岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

110年の感謝

2021-04-14 16:54:11 | いなか暮し

 明治の終盤、東北地方は大津波や飢饉に襲われたが我が里は、大きなため池、三郎堤をもあって田んぼに使う水には恵まれていたが飲料水にはあまり恵まれていない集落だった。
 分家してすでに40年、2代目の当主は自前の井戸が欲しいと、おそらくは何年も前から、井戸に積み上げる石垣用の石を、近くの山から、馬橇(ばそり)を使って大きな石を運び込んだのだろう。
 明治42年彫刻をよくした2代目は、権現様(獅子頭)を彫り、胡四王神社に、良い水が湧くようにと奉納、祈願し同年7月、石垣積み職人を招き、近所の人たちの多くの手伝いも受けて井戸掘りに着工した。
  築いた石垣、径が4尺、深さが18尺、やがて、濁りのない良い水がふんだんに湧き出した。
 近所の人たちも大喜びして、毎朝夕、天秤棒に水桶で水汲みの人たちでにぎわった。
 2代目は「どうか、この水が50年も、いや100年も、こんこんと湧きますように・・・・」と祈ったはず。
 30年代にはポンプで水を汲み上げるようになり、今までの釣瓶(つるべ)はなくなり、そのあと近くの山に大量の水が湧いて共同水道になり、やがて市水道が普及した。
 井戸の水は農業用ハウスの潅水に利用していたが、井戸を覆う屋根の補修も必要になったことから、今回、 感謝を込めて宮司さんの丁重なお祓いを受け、業者の手により、井戸の埋め戻し工事を行い、112年の歴史の我が家の井戸は更地となった。
 百有余年、我が家と近所の人たちの命の水として、美味しい水を与えてくれた井戸と先祖に、心から感謝をする。

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