岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

トレッキング

2023-10-31 15:44:13 | いなか暮し

 10月半ばの良く晴れた一日、早池峰山に向かう、もう数十年も通いなれた早池峰山だが今年は初。
 ふもとの川原坊駐車場は県外ナンバーの車も多く満車に近い、ここから3、40分余り登山口の小田越えまでは急傾斜の舗装道路を歩む。 道沿いにはすでに落葉した木や紅葉真っ盛りの木々、明るくなった枝越しに時折、早池峰山が見え隠れする。鹿の鳴き声も聞こえたような、
 やがて「小田越え」登山口、「クマに注意」の看板が立っている。

 そういえば一年前の秋、この小田越えコースで登山客がクマに襲われたという事件があった。
 今年の秋はクマの話題、事件が多い。同じ集落の飲み仲間は若いころ熊打ち名人と呼ばれたベテランの猟師さんだが つい先日、鹿の捕獲作業中にクマに襲われて仲間とともに大けがをして10日あまり入院 顔に大けが、手首骨折 「鼻をもぎ取られなかったのが幸いだった」と笑って話していた・・
 先日訪れた秋田、角館方面のレストランでは入り口の自動ドアに「手動中です」? 聞いてみたらクマが自動ドアに近づくとドアが開いてしまうから、そのレストランでは、「ついさっきも裏の栗の林にクマが出ていましたよ、」泊まったホテルの朝、近くの放送塔からは「〇〇地区にクマが出ました、十分にご注意ください」と放送されていた。クマを見かけた、出くわしたという話題は記事にならないほど、毎日どこでもあるようである。

 熊よけに携帯ラジオをめいっぱいボリュームあげて、小田越えコースを進む、ラジオを鳴らしても耳の遠いクマだったら・・・・
 やがて雄大な早池峰山が目の前に広がり、秋空に明るい下界がすっきり晴れて、30㌔も先の花巻付近を流れる北上川が光って見える。
 少し遅めの昼食を済ませて今日の早池峰山はここまで、トレッキングに来たのだから頂上惜しくはないと言いつつ少々残念な気持ち、時折頂上を振帰りながら下山。クマのせいではない。
 帰り道、早池峰神社でクマに出会わなかったお礼のお参りして帰った・・・・。

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「ひこばえ」

2023-10-23 17:34:29 | いなか暮し

 暑かった今年の夏は田んぼの稲の生育も早めて、岩手・花巻地方はいつもの年より大分早い9月中には、ほぼ稲刈りが終わった。
 昨今では稲の刈取直後の生籾は大方の農家がカントリーエレベーターに運び込むので、その後の乾燥籾摺はお任せ。カントリーエレベーターではお米を大きなサイロに保管、随時出荷、売り上げは凡そ年末までに農家に振り込まれる仕組み。
 昔と違って、稲刈り終了は秋の取入れ作業が同時に終了となる。
 9月中に稲刈りが終わったところで季節はまだ初秋、こたつでテレビの冬ごもりはまだ早い、暑かったせいで畔の草が長くなり、いつもの年ならやることのない稲刈りのあとの畔草刈りや田んぼの軽い補修も終えて、稲がなくなり広々と広がる田んぼには人影がなくなった。

 稲刈りが早く終わって、暑さの残った田んぼには、刈とられた後の稲株に生える「ひこばえ」が大きく伸びて、季節外れの濃い緑の葉っぱになり米粒さえもつけている。 稲が刈り取られた後に生えてくるので”再生”という意味もあって地方によって色々といわれがあるらしい。「ひこばえ」の「ひこ・・」は孫を表し「・・ばえ」は生まれるととらえて、孫が生まれる、子孫繁栄という地方や「ひこばえ」の米粒を食べると長生きなど・・各地でめでたい意味にとられている地方が多いらしい。
 伸びすぎた「ひこばえ」は雪の前の秋起こし作業には厄介になると草刈り機で「ひこばえ」を刈り倒している人も見かける。
 もろもろの秋作業がを終わり、広い田んぼや畑にすっかり人影が見えなくなり、老農は、さしてやるべくこともなく庭木いじりや農機具の手入れ・・も、あきて軽トラックで広い田んぼに出てみる。
近くの里山は紅葉が始まり、早池峰山にはてっぺんに僅かに雪も見える、田んぼや畑に人影はない。
 コロナ禍も収まった今年は久しぶりに集落の元気なお年寄り
に声をかけて一杯やりながらの情報交換会といくか・・
   深まる秋、人が恋しくなる季節でもある。

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「インタビュー」

2023-10-10 10:31:02 | いなか暮し

 どうやって入り込んだのだろう、1メートル余りのポールの先に取り付けた郵便受けに蛙が住みついた。
  外に放り出しても、いつの間にか戻り、夕方には外へ出て餌でも探してくるのか、夜は不在だが朝にはいつもの場所に戻ってじっと「つぶらな瞳」で見つめられると、いじめるわけにもいかず、体の割には大き目の糞をかたずけてやったり・・・
 いつか「つづら」に入れた、いっぱいの宝物をもって「お世話になりました、ありがとうございました」と蛙の恩返しはないんだろうなー。
 
 知人から電話があった「地方の放送局の人が取材に行くからよろしく」お年寄りの長い人生の自慢や現在の楽しみなど5分ほどの番組の取材だという。
 当日は思いがけず女性の取材だった。久しぶりの若い女性との世間話だと思っていたら彼女の手元ではすでに小さなレコーダーが動いていた。
 人生の自慢なんてほとんどなし、後悔すること、やり直したいことだったら山ほどあるのに。良くも悪くも農業を60年も続けた事や、今の楽しみは年に何回かの旅行や近くの山歩き、今年から三陸トレイルに挑戦など話して終了。
 続いて老妻へのインタビューを終えて帰った。
 しばらくして放送日の案内のファックスが届いた。
 取材があった事は誰にも話していない、もちろん家族にも内緒の出来事、老妻との秘密だった。
 当日、ラジオを前に老妻と息をひそめてきいた。
 それから一週おいて妻のインタビューが放送された、持ち前のおしゃべりに加え事前に話す内容を考えていたんだろう、聞かれる前に喋りだす始末。
 「野菜作りが大好き」「花もいっぱい咲かせています」・・よく喋っている。
 「旅行好きな主人と日本中に行ったの・・」「北海道も・」「九州も・」「石垣島が好きになって4回も・」取材の女性も只々聞いているだけ。
 ”落ち”は「生まれ変わっても主人とまた一緒になります」一気にしゃべって終了。

 「もう一度、一緒」なんて、こちらにも色々都合もあるんだけど・・「まっ、そこまで言うんだったら考えておこう」かと思う。
 

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