前夜の雨で庭の紅葉が散っている。
暖冬とか冷夏とか言われてもこの紅葉、例年11月15日前後には完全に落葉する。
今年も15日の雨風で銀杏と共にすっかり葉が落ちて雪を待つばかり。
知人から山葡萄を貰って3.6?のホワイトリカーに升目にして2升余りのやまぶどうを漬け込んだ。
濃厚な出来栄え間違いなし。焼酎に割って飲む。
出来上がりが待遠しい。
山葡萄をくれた知人は近在では有名な「鉄砲撃ち」現代版マタギである。猟が解禁になるとその姿はとんと見かけなくなる。
特別格好つけるでもなく愛用の銃を持って普段着で山にこもりきり状態で熊、鹿、雉を追いかける。
山菜や栗やきのこを取りながら熊の動静を観察している。
彼が眼をつけた熊は何年かかっても追いかける。
眼をつけられた熊こそいい迷惑である。
貰った山葡萄は、熊がドングリを食べつくした後に楽しみに残しているぶどうらしい。彼はその熊の楽しみさえも奪って替わりに柿をあちこちに置いて来る。
数日してその柿の食べ方を見て熊の動きを確かめて猟の解禁を待つ。
熊や鹿にとっては最も嫌な危険な人間に違いない。
そんな彼は大分前に奥さんを亡くした。
山の吊橋ゃ どなたが通る
せがれ(妻)なくした鉄砲撃ちが
話相手の犬つれて
熊の親父をみやげにすると
鉄砲ひとなでして通る ホレユーラユラ
昭和34年 春日八郎
彼と話すとき、ふとこの歌が浮かぶ。