岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

「百万株の子供たち」

2006-05-25 19:19:02 | 田舎暮らし

Cimg1161  田植が終わって数日 植えられた苗は牙を思わせる逞しい白い根が伸びて自分の力で成長をはじめた。一坪に70株、ということは一反歩 10aに21000株、5ha15000坪に百万株の可愛く頼もしい”子供たち”である。

 3月末に塩水で、よい種と未熟な種を選り分けて水に漬けた。気温が低いこの時期、水温が低すぎると冬と勘違いして種が目を覚まさないので注し湯して10~13度で目を覚まさせる。4月10日頃、充分に吸水した種籾は消毒して病害から守る。そのあと、30度に保って2~3日、芽が動き出した種籾は肩が張り出してくる。

1尺×2尺 深さ1寸と もっとも日本らしい寸法の育苗箱の合成培土の上に播種する。10a25箱、1ha3000坪に250箱ほど、きれいに蒔かれた箱は育苗機に入り湿度100%、温度30℃で3泊 真っ白の芽が1~1.5cm伸びた頃、外のハウスに移し薄いシートで覆う。初めて太陽に当たる苗は急激な太陽光が恐い。3日後シートを取り去り水やりする頃、目に鮮やかな緑の苗になっている。植物の神秘さを感じる一瞬である。それから凡そ20日、寒ければ保温、暑ければ風を入れて涼しくする、乾けば水をやる。心をこめて子供を育てることと同じ気持ちである

 5月10日頃、田んぼに植えられこれから独り立ちする。米は八十八度の手がかかると唄われるが実はもっともっと手がかかっているのである。それはたった一粒の米を作るにしても同じ日にちと手数がかかる。お米、”一粒 粗末に出来ぬ”と唄われる由縁でもある。

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「日本一のふるさと」

2006-05-14 21:19:23 | 田舎暮らし

Cimg1139  家から空港、高速道インターまで数分、新幹線駅まで徒歩5分と交通の便に恵まれている。欲を言えばもう一つ海が遠いので港がない。不満と言えば不満・・・・

 交通の便よりもっと素晴らしいことがある。美しい里山が眼前に広がっている。標高80~90mに住んで、近くの里山は150mに満たない。大きなため池が何個もあるので昔から水に不自由したことがないので農家も水争いしたことがない。

西に大きく開けて三方、山に囲まれた盆地型の地形のせいか冷害の大きな影響も受けない。自然災害がないから住んでる人間もおっとり、おうようである。先住民族の住んだ跡のあるのもうなずける。

 眼前の里山、桜のあと(※ 写真) 新緑までのほんの僅かの数日、里山は多分一日だけがかった色になり翌日、うす緑をふくんだ柔らかなふわふわした感じになる。この美しさを絵に出来ない、写真にも撮れないもどかしさがある。そして、2,3日 鮮やかな新緑の季節になる。川沿いに昨年蒔いた菜の花が週百メートル、黄色い花を咲かせている。家々にはチュウリップ芝桜、等々が咲いている。この春、一番の美しい日は5月9日 五月晴れの日だった。

 それぞれに自分のふるさとは日本一と思っている人は多いと思う。

 私も自分のふるさとを日本一と思っている。

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「蝶々」

2006-05-05 21:30:18 | 田舎暮らし

Cimg1135 いつもの年より遅れた今年の春の到来、ようやく”蝶々 々・・・菜の花にとまれ”の季節になった。が・・我が家の、いつもは心優しい妻は蝶々を見かけると豹変する。獲物をもって蝶々を追っかけまわして、ついには捕まえて踏み潰して笑顔で満足する。

 腹いっぱい食べたいと思う歴史が延々続いたあと、次には美味しいものが食べたい。それにも満足して、次にはより美味しくて、より安全な食べ物を・・・・・米、野菜を作る農家は消費者の期待に沿うように農薬はもちろん、肥料にも気を使う。何せ現代の科学はプールに注した目薬でも検出できるとか。指定された肥料、農薬を細かく記帳して反則はしていないと言う記録が欠かせない。晩酌の後の記帳作業が日課である。

 暖かい日差しを浴びて飛んでくる蝶々は心が和む。が・・蝶々はその後野菜に卵を産み付けやがてその卵は幼虫となり野菜の葉を食い荒らす。規制された農薬は使えない。食害されて穴だらけになった野菜は売れない。

 かくて、心優しい妻も心を鬼にして蝶々退治にやっきとなる。蝶々を退治して農薬を使わなかった野菜は新鮮で美味しい味に安心、安全を添えて近くの産直へ出荷、消費者の皆さんのもとへ・・・・・・

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