岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

郷土に伝わる祝い唄・御詠歌の紹介 ⑤

2024-02-24 14:39:01 | いなか暮し

 この冬、花巻地方は異常に暖かに過ごしている。いつもは雪解けとともに一番に咲き始めるクロッカスが2月19日に咲き始めた、最も早咲きだった去年は3月4日、今年はそれよりも更に2週間も早い開花。
  2月22日15㌢ほどの雪が積もり、今季初めての除雪車も出動。
 クロッカスに一足遅れて咲いた蠟梅(ロウバイ)だったが雪の原っぱで寒さに震えている。
 人が亡くなり火葬を終えた日の夕方、故人宅には集落や地区の人々が次々と訪れる。凡そ50人から多い家では100人ほどが常居と言われる間で「お悔み」を受付に渡して正座して待つ。やがて「鐘っこ叩き」を依頼された人の鐘の音で一同、静粛。
 「お念仏」が鐘の音にあわせ独特の節回しで始まる。
       光明遍照十方世界念仏  
     こうみょう へんじょう じっぽう せかいねんぶつ

   衆生攝取不捨一心帰命  
     しゅじょうせしゅぶしゃいっしんきみょう

   南無阿弥陀佛    なんまいだ 
        (南無阿弥陀仏を数回繰り返すが、先導する人「鐘っこ叩き」により回数が違う)
   願以比功徳平等施一切同 
         
がんにしくとくびょうどうせさあはいどう

   発菩提心往生南無阿弥陀佛 
     ほつぼだいしゅおうじょうなんまいだ

   阿 字十方三千佛   あじじっぽうさんぜんぶつ
    字一切諸菩薩   みじいっさいしょぼさつ
      字八万諸聖教   だじはちまんしょしょうりょう
   皆是南無阿弥陀佛   かんぜなんまいだ
数回の鐘の音で終了、その間凡そ15分ほど、同時に故人の家族、親類が大きな声でお礼、「ありがとうございました。」お念仏は終わり解散。
 大昔から続いただろう大勢の人が集まっての「お念佛」も、50人も100人もの人が入れるような大きな家も少なくなり葬儀場で一切済ませるようになってからは、夕方バスの手配をして葬儀場まで送迎して「お念仏」をしていたが、コロナ禍の数年で念仏そのものが行われなくなった。お念仏ばかりではない、不意の不幸を「お悔み」の形で助け合う昔からの習慣がなくなるかもしれない。
 今年に入ってから二人の葬儀に参列する機会があったが、いずれも家族葬とかで、和尚さんとごく身近な家族だけの静かな、お見送りだった。

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村の夫婦春秋

2024-02-09 15:17:31 | いなか暮し

この冬、雪がなく、連日続く明るい陽射しと暖かさは一体?
 もしやと覗いたら 庭のクロッカスが、もう2センチほどになっていた。開花は遅かったのが令和2年の3月26日、早かった去年は3月4日今年はもっと早く咲くかもしれない。
 昭和に流行った、懐かしい村田英雄さんの「夫婦春秋」この曲が大好きで音痴を顧みずにカラオケでは、とっておき18番、暗記は最も苦手とするところだが苦労して3番まで覚えた数少ない曲の一つである。

 ♬  ついて来いとは いわぬのに
      だまって あとから ついて来た
    俺が二十で お前が十九
      さげた手鍋の その中にゃ
    あすの めしさえ なかったなぁお前

 いま、いずこも同じく高齢者が増えている、わが里わが集落も高齢者が増えて、人口数も微妙、新住民の流入で横ばいに保っているが平均年齢は上がってきている。
 かって元気で活躍した面々も今ではニコニコ笑顔のお年寄りになり、それぞれ穏やかな老後を送っている。
 みんな知ってるよ・・・
  仕事もできるのに女の子には手が早く、奥さんと度々悶着あったこと
  酔っ払い運転常習犯で、度々奥さんを泣かせたあの人
  よその奥さんとデートして言い訳していた人
  散々泣かせられた主人が早く亡くなり、今ではとっても優しかったと思い出してる、おばあちゃん
  病院通いは必ずおばあちゃんと一緒じゃなければと言う可愛いおじいさん・・・・ 例はまだまだ、いっぱい。それでもみんなニコニコ。
 ♬  ぐちも涙も こぼさずに
      貧乏おはこと 笑ってた
    そんな強気の お前がいちど
      やっとおいらに陽がさした
    あの日 なみだを こぼしたなぁ お前       3番 略

  昨今、近くの山では熊も見られるし、山沿いの田んぼには鹿やカモシカが出没、狐、狸や野兎も見られる。北上川対岸にはこの冬、猪が現れたからそう遠くない時期に川を越えて、わが里にも猪も現れることだろう。
 里山が近く、大きな湖には白鳥が遊び、住んでる人間はみんなニコニコ、自然豊かで平和なわが郷である。
  

 

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「産直・・」

2024-02-01 16:49:07 | いなか暮し

 菩提寺から年始に届くありがたいシールだが強すぎる粘着と残るシール跡に若い人たちは喜んでくれないので家の玄関はやめて、今年は田んぼの中の作業小屋の玄関戸に張り付けた「立春大吉」と「鎮防火燭」種々の災難から守ってくれるらしい。
 広い田んぼの中のポツンと建つ作業小屋だが数年前には古いパソコンとプリンターが盗られたことがあるから今年は守ってくれるかと思う。

 1月、買い物客でにぎわう近くの産直に立ち寄った。「今年はこれが高いんだ・・」「意外と安いなー」つい長年のくせで生産者目線になってしまう。
 つい2、3年前までは一介の生産者として産直に出いれしていた。田んぼ作業の合間、野菜作りの好きな老妻がわずかの野菜の出荷を楽しみにしていたが、定年になり専業農家になったのを機に、冬の間の空きハウス利用に農協の指導を得て寒締ホーレンソウ栽培を始めた。
 秋作業の終わるころに種を播いて晩秋の暖かさで成長を早め、12月に入ってからハウスを開放して外の寒さにあてるとほうれん草が急に甘みを増す、岩手の県北や遠野地方で栽培が多く年末年始を中心に出荷が盛んになる。当地でもそこそこ人気で産直出荷と併せ、東京市場や近くの温泉旅館からも注文を受けた。関東物が出回る2月中、下旬ころまでが旬。
 朝、産直開店前に売り場に値札を貼りつけてならべる・・開店と同時に売れはじめて、お昼前には産直からメールが入る「何時現在の売り上げ・・」時には売り切れ、補充できませんか?の問いもある。
 当日の売り上げ状態を見ながら夕方から翌日の出荷準備作業、包装作業は暖かな部屋で幼い孫たちとの楽しいやり取りを楽しみながらやるから忙しさもつい、忘れている。
 翌朝、時には凍てついた道を産直に向かうことも、何しろ朝が早いから車もそう多くは通っていない。
 そんな産直通いを20年ほども続けたろうか、年とともに凍てついた道も怖い、冬はもっと楽に楽しみたい・・・などと産直出荷をやめた。寒締めホウレンソーの出荷を続ける人も減り、「もうこれでおしまい・・」と言ったとき惜しまれたのが嬉しかった思い出として残る。
 長い冬、コタツでゴロゴロ、一日は長すぎる、売り上げ情報を楽しみに産直に通っていたころが懐かしい・・・・

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