花巻近在では、祝い事があれば、必ずと言ってよいほど「御祝い」唄が披露される。
「御祝い」の間は、老若男女、正座して手拍子を合わせる。
1、御祝いは 繁ければ お坪の松は そよめく
お祝いの宴が、たけなわになったので、坪前(庭園)の松もお祝いするようにそよめいている。
2、上り舟に花が咲く 下り舟に実がなる
当時の北上川は物資を運ぶ唯一の輸送路であった。南部の国は産物の多いことを自慢した。
3、まるき銭は 数知れぬ 黄金の倉は九つ
まるき銭とは穴のあいた銭を紐で連ねたもの、南部の国は金の産地で金が沢山あることを唄った。
4、雫石は名所どころ 野菊の花は二度咲く
南部の国は美人が多い事を自慢した。雫石のお菊と言う美女は二度目に殿さまの奥方となり花を咲かせたと伝えられる。
5、おゆる、おゆるとお控えなされ 大沢川原に舟がつくまで
交通が不便で輸送機関の発達しない当時は舟がつくのは大変めでたい事であった。ゆっくりとお控えください、大沢川原(盛岡市)に着くまで
6、お喜びは み喜び み厩の馬は仔を持つ
7、お立ちをば、忘れて お酌にまぎれて、今立つ
立つ時刻を忘れて、お酌にまぎれて、今立つ。
歌詞は地域によっては幾分の違いはあるが、1、2番は多くの地域で歌い継がれている。
復元された花巻城、西御門
慶長5年(1600)、伊達に煽動された和賀忠親が一揆(和賀一揆)を起こし、花巻城を責めたが撃退され、翌年春には南部利直により和賀城は落城した。
その時、花巻城で、お祝いを兼ねて、お国自慢を唄ったのが「御祝い」の始まりと伝えられている。