岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

田植え休み

2023-05-19 17:20:09 | いなか暮し

 土曜日、会社の休みを利用して 倅が田植えを手伝ってくれた。  
  今日もたくさんの乗客を乗せて、釜石に向かうSL銀河が通る。     
                                                                           6 月11日のラストランが迫る。

今から60、いや70年ほど前の山の小さな小学校、複式学級の3、4年生合わせて25人ほどの教室。
「明日から田植え休みです、お手伝いを・・・」元々勉強より外で遊ぶことが好きな子供たち、
 翌日から父母と田んぼに出て、小さな兄弟がいれば子守りをしたり、田んぼに出て、苗代で父が束ねた苗を少し離れた母のもとに運び、母はその苗を1株1株田んぼに植える。
 苗が足らなくならないように間隔良く田んぼに投げ入れておく、まっすぐに植えれるように張った細縄の移動も手伝い、空いた時間は畔に寝転がって「鉄腕アトム」、そのうち「アトム」も飽きたころ見様見真似で母の真似をしてみる。
 左手で苗を小分けして右手で植える、小さな子供の手ではなかなか難しい、母をそれを見て、いろいろとアドバイス、これが農業後継者育成の第一歩、元々器用な子供たち、数日もしたらそれなりに植えている。

 田植え休み中のある朝、当時どこの農家も便所は別棟にあり、離れた便所までは面倒とばかり「誰も見ていないはず・・」と、窓から小便をしたら、あいにくと母に見つかってしまいひどく叱られた。
 一緒に田んぼに出かけるのも嫌で、朝ご飯を済ませて、近くに住むおばさんの家に行き「おばさんに手伝ってきてといわれた」とうそをついてその日一日はおばさんの手伝いをした。
 思いがけない手伝いに、おばさんは喜んでおやつもいっぱい、夕方、帰りにはお小遣いももらった。家で手伝うよりだいぶ得をした気分。
 昔々、そんな田植え休みが6月の初めころだったと思う、1週間ほど続いた・・・いま、田んぼに子供の姿は見えない。


  

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「火防祭・・」

2023-05-06 10:08:09 | いなか暮し

 木々の花がほぼ終わったころから、近くの山々は新緑の季節を迎える。 
 薄緑の葉がいっぱいに広がる。明るい薄緑の山々は見られるのは、ほんの数日だけ、里山の近くに住んでいればこそみられる美しさである。 やがて深緑となり夏を迎える。

 いつから始まったか定かではないが、旧暦3月15日はわが里の火防祭である。
 昔、農村の建物はほとんどが茅葺の屋根、その中で暖を取り炊事もするから当然火事が多い、その怖さ現在の比ではなかった。
 火防祭は各集落の一大行事、戦後間もないころは特に盛んだったようだ。
 各集落ごとにミニ山車を作り着飾った子供たちの祭囃子で鎮守の八幡様に向かう。
 少し小高い拝殿の前を舞台に各集落が用意したアトラクションをやる。お母さん達が角巻(北国の防寒具)を折りたたんで金銀の紙を張り付けて相撲の化粧まわしとして「相撲甚句」を唄って大きな拍手、恐れ多くもイギリスのエリザベス女王の戴冠式を真似た集落もあって大賑わい、余興終わって各集落に帰ってからは大量に用意したどぶろくで大にぎわい、火防の神様もおおいに喜ばれたに違いない。ちなみにわが里は栃木県の古峰神社の信仰が厚い。

 特にお祭りがにぎわった昭和20年代、わが里では不足しがちの田んぼの水を、戦後の混乱さなかの21年、北上川の水を利用しようという大胆な計画がされた。
 北上川から第一揚水場までは隧道を掘り、そこから75馬力モーター利用で300ミリの管でポンプアップ、第ニ揚水場まで、さらに同じ規模のモーター、管で大量の水を高台に押し上げて、当時建設機械もなく人力だけで掘削した水路総延長1500㍍の水路に流した。
 水がないために田んぼにできなかった原野が美田になり、従来の三郎堤の水だけでは不足しがちの地区内の130町歩にたっぷりの水が供給されたのが昭和23年といわれる。
 当時戦後の混乱と食料不足の時代に米の増収、増益は大きな喜び、うれしいことだった。
 その喜びが「旧暦3月15日の火防祭」が現れ、20年代のお祭りを盛り上げていたのだろう。
      そのポンプ場や設備は40年代、田瀬ダムからわが里に水が供給されるまでの20数年利用された。

 コロナ禍で各集落ごとに行われていた直会はまだできないが集落の代表者は今年も旧暦3月15日には八幡様に参拝し集落の安全、防火を祈った。
 コロナが終息する来年こそ再びあのにぎやかな火防祭が各集落で行われるようにと・・・・

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