築140年余の我が家 取り壊すのは惜しいとよく言われるが住んでる身になれば中々大変ではある。
通気が良いから持ちは良いが寒い冬も通気が良いと言うことは寒い。
そんな訳で母屋は、まだ取り壊す予定はないが敷地内に別棟を新築中である。
前もって組まれた高い足場の上を大きなクレーンが、あらかじめ加工された材料を次々と吊り上げて組み立て、さながら大きな積み木のように、数日でもう家の形が出来上がる。
組立る人、屋根を作る人、内装の人・・・・2、3日ごとに職人さんの顔ぶれも変わるのでゆっくりお茶を出すこともない。
おまけに夕方には工事用の鍵をかけて帰るからどの程度できているのか見当がつかない。
「棟上げに該当する日はいつでしょう?」
「屋根が出来たから今日かな・・・・」、老妻が大急ぎで餅をつく。
かって、棟上げは「建て前」とも呼ばれ、屋根に大きな矢や五色の吹き流しを立て、親類や近所の人たちが手伝いに集まり、にぎやかに餅を搗き、屋根から大工さんが紅白の餅をまく、大勢集まった子供たちの歓声があがった。
その夜、職人さんには祝儀が振舞われてお祝いは賑わう。
そんな風景は最近珍しくなった。
職人さんが帰った日暮れ、新築主役の倅夫婦は仕事が忙しいとまだ帰らない。
老妻と二人、多分棟上げの日だろうと決めて新しい家の前で変わらぬ加護を神様に祈った。
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