この冬、花巻地方は異常に暖かに過ごしている。いつもは雪解けとともに一番に咲き始めるクロッカスが2月19日に咲き始めた、最も早咲きだった去年は3月4日、今年はそれよりも更に2週間も早い開花。
2月22日15㌢ほどの雪が積もり、今季初めての除雪車も出動。
クロッカスに一足遅れて咲いた蠟梅(ロウバイ)だったが雪の原っぱで寒さに震えている。
人が亡くなり火葬を終えた日の夕方、故人宅には集落や地区の人々が次々と訪れる。凡そ50人から多い家では100人ほどが常居と言われる間で「お悔み」を受付に渡して正座して待つ。やがて「鐘っこ叩き」を依頼された人の鐘の音で一同、静粛。
「お念仏」が鐘の音にあわせ、独特の節回しで始まる。
光明遍照十方世界念仏
こうみょう へんじょう じっぽう せかいねんぶつ
衆生攝取不捨一心帰命
しゅじょうせしゅぶしゃいっしんきみょう
南無阿弥陀佛 なんまいだ
(南無阿弥陀仏を数回繰り返すが、先導する人「鐘っこ叩き」により回数が違う)
願以比功徳平等施一切同
がんにしくとくびょうどうせさあはいどう
発菩提心往生南無阿弥陀佛
ほつぼだいしゅおうじょうなんまいだ
阿 字十方三千佛 あじじっぽうさんぜんぶつ
弥 字一切諸菩薩 みじいっさいしょぼさつ
陀 字八万諸聖教 だじはちまんしょしょうりょう
皆是南無阿弥陀佛 かんぜなんまいだ
数回の鐘の音で終了、その間凡そ15分ほど、同時に故人の家族、親類が大きな声でお礼、「ありがとうございました。」お念仏は終わり解散。
大昔から続いただろう大勢の人が集まっての「お念佛」も、50人も100人もの人が入れるような大きな家も少なくなり葬儀場で一切済ませるようになってからは、夕方バスの手配をして葬儀場まで送迎して「お念仏」をしていたが、コロナ禍の数年で念仏そのものが行われなくなった。お念仏ばかりではない、不意の不幸を「お悔み」の形で助け合う昔からの習慣がなくなるかもしれない。
今年に入ってから二人の葬儀に参列する機会があったが、いずれも家族葬とかで、和尚さんとごく身近な家族だけの静かな、お見送りだった。
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