闘になるかということもある。警戒監視を高めるし、周辺事態的要素もあるので、そういう前提で対応していく。
 周辺事態の話だが、私どもの考え方では仮に中台で何か起きれば、それはわが国にとって大変な事態なので、周辺事態とするかどうかの前に、自衛隊の態勢としては当然、警戒監視を高めて、それなりの対応をしないといけない。中国から「周辺事態(認定)はどうするのか」と聞かれれば、「日本は当然する」(と答える)。「これはわれわれ自身の安全保障の問題なんだ。だから中台で事を起こさないでくれ、絶対やめてくれ」と言う。これは日米安保の問題ではなく、日本の安全保障の問題だ。そういう姿勢を示すことが大事ではないか。

●毎日新聞 平成20年3月17日付

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080317-00000004-maip-int
台湾総統選 チベット暴動で国民党・馬氏に逆風
3月17日9時59分配信 毎日新聞

 【台北・庄司哲也】台湾総統選の「ラストサンデー」の16日、与党・民進党と最大野党・国民党は台湾全土で大規模集会を開き、支持を呼びかけた。中国で広がるチベット族の暴動は、総統選にも影響を与えており、中台融和を訴える国民党の馬英九候補(57)には逆風が吹いている。
 台北市内で大規模集会を行った民進党の謝長廷候補(61)は「馬氏は以前、台湾の前途は、中台の人々が共同決定すると言ったが、どういう意味か。今日のチベットの事態が、未来の台湾だ」と、馬氏を批判した。
 集会は、中国が台湾への武力侵攻に法的根拠を与えた「反国家分裂法」制定から3年を迎えるのに合わせて開いたが、劣勢な謝陣営は、中国で相次ぐ暴動を「追い風」にしたい考えだ。
 中国は総統選で馬氏の当選を期待。馬氏は「チベットの自治、風習、宗教は尊重しなければならない」と、中国の鎮圧を批判しているが、総統選で中国との和平協定締結を目指す考えを表明しており、暴動は不安材料になりそうだ。
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