花瓶敷の四角いお盆(?) 昔々、かや葺屋根の葺き替えとか、刺し萱の手伝いに集まる沢山の人達の賄いのお膳として利用されたらしい、50枚ほど土蔵から見つかった。
手伝いに集まった人たちは埃まみれの顔で、土間の長い板に並べられたお膳で、どぶろくをいただく笑顔がうかぶ。
福島の大内宿や白川郷などの屋根の葺き替えがニュースで見かけることがある。
かって農村ではどこでも見られた風景だろう。
昔の農村部では茅葺屋根が普通だった
新花巻駅前の茅葺古民家として名高い「熊谷家」昭和の終わりころだろうか・・・
晩秋、取入れを済ませたころ、各々が持ち場のかや刈(かや又はすすき)をして、冷たい風でよく乾かして、天井裏などに積み重ねて保管する。
翌春、地区のどこかで行われる茅葺屋根の葺き替えの手伝いに、天井裏のよく乾いた萱を持参する。沢山の人たちが持ち寄る「かや無尽」である。
いつの日か我が家の屋根の葺き替えのためにと「かや」を持ち寄り、多くの人手が必要な葺き替えの手伝いをする。
賄いの手伝いやら、屋根ふき職人、近所の子供たち、おそらくは5、60人もの人が、数日間集まる。
一度、葺いた屋根は50年ほど持つと言うが、その間にも15年、20年ごとに刺し萱と言われる屋根の補修も入る。
そのたびに集まる人たちの賄いのお膳の出番だったんだろう。
我が家では昭和13年に母屋の葺き替えが行われたという記録がある。
大工だった先祖が器用な腕を生かして、沢山の人が集まる屋根の葺き替えに合わせて50枚ものお膳を作ったのだろう。