岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

おさがり・・

2023-11-30 17:16:16 | いなか暮し

 花巻の初雪は11月25日、初雪にして初積雪は10㌢ほど積もったが、お昼までには溶けた。
 寒くなっても元気に咲いていた”つるバラ”もすっかり雪に覆われた。 間もなく咲き終わり、これで我が家の庭は今季おしまいだが、もう3ヶ月もするとクロッカスが咲きはじめる。
 それまでは我が家の花の庭も冬ごもりする。しばし我慢の時期ではある。


 「じいちゃん、これ使って、短くなって履けないから・・」中三の孫がズボン(今の人はパンツと言うらしい)を持ってきた。
 履いてみたらピッタリ、若い人たちはブランドものを買うから「もの」も良好、気に入った一本になりそうである。
 成人して社会人となった遠くに住む孫からも「おさがり」が時折届く。山歩きの好きなじいちゃんの期待に添って高校時代から山歩きをした孫からは有名ブランドの山歩きの帽子、ヤッケ・・等々 その弟からは小さくなったからと靴も届く、履いてみるとやや大きすぎることも・・・・孫たちの成長に嬉しく驚く。
 思えば、この20数年 孫とともに生きてきた思いがする。
 どの子もじいちゃんの背中で育った、時には痛む腰は孫を負ぶいすぎたせいではないだろうかと疑ったことも・・・
 おさがりのブランドを身につけて早池峰山や岩手山ろくの鞍掛山を歩き、時にはブランドを着て田んぼにも出る。
 今の時期、農作業休みの冬の間は体力増進、いや体力維持のために毎日散歩を心がける。
 今日も一日一万歩の目標の散歩はただ歩くだけではない、インターバル走法とかの、早足3分、少々息切れをして次にゆっくり3分を、5回繰り返して計30分余り、歩数は4000を越える。
 孫の「おさがり」のブランドを着て颯爽(?)と散歩するおじいちゃんに時折「おしゃれ」ですね。と声がかかる。

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郷に伝わる祝い唄、御詠歌の紹介 ②

2023-11-18 15:20:51 | いなか暮し

  地区の水がめ「三郎堤」、岸辺の大松が湖面を渡る波風で根元を洗われて大きく傾いたまま元気に葉を茂らせている。
 かって猛威をふるったマツクイムシにも負けなかった、ど根性松 がんばれ❕
 郷に伝わる祝い唄、御詠歌・・の紹介 ②
 三郎堤の近くの小高い丘は通称、本宮(もとみや)さんと呼ばれ「泉三郎忠衛公の霊」と記された大きな石碑がある。通称「幸田のおでのんさん」と呼ばれる八雲神社の本宮とされる。 三郎堤は800年ほどの昔、平泉を追われた泰衡公の弟、忠衛公が侍従とともに三郎堤を開削したといわれ、工事の安全、早期完成を祈願して八雲の大神を祀ったのが本宮といわれている。後に八雲神社に遷宮されて本宮(元宮)として現在地に残った。

 本宮に残る御詠歌碑から  昭和2年建立とある。
        八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に
              八重垣つくる その八重垣を 
   ここまでは、ご存知、日本最初の短歌でスサノオノミコトの作とされる。

        おとにきく いずみさぶろうの 〇 〇 のみつ
              もとみやさまにひびく なみのおと

      やくもみや かがやき  〇 〇 〇 〇
              〇〇 〇〇 〇〇
   残念ながら 〇 〇は読み取りできませんでした。
 石碑が破損し修理した後が残りますが筆字に明るい人だったらさらに読み取りできそうです、どなたか興味をおもちの方に読んでいただければ幸いです。ただ本宮界隈はクマの出没も噂されているので12月以降にクマの冬眠を確認してからお願いします。
 幼い私がおばあちゃんに連れられて本宮さんでたくさんの人達と「御詠歌」のあと、”ござ”の上に広げたたくさんのご馳走をいただいた記憶があります。
 現在と異なり周囲の木々も少なく明るい空の下、眼下に広がる三郎堤を眺めた記憶があります。

                       

 

 

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 御祝(ごいわい)

2023-11-14 14:05:52 | いなか暮し

  今年、わが里では柿が大豊作、渋抜きしたり干し柿にしたところで到底食べきれる量ではない。この秋はクマの出没が大きな話題、持て余す柿に里山に近い家では柿をもぎ取ったり枝を切り落としたりしてクマに目を付けられないようにしている。
 24節気 大雪 次侯 熊穴に籠る(くまあなにこもる)新暦では12/11~12/15ころというから各地のクマ騒動はまだ続きそう・・。

 花巻地方ではめでたい席では「御祝」、不幸があれば「お念仏」、山の神、庚申・・等の講は集まった人たちで御詠歌を唱える。長く続く習慣だが、昨今は音頭をとれるお年寄りも少なくなり省略されることが多くなりコロナ禍も加わって絶滅寸前の習慣ともなっている。かって大切に伝承されたものを順次紹介したいと思う。

