岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

[北の口笛」から

2016-05-25 18:03:46 | いなか暮し

     いつか感動のあまり、古い手帳に書き写していたのだろうと思う。

 「北の口笛」213編のエッセイ集から

 母の辞世
9月18日4年ぶりに復員 前年7月に母死亡
東北地方はアイオン台風で帰郷が遅れて、寺に泊まって落語聞いたがおかしくなかった。
妻が迎えてくれたとき、あの人間以下の生活をした自分に妻がいるということは、もったいなくてウソのように感じた。
見ていない長男が五つになっていた。離れたところから不思議なものを見るようにこっちを見ていた。 私も不思議な気がした。

休む前に父に 「氏神に行って見ろ 母の形見の短歌を書いた紙が貼ってるから」
死ぬ直前の母が家人の目を盗んで行って貼り付けたものだという。
便箋の表紙の裏に鉛筆で書いて板壁に張り付けてあった。
稗飯で張ったらしくそこは黒い曜石のように固くなっていた。

    戦いし 罪の重きは母負わん

      吾子おば帰せ ソ連のひとは
  
読み返しているうちに、そこに母の細い首の顔が浮かび上がってきた。
私は忘れ去っていたものが湧きだしてきて、押し寄せてくるような思いに包まれ声をたてて泣き続けた。

    菊池敬一氏編とあるから書いた人は岩手、西和賀付近の方に違いない。       

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野良犬の役割

2016-05-25 15:45:16 | いなか暮し

   今朝の収穫
 20余年も前、静岡の知人にねだって送って貰った竹が根付いて毎年筍の収穫が楽しめる。
 今年も4月下旬頃から始まり、この1ヶ月で90本ほどの収穫、100本を上回った去年に迫っている。
 岩手内陸では珍しいタケノコのおすそ分けは近所で好評!

 自分も古老の類ではあるが、さらに上の古老から聞いた。
「野良犬がいなくなり、どこでも放し飼いをしなくなって困った・・・・」、野良犬どころか飼い犬も放し飼いしているところはない。
 犬は家の中で飼われるようになり、たまに野生に戻るべく吠えたりするとしつけと称してご主人様の怒りに触れる。
 仕方なしに静かにしっぽを振って食事を保障してもらう。

 ラジオの番組で学者先生が話していた
「野良犬がいなくなって里に獣が出没するようになった・・・・」

 夜な夜な出没しては畑の野菜を失敬するタヌキ、今は人気があると、自由に闊歩して畑の柔らかな土を掘り返す猫、出没の噂が絶えない熊や鹿の話、猿や猪もまもなく里に現れる日が近い。
 臭いや音に敏感な犬、特にも野良犬は敏感だったんだろう。
 いつもと違う臭い、鳴き声、音には吠えては山に追い返していた。
野良犬や放し飼いの犬の役割は大きかった。

 生態系を一ついじると環境には計り知れない大きな影響を与える。

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桜、植える人

2016-05-07 14:30:01 | 日々の暮らし

 今年も釜石線にSLが帰ってきた。 雨の土曜日、トラクター作業しながら迎える。
 撮り鉄ファンが今日もいっぱい追いかける。

 花巻市矢沢の三郎堤は桜の時期訪れる人が多い。
 80年以上も前に当時の小山田駅長を中心に、三郎堤一帯を一大観光地にしようと多数の桜が植えられ、その記念行事の時は近くの本宮山に紅白の幕を張り巡らして外では相撲大会や出店、花巻温泉の芸者も沢山呼んでにぎわったと父親の肩車で見にいった覚えがあると近くの古老から聞いたことがある。

 一帯に植えられた桜ではあるが地形の関係もあってか北側部分には長い間桜がなかった。
 今から30年も前だろうか近所に住む鎌田氏が多数の桜の苗木を寄付して 植えられ、更に昭和58年には二億もの巨費を投じて、ため池整備事業が行われ一体はきれいに整備され見違える環境になった。
 植えられた桜の若木は今年も元気な花をつけた。 近くを走るSLと桜は撮り鉄ファンの恰好の場所となっている。
  宮城県の大河原の一目千本桜や北上の展勝地など多くの桜の名所は将来の「爛漫の桜」を夢見て「桜、植えた人」の多くがその満開の桜を見ることがない。

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