「田植えの始まる頃」

写真　田んぼに移された（田植え）直後の苗
　弱々しいが数日も経てば牙のような逞しい根が出て元気になる。

　旧暦の節句だから今の暦では概ね１ヶ月遅れ、6月の初め頃、農家では屋根の軒に”よもぎ”と菖蒲を束ねて挿して邪気を払った。
　旧暦5月5日は集落では「遊び日」（農休日）、この日はどこの家でも農作業はしない。馬耕や代かきと春早くから共に働く牛や馬には好物の煮豆を与えて休ませる。
　いつもは田んぼで忙しく働く両親や祖父母、今日はみんな家にいてニコニコしてるから子供達もウキウキして夕方にはお父さんと久しぶりのお風呂、風呂には菖蒲が浮いて特有の匂いがしている。
　お風呂から出て夕食は大好きなお餅が待っている。

　久しぶりにくつろいだ翌日からは田植えが待っている。
　田植えの始まる日の朝、苗取りから戻ったおじいさんが大人の腕ほどに藁で束ねた苗を3束持って帰る。
　苗3束と小さめに握った12個の赤飯のおにぎりを１斗枡の上に載せて一家で豊作を祈る。

　今、米余りの時代、作り手の多くは６０～７０代。
　そのうち作り手はリタイヤ、田んぼは荒れ果て、米の需給バランスは調度良くなる？
　　ところがどっこい、筋金入りの、この６０,７０代。今年も田植えを前に畦草をきれいに刈り取り準備は万端。

　「米の作りすぎはもったいない」　米の過剰作付は資源のムダ使いです。
　というお役所もあったが、どっこい農家には２０００年の米つくりの遺伝子が流れている。
　田植えの始まる緊張感、今も昔も変わらない。　

「ヘアークリーム」

※　田んぼの近くの新緑
　　　「自慢の里山」である。

祖母は目鼻立ちのはっきりしたそれなりの器量の人だったが皺は深く多い人だった。
　その血を引く従兄弟も”しわしわ”の人が多い。
　尊敬する祖母に似て「頑固親父」も”しわしわ”になることを恐れて10数年も前から
　「スキンコンディショナー」乳液（男性用）は少々高めのメーカー品を愛用している。

　ある日、例によってお肌の手入れをしながらその乳液の瓶が少し大きく感じた。
　メーカーが増量サービスしてるのかなと思いつつラベルを見たら
　　「ウン？？」　ヘアークリームと書いてある。
　しかもそのヘアークリーム、3分の1ほども無くなっている。
　髪は殆ど無くなっているから頭には使用しない。ということは、ここしばらくヘアークリームを顔に使っていた事になる。
　同じ様なラベルのヘアークリームを皺予防に顔に塗っていたのか・・・・。
　だが、何も異常はなかった。むしろ、以前より肌はすべすべ、若返ったような肌である。

　そんな苦労しながらお肌の手入れをした「頑固親父」
　この時期の農作業は
　田んぼの水のお日様のきらきら反射で真っ黒に日焼けして頑張っている。　

「この春・・・・・」

※写真　例年より早いりんごの開花
　　　　　　「りんごの花」その美しさは梅桜に劣らない
　　　　　　早い開花に遅霜が懸念されている。

「 この春・・・・」気になることが多い
　降雪が少なく寒さが異常に厳しかった2月が過ぎて3月、それまでと変わっての暖かい毎日の好天、「春の大雪」が来るはずと冬タイヤをしばらく履いていたが3月に降雪なし。
　雪どころか雨も降らずカラカラ乾いた天候だから梅も桜も極端に早く咲いたが連日の暑さパーッと咲いてパーッと散ってしまった。

　雨なし天気のせいで集落２００㌶ほどの田んぼの水の配水係を努める「頑固親父」、
　連日の青空を恨めしく見上げる。

4月の中頃に播かれた稲の苗、暑さで苗の伸びは早いので仕事が追いつかない。
　ゴールデンウィークどころではない。朝から晩までトラクターが唸り、田植えの準備に忙しい。

しかし、トラクターから見上げる優しい緑の新緑の里山は美しい。
　毎日の季節の移り変わりが嬉しい。深緑の候も近い。

5月2日、3日の岩手、例年より10度も気温が高い夏日、このまま夏になったら・・・・
　7月、8月には５０℃・・・・・・はないか。

　何かと気になる「この春」ではある。