 「御祝(ごいわい)」
 慶長5年、今から430年ほど前、和賀城を攻略した南部藩のお祝いの席上、お国自慢を唄ったのが御祝の始まりとされ南部藩内では広く唄われたらしい。
 ご祝は繁ければ お坪の松はそよめく
  お祝いの宴がたけなわになったので坪前(庭園)の松もお祝いするようにそよめく。
 上り舟に花が咲く 下り舟に実がなる
  当時の北上川は物資を運ぶ唯一の輸送路だった。南部の国は産物の多いことを自慢に歌った。
  花巻地方はここで「御祝」は終わる。一部では宴席のお酌さん方が紋付を着て ご祝に合わせて舞うという地もある。 
  短い歌詞をゆっくりゆっくり唄うので初めての人には歌詞はどのへんか、ほとんどわからない、それでも15~20分はかかるから、その間の正座はつらい。
 まるき銭は数知れぬ 黄金の倉は九つ
  まるき銭とは穴のあいた銭を紐で連ねたもの、南部の国は金の産地で金が沢山あることを歌った。
 雫石は名所どころ 野菊の花は二度咲く
  南部の国は美人の多いことを自慢したもので雫石のお菊という美女は二度目(再婚?)には殿様の奥方となり花を咲かせたと伝えられる。
 おゆる、おゆるとお控えなされ 大沢川原に舟がつくまで
  輸送機関の発達しない当時、舟が目的地に着くのは大変めでたいことであった、ゆっくりとお控えください、大沢川原(盛岡)に舟が到着するまで。
 テテボ鳥は山鳩によく似た・・ 以下不明
  鳩は礼儀の正しい鳥であることを歌ったと思われる。
 お立ちをば忘れて お酌にまぎれて今立つ
  立つ時刻も忘れてお酌にまぎれて 今立つ。

     ー昭和年代発行の花巻老人クラブ(だと思う)の古い印刷物の中から見つけた資料からー

 

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「庭はらい」

2023-11-06 15:55:38 | いなか暮し

 宮沢賢治記念館のお山 胡四王山の中腹、御神坂の東屋の近くの大銀杏は郷のどこからも望める(遠く、写真中央部)
 10月終わりころから派手な黄色が目立ち始める「里に紅葉が届いたよ・・・秋じまい仕事を急がないと間もなく雪も降るよ」、里の住民をせかせてくれる。

 家族総出で手刈りした稲束をハセ掛けにして、良く乾いた稲を作業小屋に運び込んで脱穀して籾すりをする。近所の頑丈な人に手伝って貰って60㌔もの重い米の入った俵を締めて積み上げる。翌日には荷馬車で農協の倉庫に運び検査を受けて合格、出荷を済ませる。
 翌日からは野菜の収穫、畑の大根、ニンジン、ゴボウ、白菜等々冬の間十分間に合うよう蓄える。その頃には薄氷もはって朝晩は次第に厳しい寒さになり時折雪も混じる。
 農作業が一段落したころ、折よく、「勤労感謝の日」も近い、 「よし今日は庭払いをしよう」お父さんの一声に子供たちは大喜び、夕方が待ち遠しい。
 女性陣も大忙し、おばあさんは暗い座敷に仕込んだどぶろくの味を確かめている、お母さんは餅の準備「あずき餅」「ごま餅」「くるみ餅」「おつゆ餅」・・・待ちかねた夕方、茅葺の家の土間での餅つきは一家総出でにぎやかに。
 やがて準備ができて、氏神様、山の神様・・仏さまにも餅を備えて家族みんなで今年の実りに感謝する。
 席に着いた頃、お父さんがおもむろに分厚い封筒に入った「切米」(きりまいーお金)を一人一人、家族みんなに渡す。
 切米とは昔、殿さまから家来に渡された年一回の給料の事だったといわれている。
 中身はその年の出来によって不作の年はスカスカ、豊作であれば中身も分厚くなる、良く手伝った子供たちにも配られてさっそく中身を確かめる。
 ばあさんの仕込んだ、どぶろくに酸っぱいとか辛いとか、子供たちは口の辺りに、あんこやゴマをつけて大笑い、にぎやかに楽しい「庭払い」の夜を過ごす。
 翌日お父さんお母さんと子供たちは「切米」で分厚く暖かになった懐で街に久しぶりの買い物、寒い冬に備えてセーターや時にはスキーやスケートも買ってもらう。
 楽しい一日だったけど子供たちの少し寂しい顔は 2、3日もしたらお父さんが酒屋に出稼ぎに出発する。来年の春までの帰ってこない。
 そんな風景は昭和30年ころまでだったろうか、「切米」の習慣もできない貧しい農家が多かった。
 もっとも貧しいのは農家に限った事ではなく日本中が貧しかったころでもある。

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